
本記事では、決算時に公開される「事業報告書」について、目的と作成方法を解説します。
事業報告書とは?
事業報告書は、計算書類から読み取るのが難しい情報を補足する書類のことをいいます。
どうして作成するの?
会社法では、株式会社に「計算書類」「事業報告」「附属明細書」を作成する義務が定められています。
この義務を果たすために作成するのは勿論ですが、出資者である株主をはじめ、取引先企業にも経営状況を示す目的で作成します。
決算時に聞く「財務諸表」は金融商品取引法に規定されるもので、下記のものを指します。
(覚える必要はありません。)
✔ 損益計算書(P/L)
✔ 株主資本等変動計算書
✔ 附属明細書
✔ キャッシュフロー計算書
事業報告書の作成方法は?
事業報告書の作成・記載内容は、会社の区分ごとに会社法施行規則に定められています。
しかし、様式や文章についての詳細は規定がありません。
そのため、各会社で任意の様式にて作成することになります。
全株式会社共通の記載事項
すべての株式会社共通の記載事項は次の通りです。
✔ 業務の適性を確保するための体制に関する決定・決議、運用状況の概要
✔ 会社の支配に関する基本方針
✓ 特定完全子会社に関する事項
✔ 親会社等との取引
この他、社外役員、会計参与、会計監査人を設置している場合、それぞれ記載が必要です。
株式会社の状況に関する重要な事項って?
一般的には、下記の項目が「株式会社の状況に関する重要な事項」に該当します。
- 事業の経過及びその成果
- 資金調達等についての状況(重要なものに限る)
- 直前三事業年度の財産及び損益の状況
- 対処すべき課題
- 主要な事業内容
- 主要な営業所及び工場並びに使用人の状況
- 重要な親会社及び子会社の状況
- 主要な借入先及び借入額
- 剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがあるときの権限の行
使に関する方針 - その他会社の現況に関する重要な事項
参照:日本経済団体連合会HPより
計算書類では「数字」で業績、収支状態を語りますが、これらを「言葉」で語るのが事業報告書です。
事業の経過及びその成果、課題や事業内容、会社をめぐる経済状況や業界の動向、今後の見通し、課題と解決策など、できる限り言語化して記載しましょう。
まとめ
本記事では、事業報告書作成の目的、方法を解説しました。
事業報告書は、計算書類から読み取るのが難しい情報を補足する書類のことでしたよね。
また、決算時に作成する「財務諸表」は次のものでした。
✔ 損益計算書(P/L)
✔ キャッシュフロー計算書
✔ 株主資本等変動計算書
✔ 附属明細書
事業報告書に記載すべき内容(全株式会社共通)は次の通りです。
✔ 業務の適性を確保するための体制に関する決定・決議、運用状況の概要
✔ 会社の支配に関する基本方針
✓ 特定完全子会社に関する事項
✔ 親会社等との取引
起業時の法人形態選びのポイントを、下記の記事にて解説しています。
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この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。