
本記事では、たばこの小売販売をしたい事業者さんに必要な「製造タバコの小売販売業の許可」に必要な手続について、わかりやすく解説します。
Contents
製造たばこの小売販売業の許可って?
小売販売業のうち、たばこを販売するには財務大臣の「許可」を受けなければなりません。
たばこ小売販売業には種類がある
たばこ小売販売業は、次のふたつに分けられます。
2.一般小売販売業
それぞれの違いは?
ふたつの違いは「販売形態」です。
販売形態 | |
---|---|
特定小売販売業 | ✓劇場、旅館、飲食店、大規模な小売店舗(売場面積が400平方メートル以上)等 ✓閉塞性があること ✓喫煙設備がある ✓消費者が滞留しやすい施設内 にて、たばこの販売を行うとき |
一般小売販売業 | 上記以外でたばこの販売を行うとき |
要するに、喫煙施設(喫煙ルームなど)がある閉塞的な設備でたばこの販売をすれば「特定小売販売業」で、そうじゃなければ「一般小売販売業」ということになります。
許可の基準は?
たばこ小売販売業許可を受けるためには、下記の要件を満たさなくてはなりません。
2.営業所の位置
3.近隣たばこ店との距離
4.自動販売機
5.取扱う予定数
6.営業所の使用権限
7.法人の事業目的
申請者の要件
下記に該当する人は、許可を取得することができません。
- たばこ事業法にもとづく「罰金刑」を受けて2年以内の人
- 破産者等、たばこ事業法第23条第1号~第7号までに該当する人
第23条第1号~第7号に該当するのはどんなとき?
- たばこ事業王の規定により、罰金以上の刑に処せられ、執行を終わり、または執行を受ける事がなくなった日から2年を経過していない人が申請者のとき
- 申請者が過去2年以内に許可取消しを受けた人が申請者のとき
- 財務省令で、営業所の位置が「小売販売業を行うのに不適当」と定められている場所に申請している営業所が該当しているとき
- 製造たばこの取扱い予定高が、財務省令に定める標準に達しないとき
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合や、その他の事情から、小売販売業を行うのに不適当だと財務省令で定める人が申請者のとき
- 申請者が法人なら、代表者の中に1~2、破産手続開始手続の決定を受けて復権を受けていない人がいるとき
- 申請者が未成年の場合で、その法定代理人(法人の場合は代表者)が1~2,破産手続開始手続の決定を受けて復権を得ない人に該当するとき
ざっくりまとめると、「悪さ」をして刑の執行が終わっていない人や、刑の執行が終わってから2年経っていない人、営業所の位置・予定する販売量が不適切だと許可申請ができません。
営業所の位置
予定している営業所の位置が、たばこの購入に著しく不便だと不許可となります。
具体的には、袋小路に面している場合、極端に狭い場所での営業がこれに該当します。
近隣土地との距離
最寄りのたばこ販売店との距離が、下記の基準に届かないと許可がもらえません。
環境区分 | 繁華街 (A) | 繁華街 (B) | 市街地 | 住宅地 (A) | 住宅地 (B) |
---|---|---|---|---|---|
指定都市 | 25 | 50 | 100 | 200 | 300 |
市制施行地 | 50 | 100 | 150 | 200 | 300 |
町村制施行地 | ー | ー | 150 | 200 | 300 |
地域区分ってなに?
「指定都市」「市制施行地」「町村制施行地」とは次の通り、定義されます。
地域の区分 | 定義 |
---|---|
指定都市 | 人口50万人以上の市制施行地および東京都の特別区 |
市制施行地 | 上記以外の市制施行地(市) |
町村制施行地 | 町村制施行地(町村) |
聞き慣れない言葉だと思いますので、簡単に補足します。
東京都の江戸川区、江東区などの「○○区」という分類を「特別区」といいます。
いっぽう、他の都道府県や自治体でいう「○○市」が市制施行地、「○○町」「○○村」が町村制施行地です。
この事から、各地域区分はその街の規模により距離制限が異なる事がわかります。
環境区分:繁華街A、繁華街Bとは?
指定都市または市制施行地で、次のうちひとつでも該当するものを「繁華街」といいます。
- 乗車人員が1日2万人以上の大規模な駅、バスターミナル…(A)
- 遊興飲食施設、商店 および 観光客施設が100店舗以上連続している街路(B)
環境区分:繁華街A、繁華街Bとは?
市街地形成施設が20%を超える部分を占める街路のことをいいます。
この「市街地形成施設」は、遊興飲食施設や商店、観光客向けの施設、銀行、官公庁、事務所、運動・レジャー施設、工場などの施設のことです。
平たく言えば、人通りが多くて集まりやすい「栄えているエリア」の事ですね。
環境区分:住宅地A、住宅地Bは?
住宅と農地が80%以上を占める街路です。
住宅地のうち、農地等が1/2を超える部分を占めている場所 または 農地等の中に50世帯未満の小規模な住宅集団を形成している街路を(B)、その他を住宅地(A)とします。
自動販売機
一般小売販売業の許可申請では、自動販売機の設置場所が十分な管理、監督が期待できない場所の場合は不許可となります。
20歳未満の喫煙防止の観点から設けられている規定です。
特定小売販売業の許可申請の場合、自動販売機の設置場所が管理責任者のいる場所から、容易に「利用者」「自動販売機」を視認できない場所だと不許可となります。
ただし、自動販売機の利用者が当該施設に勤務する特定の人のみに利用荒れるときには、本要件は除かれます。
取扱予定数が月間4万本未満
一般的なたばこの容量は、1箱につき20本なので、月間2,000箱の取扱いを予定していなければ不許可です。
営業所の使用権限
営業を予定している営業所の使用権限がない場合や、許可を受けて1か月以内に開業見込みがない場合はNGです。
法人の事業目的
申請者が法人の場合、定款や寄附行為によって定められる目的の範囲に「たばこの販売」が含まれていないと不許可となります。
たばこ小売販売業の許可申請に必要な書類は?
申請書(Word)のほか、下記の書類が必要です。
2.住民票の抄本またはこれに代わる書面(個人のみ)
3.法人の登記事項証明書(法人のみ)
4.破産者または禁治産者に該当しない者の証明書(個人のみ)
5.後見登記簿等に関する法律に規定する登記事項証明書(登記されていないことの証明書)(個人のみ)
6.定款または寄附行為(法人のみ)
7.予定営業所の位置を示す図面(記載例 PDF)
8.未成年者の登記事項証明書(個人・該当者のみ)
9.身体障害者の手帳の写し(個人・該当者のみ)
10.母子及び父子並びに寡婦福祉法第6条第4項又は第6項に該当する旨の証明書(個人・該当者のみ)
11.予定営業所の所有者の同意書または賃貸借契約書の写し(記載例 PDF)
12.二十歳未満の者の喫煙防止に係る誓約書(たばこ事業法施行規則別紙様式第18号、Word)
「個人」「法人」で分けると、
【個人】2,4,5,8,9の書類
【法人】3,6の書類
【共通】1,7の書類
となります。
提出先・費用は?
小売販売業を行おうとする営業所の最寄りにある日本たばこ産業株式会社の支社です。
支社情報は、こちらからご確認いただけます。
許可を受けた人は、登録免許税15,000円を納付します。
まとめ
本記事では、たばこ小売販売業許可制度について解説しました。
許可手続の対象者は小売販売業として製造たばこを取り扱おうとする事業者で、要件は次の通りでしたね。
2.営業所の位置
3.近隣土地との距離
4.自動販売機
5.取扱う予定数
6.営業所の使用権限
7.法人の事業目的
下記の記事では、たばこと併せて販売を検討される人が多い「酒類販売」について、必要な免許と要件を解説しています。
併せてご覧下さい。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。