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本記事では、非課税でできる贈与についてわかりやすく解説します。
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筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
生前贈与とは
贈与税は、贈与を受けた財産額に一定の税率をかけて申告・納税すべき税金のことです。
生前贈与は言葉の通り、贈与者が生きているうちに特定の人に財産を与えることをいいます。
生前贈与を行うと、財産額が減少するため、相続時に課税される金額が少なくなることから「節税対策」として勧められることもあります。
生前贈与の非課税枠
生前贈与をする場合、贈与した財産には「贈与税」が課されます。
相続税と比較すると税率が高いため、敬遠する人もいますが、贈与税にも非課税枠があります。
- 暦年贈与の基礎控除
- 相続時精算課税の特別控除
- 贈与税の配偶者控除
- 特定障害者等に対する贈与税の非課税制度
- 結婚・子育て資金の非課税措置(2025年3月末まで)
- 教育資金の非課税措置(2026年3月末まで)
- 住宅取得資金の非課税措置(2026年12月末まで)
1.暦年贈与の基礎控除
暦年贈与とは、1月1日から12月31日までに受けた贈与に対し、贈与税を課税する制度です。
1年間の合計が基礎控除額の110万円以下なら非課税で、申告不要です。
ただし、110万円を超えた部分には10%から55%の贈与税が課されることになりますので、注意しましょう。
基礎控除は1人につき110万円/年なので、推定相続人が複数いる場合、110万円×推定相続人の数まで非課税での贈与が可能です。
2.相続時精算課税の基礎控除
相続時精算課税制度は、贈与者が生前贈与した財産を相続財産とまとめて課税する制度です。
適用すると2,500万円までは贈与税がかかりませんが、超える部分には課税されます。
また、この制度を利用する場合には、毎年度の確定申告が求められます。
相続時精算課税制度による贈与財産は、贈与者の死亡時に相続財産に加算しますが、算入するのは「贈与時の時価」です。
価格が変動する財産は、うまく活用すれば節税に繋がる可能性があります。
3.贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産や居住用不動産の購入資金の贈与が行われた場合、最大2,000万円まで非課税となる制度です。
この制度を利用して行われた贈与は、贈与者の死亡後、相続税の課税対象となりません。
4.特定障害者に対する贈与税の非課税制度
特定障害者の生活費などに充てるために、信託契約に基づいた財産信託があったとき、条件次第で最大6,000万円まで贈与税がかかりません。
特定障害者とは、次の人をいいます。
✔ 中程度の知的障害者
✔ 障害等級1級 または 2級の精神障害者 等
5.結婚・子育て資金の贈与税の非課税措置(2025年3月末まで)
18歳以上50歳未満の子または孫に対し、父母または祖父母から結婚・子育てにかかる費用の贈与を受けた場合、受贈者が50歳に達するまでに支払う結婚・子育ての費用は、最大1000万円まで贈与税が非課税となります。
2025年3月までの時限措置である点に、注意しましょう。
6.教育資金の贈与税の非課税措置(2026年3月末まで)
父母や祖父母などの直系尊属から教育資金の贈与を受け、受贈者が30歳に達するまで支払った教育費は、最大1500万円まで非課税となります。
2026年3月末までの時限措置であることに、注意が必要です。
7.住宅取得等資金の贈与税の非課税措置(2026年12月末まで)
父母、祖父母から資金提供を受け、住宅を新築・増改築する場合、一定額までの贈与は非課税となる制度です。
購入する住宅に適用される消費税率、住宅の区分により異なりますが、2026年12月末までに受けた贈与の最大1,000万円までが非課税となります。
「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし/国税庁
生前贈与の注意点
生前贈与を行う場合、次の点に注意しましょう。
贈与額が多すぎ生活が困窮する
生前贈与による相続対策を考える余り、贈与額が膨らみ、自分の生活が困窮するリスクがあります。
健康でいられるのが1番ですが、病気やケガなどで福祉施設への入居等を検討しなくてはならないケースもありますから、生前贈与を行う場合は、慎重に検討しましょう。
名義預金は贈与にならない
名義預金とは、実際の預金所有者と名義人が異なる預金のことをいいます。
祖父母が孫の名義で口座を開設し、預金している場合がこれにあたります。
祖父母が管理している以上、名義が孫でも中身は祖父母のものなので、何もしなければ祖父母の財産とみなされ、贈与税の非課税枠が利用できないこともあります。
確実に贈与するなら、あらかじめ贈与契約書等を容易しておきましょう。
死亡直前の贈与は相続税の対象になる
相続税を逃れるために、死亡直前に贈与を行うことがあります。
これを防ぐため、亡くなる前の7年以内に行われた贈与財産は、相続財産に加算して相続税を計算します。
ただ、持ち戻しの対象となるのは法定相続人、受遺者への生前贈与です。
このため、法定相続人以外への生前贈与は一考の価値があるかと思います。
生前贈与の非課税枠 まとめ
当ページでは、生前贈与の非課税枠について解説しました。