
本記事では、認知症になった後にできなくなる手続や困る場面、考えられる対策について解説します。
Contents
認知症とは?
認知症とは、脳の機能が徐々に低下し、思考力、判断力、記憶力、学習能力などの「認知機能」に障害が起こる状態を指します。
発症後に重症化し、意思判断能力喪失と判断されると、契約行為が一切できなくなります。
認知症になるとできなくなることは?
下記に、一般的にできなくなることを紹介します。
2.不動産取引
3.保険契約
4.贈与など
5.金融資産取引
6.相続関連全般
具体的にはどんなときに困るの?
介護、老人ホームなどの費用
介護が必要な場合、施設に入所や利用に係る契約はもちろん、費用を支払わなくてはなりません。
これらのサービスは継続利用が前提で、口座振替の方法で納付するのが一般的です。
しかし、当人が認証を発症していることを金融機関に申し出ると、口座が凍結され、取引ができなくなります。
相続において為す術なし
生前に考えられる相続対策として、遺言書、任意後見契約、信託契約などが一般的ですが、いずれも意思判断能力がしっかり備わっている状態でなければできません。
つまり、認知症を発症した後にできる対策はほとんどありません。
考えられる手段に成年後見制度がありますが、財産管理に時間と手間がかかり、ほとんど自由がないのが現状です。
認知症になった後にできる対策は?
認知症発症後の対策として、現行の制度(※令和5年6月1日時点)上は下記の2つが考えられます。
2.法定後見人制度の利用
代理人登録サービス
2親等など一定範囲以内の親族を、契約者の代理人として登録する制度です。
代理権限が与えられる範囲は、預貯金の出金、解約、運用商品の売却などの取引となります。
三井住友銀行の「代理人使命手続」、みずほ銀行の「代理人予約サービス」など、各金融機関で内容が異なるため、取引機関にご確認ください。
法定後見人制度
成年後見制度には「任意」と「法定」の2種類がありますが、認知症発症後に後見人をつけるには、家裁への申立を必要とする法定後見人制度が適用されます。
後見人には弁護士や司法書士、行政書士等、親族以外から専門家が選任され、被後見人に係る財産管理を行います。
前提となる目的が「被後見人の財産を守ること」にあるため、財産処分の自由度は低く、後見人への報酬支払義務も発生します。
まとめ
本記事では、認知症を発症した後に困るケースや、発症後に利用可能な制度について解説しました。
発症後は財産が凍結され、本人の財産なのに他人が管理するというカヲスが待ち構えています。
こうなる前に、任意後見や信託契約などで備えましょう。
当事務所では「財産承継問題」に係る予防法務を得意としていますので、本記事で少しでも不安を感じた方は、お気軽にご相談ください。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。