
本記事では、相続人に借金を負担させないために取りうる生前の対策を紹介します。
Contents
借金を残したまま死亡すると
借金を残したまま死亡した場合、相続人にはどのような負担が生じるのかを見ていきましょう。
1.全てを承継する可能性がある
相続の対象となる財産には、現金や預貯金、不動産だけでなく、借金などマイナスのものまで含まれます。

そのため、あなたが借金を残したまま亡くなれば、相続分に応じたあなたの借金を相続人全員で負担することになります。
2.相続放棄で全てまたは一部を捨てる
相続人の選択肢の1つに「相続放棄」「限定承認」があります。
この場合、借金を手放すこともできますが、相続放棄では全ての相続財産を、限定承認では相殺して残った部分だけを相続することになります。


どちらの場合も、相続人に一定の手続を強いることになるうえ、自宅まで手放さなければならない事態に陥るおそれがあります。
家族に借金を負担させないためには
家族に借金を相続させないためには、下記の方法が考えられます。

1.債務整理
生前の完済が厳しい場合、債務整理を活用することで「減額」または「免除」を受けることが可能です。
具体的には、次の方法を検討します。

任意整理
債権者と直接交渉し、利息の調整や返済期間の延長を求める方法です。
借金額の大幅減額は期待できないため、返済能力そのものが期待出来ない場合は、次の方法を考えます。
自己破産
裁判所に申立て・免責決定を受け、借金を全てなくす方法です。
ただし、一定以上の資産はすべて手放すこと、一定期間中の新規契約などが難しくなるなどのリスクがあります。
個人再生
裁判所に申立て・認可を受け、借金の大幅減額を行います。減額後の借金は原則3年以内に返済しなくてはなりません。
自己破産ほど厳格な資産管理は行われませんが、住宅ローンは対象外なので、目的が住宅ローンであれば別の方法を検討しましょう。
2.保険金
生命保険金は相続財産に含まれません。
借金の返済から逃れるため「相続放棄」を選択した相続人は、あなた名義の自宅に住み続けることができません。
ここで、借金と相殺できるだけの生命保険金を備えておくことができれば、「相続放棄」の必要がなくなりますので、自宅に住み続けることができます。
3.信託
どうしても遺したい財産がある場合、「生前贈与」が考えられます。
死後に活用することを前提とするなら、贈与の手続を。
法定相続人以外の人や、相続人同士での争いが懸念されるケースでは「信託」を検討しましょう。
こんな場合は注意です
相続人があなたの「連帯保証人になっている場合」には、注意が必要です。
あなたが借金の連帯保証人になっている場合
相続財産の対象には、「マイナス」も含まれることは説明しました。
このマイナスに「連帯保証人の地位」も含まれます。
あなた自身の借金はないとしても、死亡後、一定期間が経過してから「実は…」と発覚するケースがほとんどです。
もしも、友人知人の連帯保証人になっている借金があるのなら、生前に対処しましょう。
家族があなたの連帯保証人になっている場合
あなたの借金を負担させないために、相続人には「相続放棄」というカードがあります。
相続放棄で放棄できるのは、あくまでもあなたの借金なので、家族が連帯保証人になっている場合には連帯保証人の地位は放棄できません。
つまり、債権者からの返済請求を拒むことはできないのです。
家族が連帯保証人になっているのなら、いっしょに債務整理を行うか、あなたの死後に相続人自ら債務整理を行ってもらう以外の方法はありません。
まとめ
本記事では、借金を残したまま死亡した場合に「相続人に負担させない方法」をご紹介しました。
債務整理の際は弁護士までご相談ください。
本記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。