
母が亡くなり、マンションと預金が残りました。
家賃収入はどう分けたら良いですか?
お母様が亡くなり、賃貸マンションを相続することになった秘書Aさん。
相続人はAさんと弟さんだそうですが、分け方がわからずに困っているとの事。
相続手続が長引くほど賃料が発生してしまうため、当事者は焦りますよね😅
今回は、賃貸用マンションがある場合の相続において、家賃収入がどのように扱われるのか。
また、どのように分ければ良いのか?という点について、わかりやすく解説します。
Contents
不動産は○○のものです
どの相続も、はじめにするのは財産全体の把握です。
今回のケースでは、Aさんとお父さんの2人が法定相続人なので、財産全体を2等分したものが法定相続分となります。
相続人同士が納得し、同意に至れば、法定の相続割合とは異なる分け方でも大丈夫ですよ👌
Aさんのお父様が残した財産は、次の通りです。
✓ 賃貸用マンション
預貯金を分けるのは難しいことではありませんが、不動産の場合、どのように分けるか悩む方も多い者です。
後々を考えると共有ではなく、どちらか片方が1人で所有すべきだと聞きました。
私1人で相続することに弟は納得しているのですが、家賃はどうすればいいのか全然わからなくて💦
落ち着いて、落ち着いて🙌
順を追ってご説明します。
賃料収入は○○!
結論から申し上げると、家賃収入は時系列で判断します。
相続開始前の賃料収入は、マンションの所有者であるお母様のものですね?
そうです。
ということは、賃料収入は全て相続の対象になりますか?
なるものと、ならないものがあります。
賃料収入が誰のものかを判断するには、判断するタイミングが重要です。
次の時点ごとに見ていきます。
(2-1)死後の家賃収入【遺言なし】
(2-2)死後の家賃収入【遺言あり】
(3)賃料全てが相続財産になるわけではない?
(4)遺産分割協議の成立後
(1)生前の賃料収入
お母様が生きている間の家賃収入は、お母様の所得として扱われます。
つまり、相続の対象となりますので、相続人の間で分割することになります。
家賃の支払は一般に、当月のぶんを前月末までに支払う「前月支払い」ですが、これと違う支払日を設定している場合もありますので、確認しましょう。
相続開始時までに期日を迎えている家賃収入は、相続財産に含まれます。
亡くなる前に支払われ、お母様の預貯金の一部となっているためです。
(2-1)死後の賃料収入【遺言あり】
死後、遺言がある場合は、相続が発生した月の収入から相続人の所得として扱うことになります。
法律上、死亡人の意思を最優先するために、遺言の内容に沿った相続がなされます。
といっても、100%その通りにならない場合もあります。
遺言の中で、賃貸マンションの相続人が指定されている場合は、その人がすべての家賃収入を受け取る事になります。
家賃収入のうち、一部でも滞納している入居者がいる場合。
家賃をもらう権利は確定しているのに、実際に家賃を支払ってもらっていない状態なので、「未収金」の形で相続財産に含みます。
相続した人が滞納者に支払ってもらうよう、請求する権利を引き継ぐことになります。
(2-2)死後の賃料収入【遺言なし】
遺言書がない場合、相続手続を進めるために「遺産分割協議」をします。
ここでは、誰が、何を、どのくらい相続するのかを決めることとなり、賃貸マンションを相続する人も対象です。
Aさんがおっしゃる通り、複数の相続人による「共有」として相続した場合、後の手続がややこしくなることがあります。
例えば…
共有者の1人が亡くなれば、その相続人が共有関係を引き継ぐので、権利関係がこんがらがってしまったり、いくら自分の持分でも、売却時に他の共有者全員の合意を得なくてはなりません。
ただ、税金対策として有効な面もありますので、慎重に検討しましょう。
(3)賃料収入全てが相続財産になるわけではない?
遺産分割協議がまとまるまでの間、相続財産は相続人全員の「共有財産」となります。
家賃収入もこれに含まれるので、協議中に発生する家賃収入は、各相続人の「法定相続分」という割合にそった分割をします。
(4)遺産分割協議の成立後
遺産分割協議が調ったら、賃貸用マンションを相続した人の所得となります。
協議が成立するまでの間に分割した家賃は、各相続人がそのまま受け取ってしまって構いません。
相続が発生した後の家賃は、相続人の所得です。
会社員など給与所得者の場合、年間20万円以上の不動産所得があれば、年末調整とは別に確定申告をしましょう。
確定申告は、家賃収入による利益があり続ける以上、毎年行わなければなりませんので、忘れずに行って下さいね。
確定申告が必要なこと、すっかり忘れていました~~~💦
まとめ
今回は、相続対象に賃貸用物件がある場合、家賃収入は相続対象に含むのか、分割する場合はどのように行えばいいのかを解説しました。
本記事では触れていませんが、死亡人の所得について「準確定申告」の手続が必要な場合もありますし、基礎控除枠を超えれば、各相続人は相続税の申告を行わなくてはなりません。
税金に関するお悩みは、税理士までご相談下さいね。
本記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈でした。