
本記事では、労災保険のメリット制について解説します。
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労災保険のメリット制とは?
労災保険のメリット制は、労働災害の発生率に応じて保険料率を上下させるシステムです。
労災保険率は、災害リスクに応じて事業の種類ごとに定められています。
しかし、同種の事業でも作業工程や機械設備、事業主の災害防止に係る努力により、各事業場の災害率には差が生まれます。
こうした差異を解消し、保険料の負担割合の公平性と、労災発生の防止に関する努力促進を目的として、各事業所の保険料を調整するのがメリット制というわけです。
各事業の調整率は下記の通りです。

メリット制3つの事業
労災保険のメリット制には大きく、継続事業、一括有期事業、単独有期事業の3つがあります。

継続事業のメリット制
継続事業のメリット制が適用されるのは次の事業です。
- 労災保険に3年以上加入している
- 常時100人以上の労働者を使用、または、常時20人以上100人未満の労働者を使用し、災害度係数が0.4以上

災害度係数は、下記の計算式で算出します。

メリット料率
継続事業のメリット料率は、次の数式で算出します。

非業務災害率は0.6/1000です。

一括有期事業のメリット制
一括有期事業とは、立木の伐採や建設工事などの事業のことで、2件以上の小規模工事、伐採事業を年単位で一括し、全体を1つの事業として扱うものです。
一括有期事業の要件は、下記の通りです。

メリット増減率は、確定保険料額に応じて増減表に定められています。

単独有期事業のメリット制
単独有期事業は、事業の実施期間があらかじめ予定されている大規模工事などを指します。
対象となる事業は下記の通りです。

単独有期事業のメリット制は、事業終了後に確定精算する労災保険料の金額が変動します。

特例メリット制
特例メリット制は、所定の安全衛生措置を講じた起業を対象としたメリット制です。
通常、最大±40%のメリット増減率ですが、特例メリット制の対象となる場合には±45%まで優遇される可能性があります。
特例メリット制の対象になるのは、下記の全てを満たす事業です。

※中小企業事業主の要件は、下記の通りです。

安全衛生措置
安全衛生措置については、機械設置等の計画届の免除の認定を受けた事業主が講ずる措置(=労働安全衛生マネジメントシステムの実施)を講じ、都道府県労働局長の確認を受ける必要があります。
まとめ
本記事では、労災保険のメリット制について解説しました。
引用:厚生労働省公式ページ
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。