
本記事では、財産目録の作成方法をわかりやすく解説します。
Contents
財産目録とは?
財産目録は、財産の内容をわかりやすく一覧にしたものです。
どんな時に必要なの?
財産目録の活用場面は、次の通りです。
・遺産分割協議のとき
・相続税を申告するとき
財産目録を作るメリットは?
財産目録を作成すると、次のようなメリットがあります。
・自分の財産を把握することで不安が解消される
・相続手続において、遺族の負担が軽くなる
遺言書の作成が楽になる
遺言書作成を検討される人の多くは「自筆証書遺言」を思い浮かべるようです。
こちらの動画では「自筆証書遺言作成のコツ」を、43秒でチェックできます。
この類型は、本文をすべて手書きするというルールがあります。
このうち、特に大変なのは「○○に△△を相続させる」という項目です。
自分の死後、誰が見ても特定できる情報量を、正式名称で記載しなくてはなりません。
しかし、特別ルールもあります。
それが財産目録は手書き以外の方法で作成してもOKというもの。
本文と目録記載の財産に通し番号を付ければ、「○○に、財産目録①を相続させる」との表記で足りますよね。
自分の財産を把握し、不安解消
多くの人が抱くお金の不安ですが、不安の正体は「わからない事」だと考えています。
生活費等は過去を振り返れば大まかに算出できますが、自身の財産すべてを正確に把握している人は少数です。
財産目録には、プラスの財産だけでなく、負債などのマイナスの財産も記載します。
このため、自分が今どれだけの財産を持っているのか「自己資金」の把握に繋がり、未来にしたい事を具体的に想像することに繋がります。
相続手続の際、遺族の負担が軽くなる
相続は、遺言書がない場合に発生する制度で、大部分を遺産分割協議が占めます。
協議が調わない場合の「遺産分割調停」について、こちらの記事で解説しています。
遺産分割の大前提は、正確な財産状況の把握です。
「誰が、何を、どうやって」分けるのかを話し合う場なので、財産がわからなければ手続が進められません。
また、相続税申告でも財産額を提示する必要があります。
財産目録を作成しておくと、遺産分割協議を早期に始めることができ、遺族の負担を軽減することが期待できます。
財産目録の書式は?
民法上、遺言書本文には様々な規定があります。
しかし、財産目録についての規定は特にありませんが、当事務所では下記の通りご提案しています。
・通し番号をつける
・算定日を記載
・自分にとっての財産はすべて記載
財産の特定ができる情報量の記載
財産目録に記載するのは、プラスの財産だけではありません。
ですから「資産」「負債」等の見出しをつけ、区別しておくとぐっと見やすくなります。
会計書類を作成した事がある人は、「損益計算書」「貸借対照表」など財務諸表を想像してもらえば間違いありません。
※ただし、あんなに厳密でなくて大丈夫です。あくまでもイメージであり、個人資産前提ですから。
例えば、預貯金口座について紙媒体の通帳があれば金融機関名、支店名、口座番号等のわかる部分をコピーしたものを添付しても構いません。
ネットバンキングなら、これらの情報がわかる画面のスクショでも大丈夫です。
不動産の場合、地番や家屋番号などを地道に記述するか、法務局が発行する登記事項証明書をそのまま添付しても構いません。
ただし、目録が複数枚に渡る場合には、余白部分に自書と押印を忘れずに。
通し番号をつける
各財産にナンバリングし、遺言書本文と対応させます。
財産の種類が広範囲なら、A-1、B-1など、アルファベットと数字を組み合わせるのもいいでしょう。
算定日を記載
相続税の申告に用いる財産評価額は、被相続人の死亡日を基準に算定します。
有価証券や投資信託など、価額が変動する財産の場合には、間違いのないよう日付を記載しましょう。
自分が「財産」だと思うものは全て記載
遺言・相続に関する書籍や動画コンテンツでは、代表的な財産のみを紹介しています。
一般論はあくまで一般論でしかありません。
どの媒体でも紹介されておらず、かつ、買い手もいないようなものであっても、ご自身が「財産」と考えるのなら記載しましょう。
正式名のわからないヲタグッズ(プラモデルやフィギュア、タペストリー等)の場合、自身で呼称を記すのではなく、写真を目録に掲載します。
撮影する画角は、対象を特定できる事がポイントです。
オークションなど物販を参考にされるといいでしょう。
まとめ
本記事では、財産目録の作成について解説しました。
財産目録を作成するメリットは、
・自分の財産を把握することで不安が解消される
・相続手続において、遺族の負担が軽くなる
でしたね。
財産目録の作成において、決まった様式はありませんが、下記を意識しましょう。
・通し番号をつける
・算定日を記載
・自分にとっての財産はすべて記載
作成した遺言の保管に不安がある場合、自筆遺言証書保管制度の利用が考えられます。
こちらの動画にて49秒で解説したので、気になる方はご覧下さい。
エンディングノートの法的な効果については、こちらの動画にてお話ししています。
この記事を書いた人は
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。