
本記事では、中古車販売をはじめたい人向けに、必要な許可や手続を解説します。
Contents
必要な手続は?
事業者として中古車販売を行うには、古物商許可証を取得する必要があります。
許可取得までの流れは下記の通りです。
- 書類の準備
- 提出
- 古物商許可証の交付
古物商許可証って何?
「そもそも古物商許可(こぶつしょうきょか)って何?」という人もいるでしょう。
古物商許可とは、事業として中古品の売買を行う「前」に、都道府県の公安委員会から「営業しても良いよ」と許可をもらう事をいいます。
中古自動車は「古物≒中古品」にあたりますので、この「古物商許可」が必要なわけです。
実際の規定はもう少し堅苦しいのですが、これだけ理解してもらえれば今は十分です。
どうして許可が必要なの?
結論から言うと、取引の当事者を保護するためです。
取引の当事者とは、売る人・買う人の事をいいます。
通常、中古車を売りに来るのは、正当な所有者だと考えらますよね。
「正当」とは、きちんとお金を出して購入した、又は、友人や家族から譲り受けた場合です。
しかし、不当に入手した車を売りに来る人もいます。
中古車のような高額取引において、万が一盗品を買い取ってしまった場合、窃盗犯に大きな利益を与える事になります。
すると、更なる犯罪を誘発する事に繋がります。
これを防ぐために「盗品かどうか見分けられるか」「中古自動車の売買経験があるか」など、実務的な視点が備わっているか確認する事が、古物商許可制度の目的だといえます。
罰則規定も
このような目的や制度そのものを知らず、古物商許可を取得せず取引をした場合、「無許可営業」とみなされます。
古物商許可は、営業の「前」に取得します。
開業「後に」取ろうと思っていた等と主張したところで、聞き入れてはもらえません。
無許可営業をすると、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」の対象になります。
「違反」の場合は営業停止となるうえに、古物商許可の取得がを5年間できなくなる事もあります。
罰則があるから許可を取得しよう、ルールを守ろう。
こう考えるのではなく、どうしてそのような規定があるのか?という視点を持って行動する思慮深さも、経営者としての素養の1つと言えるのではないでしょうか。
許可取得に必要な日数は?
少々脱線しましたが、話を戻します。
古物商許可は、申請から40日前後を要します。
許可申請手数料は19,000円で、書類作成や添付書類などを収集する必要がありますので、全体で50日程度はかかると考えておくといいでしょう。
必要な書類は?
申請に必要な書類は下記の通りです。
- 古物商許可申請書
- 住民票の写し
- 誓約書
- 身分証明書
- 最近5年間の略歴書
- 定款 及び 登記事項証明書(※法人の場合)
- URLの使用権現を疎明する資料
- 賃貸借契約書の写し
フリーランサー(個人事業主)は「個人」での取得となりますが、法人として営業するなら法人名義での取得が必要です。
警察署へ提出
提出先は、実際に中古車を販売する場所を管轄する警察署です。
申請時の手数料は、警察署内で販売されている収入証紙にて支払います。
その他、認印で構いませんので印鑑と、運転免許証等の本人確認書類を持参しましょう。
古物商許可証の交付
書類に不備がなければ、40日程度の審査後に許可証が交付されます。
オークションに参加するなら
次に検討するのは、仕入れ先です。
仕入に中古車オークションの利用を検討している場合、会員登録が必要になります。
ただし、入会には一定期間以上の実務経験や、法人でなければ参加できないものもあります。
買取先の確保は中古車販売業でも重要項目ですから、きちんと調べておきましょう。
保険代理店登録
自動車購入時に必要なモノに、自賠責保険の加入があります。
必ず自分で取り扱わなくてはならないモノではありませんが、できる限り、かかる手間は減らす工夫をする事で、顧客満足度の向上に繋がります。
ただし、代理店登録には所定の試験に合格しなくてはなりません。
勉強が苦手な人は、信頼できる人や事業所と提携することも視野に入れておくといいでしょう。
自動車リサイクル法引取業登録
売買だけでなく、廃車の引取りまで検討している場合には、自動車リサイクル法引取業登録が必要です。
申請先は保健所または市区町村役所の担当課で、登録後は引取業者の標識を見やすいところに掲示しなくてはなりません。
また、5年間の有効期限がありますので、更新手続を忘れないようにしましょう。
自動車解体業許可
廃車の引取りを検討している場合、解体してスクラップにする事もあるでしょう。
この場合、自動車解体業許可の取得が必要になります。
申請は、都道府県知事または保健所設置市の市長で、5年間の有効期間があります。
自動車解体業許可を取得する最大のメリットは、他業者へ委託にかかるコスト削減です。
事業拡大を視野に入れている場合には、こちらの許可を取得する事も検討しましょう。
フロン類回収業者登録
中古車として利用しない自動車からフロン類を回収する場合、フロン類回収業者の登録が必要です。
登録には一定の資格が必要ですが、許可制度と比べると要件等は緩やかだといえます。
回収したフロンは、フロン類回収業者自身で再利用することも可能です。
再利用しない場合、特定の業者に引き渡す事で、一定料金を受け取ることもできます。
登録後には毎年、回収実績を報告する義務が発生しますので忘れないようにしましょう。
まとめ
本記事では、中古車販売業をはじめる為に必要な許可・手続を解説しました。
色々な許可や登録を見てきましたので、こんがらがっている人もいるかもしれませんね。
中古車販売のみを行うなら、仕入れ先の確保と「古物商許可」が取得できればなれる、というのがぼくの結論(極論)です。
何はともあれ、あなたの夢が叶う事を祈っています。
この記事を書いた人は
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。