
新型コロナウイルス感染症にかかった後、ほとんどの方は時間の経過とともに症状が改善します。
しかし、いまだに不明な点も多くあり、一部の方は症状が長引く「後遺症」があることが明らかになっています。
症状が改善せず長引く場合には、かかりつけ医や、自治体の医療機関に相談しましょう。
本記事では、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に悩む方がとれる手段の1つ、労災認定をされた事例をご紹介します。
Contents
新型コロナウイルス感染症の後遺症とは?
新型コロナウイルス感染症にかかった後、感染症は消えたのに、かかってすぐの時期から継続的にある症状や、回復後に表出した症状、または、症状が消失した後に再び生じた症状のことをいいます。
「新型コロナウイルス感染症以外に要因が考えられない症状」と考えてください。
代表的なものに、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、頭痛、嗅覚障害などが上げられます。
コロナ後遺症で労災申請できる?
後遺症が続く場合、活用できる制度は
次の制度が考えられます。
(2)健康保険
(3)障害年金
(4)障害者手帳(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳)
(5)生活困窮者自立支援制度
(1)労災保険
業務に関連する事情により新型コロナウイルス感染症にかかり、後遺症が認められた場合。
後遺症に対して療養等が必要と判断されれば、労災保険の給付対象となります。
労災保険の請求は、職場を管轄する労働基準監督署までご相談ください。
(2)健康保険
業務に関係なく、療養が必要な傷病にかかり、仕事ができない場合、一定要件に該当する人は保険者から傷病手当を受けられます。
傷病手当等の支給申請は、加入している健康保険組合等にご相談ください。
保険者がわからない場合、保険証をご覧いただければわかるかと思います。
(3)障害年金
後遺症により、仕事や日常生活に著しい制限を受ける、または、著しい制限をしなくてはならないレベルの障害が残る場合、一定の要件を満たしていれば障害年金の給付対象になります。
ただし、同じ理由で労災から障害補償給付等が行われる場合、労災保険からの給付が一部制限されることもあります。
傷病手当金が支給される場合、傷病手当金の全部または一部の支給が「停止」されることもあります。
一般の方は給付制限等わからないことも多いかと思いますから、お近くの年金事務所、または、ねんきんダイヤルまでご相談ください。
(4)障害者手帳(身体障害者手帳)
身体障害者手帳は、都道府県知事、指定都市の市長、または、中核市市長が交付します。
とりあえず、知事か市長が交付してくれるんだな?と認識してください。
対象者は、次の障害があること+一定以上の障害レベルが永続する人です。
(2)聴覚または平衡機能の障害
(3)音声機能、言語機能 または そしゃく機能の障害
(4)肢体不自由
(5)心臓、じん臓、または、呼吸器の機能障害
(6)ぼうこう または 直腸の機能障害
(7)小腸の機能障害
(8)ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害
(9)肝臓の機能障害
支給対象かどうかをはかる障害等級の基準は、身体障害者障害程度等級表というものに定められています。



原因となる疾病に関係なく、障害のレベルが基準に該当すれば、身体障害者手帳の交付対象になります。
申請手続は、お住まいの市区町村役所にある障害者手帳窓口までご相談ください。
障害者手帳について|厚生労働省
(4-1)障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)
精神障害者保健福祉手帳は、一定レベルの精神障害を抱えていることを認定するものです。
精神疾患は、現状と能力障害との両面から総合的に判断され、1級から3級該当者に手帳が交付されます。
精神障害者保健福祉手帳
(5)生活困窮者自立支援制度
(1)から(4)までのほか、全国に設置されている「生活困窮者自立支援事業」相談窓口にて、就労や住居に係わる支援等を行っています。
お困りの際は、お近くの相談窓口までご相談ください。
コロナ後遺症に係る労災認定事例
次の通りです。
(1)医療従事者等
医師、看護師、介護従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則的に労災保険の給付対象となります。

(2)医療従事者以外の労働者
感染源が業務と関連していることが明らかな場合、労災保険の給付対象とされます。

(3)医療従事者以外で、感染経路が特定できない場合
感染経路が特定されない場合でも、複数の感染者が確認されている労働環境下における業務や、顧客と物理的な接触機会の多いなど、感染リスクが相対的に高い業務に従事している場合には、労災保険の給付対象となります。



引用元:新型コロナウイルス感染症に係る労災認定事例|厚生労働省
まとめ
今回は、新型コロナウイルス感染症の後遺症に悩む方が活用できる制度と、労災の給付対象となった事例をご紹介しました。
一時に比べれば落ち着きを取り戻してきたように思えますが、後遺症で悩んでいらっしゃる方にとってはまだまだ不安だらけだと思います。
ご自身が活用できる制度はフルに使い、1日も早い快復をお祈りしています。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。