
本記事では、キッチンカー営業に必要な許可申請時におさえるべきポイントを解説します。
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必要な許可は…
キッチンカー営業で必要なのは「飲食店営業」許可です。
営業許可は、営業を希望する地域を管轄する保健所に申請して取得します。
取得までの流れは、下記の通りです。
- 保健所への事前相談
- 必要書類の作成・提出
- 設備検査
- 営業許可・許可証交付
本記事ではこのうち、「設備検査」で重要なポイントをお伝えします。
必要な許可・手続等は下記記事をご覧下さい。
おさえるべきポイントは9つ
設備検査で必要な設備は下記の通りです。
- 運転席と調理場の区分
- 給水・排水タンク
- 水道の蛇口
- シンク
- 収納ケース・棚
- 石鹸
- 換気設備
- 冷蔵・冷凍設備
- ゴミ箱
これら9つについて、具体的な指導がされます。
本記事では、一般的に指導される内容をお伝えしますが、飲食店営業に関わる許可については、いわゆる「ローカルルール」が定められているのが通常です。
申請前には必ず保健所に相談し、指示を仰ぎましょう。
運転席と調理場は「完全に」仕切られていますか?
キッチンカーにも様々な車種があり、「キッチンカー」の名称で購入したからといって、必ず許可基準を満たすとは限りません。
例えば、ハイエースなどバンを改造して使用する場合、間仕切りなどを設置して完全に仕切る必要があります。
給水・排水タンクの容量は?
固定型店舗と違い、車内で使用できる水量には限りがあります。
このため、十分な容量の給水・排水タンクを設置しなくてはなりません。
タンクの容量は40L、80L、200L「程度」の3種類で、設置する容量に応じた規定があります。
※程度とあるように、絶対に40L、80L、200Lというサイズでなければならないわけではありませんが、細かなルールは自治体により異なりますので、確認しましょう。
40L | 80L | 200L | |
---|---|---|---|
提供品目 | 単一品目 | 複数品目 | 複数品目 |
使い捨て容器の使用 | ○ | ○ | ○ |
食器の使用 | × | × | ○ |
調理工程 | 簡易調理のみ | 2工程程度まで可 | 複数工程可 |
車内での仕込み | × | × | △ |
キッチンカーは空間が限られていて、設置できるタンク容量も異なります。
自身が提供を考えている品目には、どの程度の水や調理工程を要するのか。
提供時の容器はどうするかを検討する必要があります。
車内での仕込み行為についてですが、固定型店舗と同様の仕込み行為を車内で行う事はかなり厳しいのが現状です。
自分が思い描く内容をどこまで現実にできるか。これをすり合わせるのが事前相談の場です。
水道の蛇口は非接触ですか?
調理等で手が汚れた際、水を出すのに蛇口を捻った場合。
せっかく洗浄しても、水を止めるのに再度蛇口に触れなくてはならず、再汚染が懸念されます。
これを予防するため、センサー式の蛇口を設置するよう指導されます。
シンクの数は足りていますか?
シンク数も指導内容に含まれます。
必要数を明示されていないため、キッチンカーの内装着工前に必ず確認しておきましょう。
収納ケース・棚はありますか?
調理器具・トレーなどの備品を保管するための保管設備の設置が必要です。
換気や食事の提供のため、ほとんど窓や扉を開放しているキッチンカーの場合、虫や埃の侵入防止のため、扉付のものを設置しなくてはなりません。
石鹸・消毒設備は適切ですか?
飲食業全般において、1番に心配されるのが食中毒です。
原因となるO-157やノロウィルスをはじめとする菌の発生、増殖を防ぐために、手洗い・消毒設備は必須項目となります。
手洗い用の石鹸だけでなく、手指の消毒用アルコールやペーパーなど、必ず用意して切らさないように管理しましょう。
換気設備は整っていますか?
キッチンカーの中は空間が限られていて、調理時の油が回りやすく、夏場には灼熱地獄になります。
窓や扉の開放のみでは対応しきれませんので、換気扇を壁または天上のどちらかに設置します。
この際、虫や埃の侵入防止のためにカバー付のモノを。
火器を使用する場合、壁や天上も併せて防炎素材を検討しましょう。
冷蔵・冷凍設備はありますか?
保冷が必要な食品を扱う場合、冷蔵・冷凍設備は必須です。
クーラーボックスなど簡易的なものではなく、常時使用出来るモノを用意しましょう。
ゴミ箱は適切ですか?
キッチンカー営業でゴミ箱の不使用(ゴミ袋に直接廃棄する方法)や、簡易的なモノでは許可はもらえません。
使用するゴミ箱は、臭い・水分が漏れず、清掃に適したモノを指定されます。
車内を衛生的に保つためにも、少し大きめで蓋付きのモノを選びましょう。
他に必要なものもある?
初めての開業だと、指導された事をクリアするので精一杯かも知れません。
しかし、許可取得後も続けていくのが経営です。
床材は掃除しやすいモノを
意外と盲点なのが「床」。
クッションフロアを使用する業者もありますが、重量のある機材の積み卸しや、日々の調理等を考えると向いているとは言いづらいです。
調理場は掃除がしやすく、滑りにくい材質として、縞板鋼板を選ぶのが一般的です。
壁材は防炎・断熱素材を
壁面にキッチンパネルを貼付したモノもありますが、継ぎ目などは汚れが溜まりやすく、長く使うなら不向きかも知れません。
また、夏場は想像以上に温度があがります。
火器を使用する場合には防炎素材が望ましい事は、言うまでもありません。
自身の営業スタイルを踏まえ、最適な素材を選びましょう。
窓や外装は営業を意識
キッチンカーといえば、大きな販売窓です。
観音開きや跳ね上げタイプなどが一般的ですが、窓が小さすぎたり、取付位置が悪いと商品提供時のストレスに。
軽自動車を採用した場合、窓や扉に気を取られすぎると、営業時の看板やタペストリーを設置する余裕がなくなる事も。
調理や導線ばかりに重きを置いてしまい、漫然としたキッチンカー改装を施すのではなく、目的に合った外装を目指しましょう。
事前に相談を
本記事では、「飲食店営業」許可の取得に必要な設備検査でのチェックポイントをお伝えしました。
- 運転席と調理場の区分
- 給水・排水タンク
- 水道の蛇口
- シンク
- 収納ケース・棚
- 石鹸
- 換気設備
- 冷蔵・冷凍設備
- ゴミ箱
食品というデリケートなモノを取り扱う飲食業だからこそ、欠かせないポイントばかりです。
本記事が、これからキッチンカー開業を目指す人の参考になれば幸いです。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。