
SNSや動画投稿サイトで「誹謗中傷」を受けた事はありませんか?
明らかに自分を傷付けようとするもの、あからさまなデマなど、向けられた本人の心を容赦なく抉ります。
被害者が著名人で、自殺を大々的に報じられるケースが複数ありました。
本記事では、インターネット上で誹謗中傷を受けた場合に取り得る「攻」「守」について解説します。
Contents
防御
まず、はじめに検討したいのは防御です。

スルー検定
自分の管理権限内に寄せられたコメントなら、即削除を考える人も多いはずです。
しかし、その後に法的な措置を検討するのなら、それは大事な証拠となり得ます。
ですから、まず「スルー検定」が始まったのだと捉えてください。
インターネットは誰でも見られる環境であり、閲覧側にも選択権があります。
それなのに、気に入らない投稿を前に自らが離席することなく、相手側に改善を望む人間は、主体性がなく、幼稚な人柄であることが多いです。
彼らの目的は「相手に与えてもらうこと」。
大声で喚き、欲しいモノを与えてもらおうとする様子は、可愛い要素を極限まで除去した大きな赤ん坊。
何らかの形で構えば喜ばせるだけですから、自身のスルースキル向上の養分と捉えて放置しましょう。
通報/報告
削除やブロックなどのアクションを取らない代わりに、各プラットフォームに用意されている「通報」または「報告」機能を使いましょう。
該当コメントを指定し、運営に「こんな違反行為がありました」と報せるもので、自分が通報・報告したことは誰にもバレません。
こうすることで、運営側も一定の記録に残してくれますので、後に法的措置を検討する際にも大いに役立つでしょう。
発想の転換
自己保身の打一歩は、自分の解釈を変えることです。
事実は常に1つしかありませんが、解釈は人の数だけ存在します。
届いた内容があなたを深く傷付け、憤らせるものであっても、これを目にしているのはあなただけではありません。
コメント欄が開放されている以上、あなたの投稿を見ている全ての人が同様のコメントを見ています。
これまで活動を応援してくれた人、これから出会う素晴らしい人と出会うための「踏み台」と捉えることもできます。
ただし、無理にポジティブに考える必要はありません。
あくまでも自分の心を守るための手段なので、効き目がなければ別の方法を検討します。
ブロック
ここまでに紹介したものが対症療法だとすれば、ブロックは根本治療です。
自分に不快感を与えるもの自体を「ブロック」という形で取り除くことで、それ以上の悪化を防ぐことができます。
一部のプラットフォームでは、相手にブロックしたことがバレる仕様となっていますが、ほとんどのものは分からなくなっています。
そもそも、相手にブロックされたかどうかを気にする時点で、歪みに歪んだ愛情とも受け取れます(迷惑なことに変わりはありませんが)。
上記3つの手段を経てもなお、あなたの気分を害する要因となるのなら、爽やかにブロックしましょう。
攻撃
次に、攻撃です。
該当コメントが誹謗中傷と認められた場合、次の刑事罰に問われる可能性があります。しかも、高確率です。

そもそも、「何が誹謗中傷にあたるの?」とお考えの人もいるでしょう。
ざっくり言うと、相手を攻撃する意図をもっていると推察できるコメントなら、ほぼ誹謗中傷に当たります。
しかし、否定的な意見すべてが「攻撃する意図」からとは言い切れない点で、線引きが難しい部分はあります。
その上で、各刑事罰について紹介します。

法的な措置をとりたい!
実際に書き込まれた誹謗中傷コメントを「削除したい」「投稿者に法的な措置をとりたい」と考えるのは自然なことです。
法的措置を検討する場合は、投稿者を特定する必要があります。

投稿者の特定
誹謗中傷コメントの投稿者は、99%が匿名です。
そのため、裁判所を介して投稿者の氏名・住所などの「開示請求」を行います。
開示請求には次の方法があります。

IPアドレスは、投稿と紐付いているWeb上の住所で、インターネット接続に使ったデバイスなどを識別するための符号です。
これが特定できると、投稿者が使ったインターネットサービスを提供しているプロバイダがわかるので、プロバイダに契約者情報の開示を求めるのが一般的です。
これらは全て、大切な個人情報が対象となるので、裁判外で対応してもらうのは厳しいのが現状です。
慰謝料請求
多くの人が真っ先に思い浮かべる選択肢が「慰謝料請求」でしょう。
相手が特定できたら連絡をとり、「2度と誹謗中傷をしない」内容で書類を作成します。
この際、直接交渉を試みるか、裁判所で慰謝料を請求するかが選べます。
相手に反省の色が見えず、交渉が難しい場合には、訴訟を検討しましょう。
刑事告訴
誹謗中傷コメントは、民事上の訴訟対象となるだけでなく、刑事罰の対象となる可能性が高いです。
しかし、警察がなかなか受理してくれないケースもあります。
このような場合には、刑事訴訟を得意とする弁護士に依頼し、民事と併せて対応してもらうと良いでしょう。
誹謗中傷コメントを削除してほしい
該当するコメントの削除を希望する場合、掲示板などの運営者への請求と、裁判所への申立てを検討します。
運営に直接請求する
各プラットフォームにより差異がありますが、直接「削除依頼」を出すことで応じてくれる場合があります。(AIの発達により、削除依頼を出す前に消えていることもあります。)
残念ながら、全ての運営者が迅速な対応してくれるわけではなく、また、規模が大きければ大きいほど対応までに時間を要する場合があります。
裁判所へ申立てる
対応を待っている間、あなたの気は休まらないかもしれませんね。
早急に何とかしたい場合には、裁判所に「仮処分」を申立てましょう。
削除を認める仮処分決定が出ると、運営者はこの決定に従い、該当するコメントを削除します。
これらの手続と同時に、開示請求も進められるため、法的措置を検討している場合にはまとめて弁護士に依頼するのも一手ではないでしょうか。
まとめ
本記事では、誹謗中傷コメントへの攻守について解説しました。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。