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調停って何?
調停は、様々なトラブルにつき「調停機関」が間に入り、自主的な紛争解決を図る制度の事をいいます。
調停機関には、「調停委員会」「裁判官」が該当します。
裁判とほとんど同じメンバーで行われる上、各分野の専門家が調停員として参加するため、裁判より高い専門的な知見が期待できます。
調停について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧下さい。
主な家事調停は?
代表的なものは3つです。
- 遺産分割調停
- 夫婦関係調整(離婚)調停
- 婚姻・養育費分担(増額・減額)
本記事では「遺産分割調停」について解説しますが、簡単にご紹介します。
遺産分割調停
相続時、遺産の相続割合等を決めるものです。
詳しくは後ほど解説しますが、令和2年の統計では、全国で1万件以上の遺産分割事件が取り扱われていますから「明日は我が身」と心得ておきましょう。
夫婦関係調整(離婚)調停
日本の離婚の10%は、離婚調停によるものだと言われています。
調停により決定した事柄を「調停調書」に記載する事で、離婚成立に至ります。
婚姻・養育費分担(増額・減額)
「婚姻費」は、夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用の事をいいます。
「養育費」は、子どもが成長自立するまでの生活、教育、医療、適度の娯楽費などを指します。
子どものいる家庭では、離婚時に親権者を決めなくてはなりません。
親権者には、子どもを監護する義務がありますが、親権者でない親にも扶養義務があります。
離婚成立までの婚姻生活費用や、離婚後の子どもにかかる費用をどのように分担するのか、調停で話し合います。
具体的に何をするの?
通常、相続手続は次の手順で行います。
- 「相続人の範囲」を確定
- 「相続分」を確定
- 「遺産の範囲」を確定
- 遺産の「評価」
- 「分割方法」の確定
- 相続手続
このいずれかで問題が生じた時、調停に発展します。
つまり、遺産分割協議では次の事を決定します。
- 誰が
- 何を
- どう評価して
- どのような割合で
- 分割するか
遺産分割の流れは?
- 遺産分割調停の申立て
- 第1回期日の決定
- 期日に出頭し、第1回調停の開催
- その後、複数回の調停
- 成立すれば終了
遺産分割調停の申立
申立てができるのは「相続人」「包括受遺者」「相続分譲受人」です。
当然の事ながら、全くの他人が因縁を付ける事はできません。
申立てに必要な書類は次の通りです。
書類名 | 備考 |
---|---|
遺産分割申立書(PDF) | |
申立書の写し | 相手方の人数分 |
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍全て (除籍謄本、改製原戸籍謄本等) | 原本 |
相続人全員の現在の戸籍謄本 | 3か月以内の原本 |
被相続人の住民票の除票 | 廃棄済みの場合、戸籍の附票の原本 |
相続人全員の住民票 | 3か月以内の原本 |
遺産目録 ・登記事項証明書(登記簿謄本) ・固定資産評価証明書 ・預貯金の残高証明書の写し ・株式の残高証明書の写し ・構図の写しに建物配置を書き込んだもの 又は 住宅地図 ・自動車の登録事項証明書の写し 又は 車検証の写し ・相続税申告書の写し ・遺言書の写し 等 | 「写し」とあるもの以外は 3か月以内の原本 |
※各家庭に応じた書類を準備する必要があるので、参考程度にご覧下さいね。
費用は?
上記の他にも準備すべきモノがあります。
- 収入印紙:被相続人1名に対し1,200円
- 郵便切手
- 500円×2×(当事者数)、100円×2×(当事者数)
- 50円×2×(当事者数)
- 84円、10円を各20枚
- 2円、10円を各10枚
※相手方が5名を超える場合、1名増えるごとに84円以下の切手をそれぞれ2枚ずつ追加する事になります。
提出先は?
次のいずれかが提出先になります。
- 調停の相手方のうち、1人の住所を管轄する家庭裁判所
- 相続人らの合意により決定した家庭裁判所
各地の裁判所は、こちらから確認できます。
期日に出頭し、第1回調停の開催
調停手続では、本人が出頭することを原則として行われます。
期日には、家事調停委員2名が当事者の話を聞き、裁判官と評議しながら進めていきます。
本人出頭が原則なので、遠方に住む相続人は電話電話での参加(出頭)も認められています。
もめ事の当事者が一堂に会するとなれば、顔を合せていがみ合いが発生するのでは?と心配になる人もいるかもしれませんね。
実務上、申立人と相手方とで控え室は別に用意され、それぞれ別個に調停委員と話をします。
ですので、顔を合せることはほとんどありません。
複数回の調停
1度の調停で解決する事はほとんどないため、複数回行われるのが一般的です。
概ね半年から1年ほどで合意または不成立となります。
成立すれば終了だけど
話し合いによって遺産分割が合意が至ると、調停成立です。
合意した内容が「調停調書」に記載され、法的な意味を持ちます。
例えば、合意内容が実施されない場合、相手方は強制執行を行うことができます。
一方、合意に至らず不調で終わった調停は、自動で審判に移行します。
調停は話し合いにより解決に導くものですが、審判は、裁判官が最も適切だと考える方法を指定して遺産分割を行います。
まとめ
本記事では、遺産分割調停の概要と申立て方法、調停の流れを解説しました。
遺産分割調停で決めるのは、次の事でしたね。
- 誰が
- 何を
- どう評価して
- どのような割合で
- 分割するか
調停に至らずとも、遺産分割の場でもめる事はよくあります。
特に、法的な解決が難しい情緒的な問題まで主張されることが多く、相続手続が難航することも珍しくありません。
こうした事態は「信託」「遺言書」「保険」で備えられます。
ご自身で遺言書を用意される人は、下記のポイントに注意して作成しましょう。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。