
隣近所にお住まいの方や、通勤時、自分のそばに乗車している人との関係を規制する法律に「民法」があります。
日常生活の中で何らかのトラブルが生じた際、解決のために法律に救いを求めることは間々あります。
当事者間の話し合いで解決すれば、法律は出る幕がないのです。
そんな我々の日常には、可愛いわんちゃん、ねこちゃんなどのペットがいます。
今回は、ペットが民法上どのように扱われているのかを踏まえ、ペットが冒した罪の責任、捨て犬・捨て猫の取扱いについて解説します。
ペットに関する法律
ペットに関するルールを定める法律には、次のものがあります。
✓動物愛護管理法
✓狂犬病予防法
✓獣医師法・獣医療法
この他、独自の条例を定めている自治体もあります。
ペットの損害は誰が責任を負う?
ペットが起こした事故等の責任を問う場面で、次の条文を用いるのが一般的です。
2.占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。
飼っているペットが他人に何らかの損害を与えた場合、「占有者」は責任をとらなくてはなりません。
人同士の責任の取り方は、別の条文で「不法行為責任」として定められていますが、上記の定めは、不法行為責任よりも重い内容となっています。
民法第709条(不法行為による損害賠償)というもので、内容は次の通りです。
「故意」または「過失」によって、他人の権利または法律上保護される利益を侵害した人は、これにより生じた損害を賠償する責任を負う。
動物の場合、故意かどうかなどわかりませんし、人の常識が通用しない点で過失をはかることができないため、面倒を見る人に「しっかり面倒を見なさいよ!」と念押しする狙いがあるのでしょうね。
動物は犬猫に限らない
718条の「動物」には、制限がありません。
つまり、犬、猫だけでなく、馬や牛、鳥、熱帯魚など全ての動物を含むことになります。
責任をとるのは飼い主だけじゃない
718条には、「占有者」「占有者に代わって動物を管理する者」の2人が登場します。
前者は飼い主、後者は管理者だと考えて下さい。
ペットが他人に迷惑を掛けたとき、責任をとるのは飼い主だけではありません。
具体的には、ペットを一時的に預かる知人・友人などが管理者にあたると考えられています。
捨て犬・捨て猫はどうなるの?
私の近所では見かけませんが、いまだに捨て犬・捨て猫がいるようです。
生まれて間もないおちびちゃんたちが捨てられているなんて、見ていられませんよね😭
次の条文をご覧下さい。
まぁ~~~なんともわかりづらいかと思いますが、要点は次の通りです。
(2)引き取って1箇月以内に飼主が申出なかった
(3)1と2を満たした場合、自分のペットとして認められる
例えば、首輪や鑑札、マイクロチップをつけていない犬、または猫が路頭に迷っていて、やむを得ず保護した場合。
その子が飼い犬または飼い猫なのか、それとも野良なのか、区別するのは至難の業です。
このような状況下、放っておけず保護した場合を「善意」とします。
反対に、首輪やマイクロチップがついていて、誰かのお宅から逃げ出してきたのが明らかなのに保護した場合は「悪意」として、保護から1箇月以内に申出がなかったとしても、自分のペットとして迎える事はできません。
我が子として迎えるには
実際の所、捨て犬や捨て猫を迎えるにはどのような手続が必要なのでしょうか。
現在の日本において、ペットは法律上「物」です。
法律家として、いち愛犬家としては恥ずかしく、胸が痛みますが、本記事内ではおゆるしください😭
そのため、人間と同じように捜索願を出すわけにはいかず、飼主は警察に「遺失届」を提出することになります。
保護する側は最寄りの警察署に保護、または拾ったと通報し、飼主が現れるまで待つ事になります。
遺失物の拾得は、「公告から3箇月以内に所有者が現れなければ、拾った人が所有権を取得する」と定めていますが、この対象が犬猫だと、飼主が現れず野良犬・野良猫認定された段階で我が子となります。
まとめ
今回は、ペットがお粗相した場合の責任を誰がとるのか、捨て犬・捨て猫は黙って飼ってしまってもいいのか?解説しました。
電車の中吊り広告等で「その一目惚れ、迷惑です」というものを見かけました。
はじめてこのCMを見た時、息が止まりました。
どんなに愛らしい見た目をしている儚い子も、人間と同じように排泄し、病気やケガを経験することもあります。
人間の住環境に異なる生き物がいれば、様々な調整は必ず必要です。
このことをしっかりと心に留め置き、熟考して迎えていただきたいと思います。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。