
本記事では、1人行政書士法人の設立方法やメリットについて解説します。
Contents
1人行政書士法人とは?
行政書士法人は、行政書士業務をチームで行うために設立する法人のことをいいます。
令和3年6月前までは、行政書士法人の設立には2名の登録者が必要でしたが、1人でも法人化できるようになりました。
こうして設立する行政書士法人を「1人行政書士法人」といいます。
1人行政書士法人設立のメリットは?
下記に、一般的に考えられるメリットを紹介します。
2.個人としてのリスク低減
3.事業拡大の可能性
4.社会保険加入
5.人事採用の場で有利
信頼性向上
個人事務所と比較すると、クライアントに対し安心感を与えることが期待できます。
法人形態をもつことは、他の法人や金融機関との取引で有利になることもあります。
個人としてのリスク低減
個人事務所の場合、個人で責任を負うことになりますが、法人格を持たせることにより、責任の幅を限定することができます。
事業拡大の可能性
法人格を持たせることで一定の担保力を持ち、各方面への信頼向上が期待できます。
このことから、他の事業者との提携が容易になったり、より大規模な案件に取り組みやすくなることが期待できます。
社会保険加入
個人事業主が加入する国民年金・国民健康保険をデメリットと捉えている場合、固定費が増大しても、社会保険・厚生年金への加入が可能となる点はメリットといえるでしょう。
人事採用の場で有利
法人化による社会保険への加入など、個人事務所と比較すると労働者に魅力的な条件が揃えられるため、人事採用の場における優位性が高まります。
また、個人事業と比較し、経費に算入できる対象も広がることもメリットだと考えられます。
1人行政書士法人設立のデメリット
目立ったデメリットはないように思えますが、個人事務所で十分だと感じている人にとってはコストの増加、経営規模拡大によるリスク増、1人にこだわりすぎと業務の遅延が生じるおそれもあります。
1人行政書士法人の設立手続の流れ
次の通りです。
- 社員資格証明書の取得
- 同一名称存否の確認
- 定款作成
- 定款認証
- 設立登記
- 成立の届出
社員資格証明書の取得
さまざまな場面で、行政書士法人の社員として要件を満たすことを証明する「社員資格証明書」が必要となります。
取得は、単位会を経由して日行連に申請書を提出して行います。
同一名称存否の確認
商業登記法の準用により、同じ所在場所で同一商号の登記禁止となっています。
これから設立する法人名称が、既存の行政書士法人名称と重複していないかどうか、日行連のホームページで確認しましょう。
定款作成・認証
定款作成にあたり、絶対的記載事項は下記の通りです。
- 目的
- 名称
- 主たる事務所及び従たる事務所の所在地
- 社員の氏名、住所
- 所及び特定業務を行うことを目的とする行政書士法人にあっては、当該特定業務を行うことができる行政書士である社員(特定社員)であるか否かの別
- 社員の出資に関する事項
この他、相対的記載事項、任意記載事項などを記載し、定款認証を受けます。
設立登記、成立の届出
認証後、主たる事務所の所在地において設立登記をすることで、行政書士法人が成立します。
成立後は2週間以内に、日行連へ「行政書士法人成立届出書」を提出します。
まとめ
本記事では、1人行政書士法人設立のメリットとデメリット、手続の流れを解説しました。
法人成りを検討される際は、自身の目的をしっかり見据え、必ず効果測定を行いましょう。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。