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導入:その「お願い」、あなたの人生を静かに壊すかもしれません
ねえ、ちょっと相談があるんだけど
久しぶりに連絡してきた親戚。昔、お世話になった上司、あるいは学生時代の友人。
そんな相手から突然切り出された言葉が、「後見人になってくれない?」だったとしたら、あなたはどうしますか。
頼まれた瞬間によぎるのは「自分に務まるか」ではなく、「断ったら冷たい人だと思われるかもしれない」という不安ではありませんか。
しかし、ちょっとお待ちください。
いまのあなたは、家庭を支えながらキャリアを再構築しようとしているところであったり、子どもの将来に向け副業を始めたり、ようやく自分の人生を取り戻そうとしている最中ではありませんか。
そんなタイミングで降りかかる後見人という十字架。
しかもそれ、信頼されているからではなく”断られなそうだから”持ち掛けられている話かもしれません。
後見人を1度引き受けますと、途中で「やっぱりやめます」は通用しないとお考え下さい。
裁判所対応や金銭管理、家族との軋轢。
あなたの生活も、精神も、将来設計も、じわりじわりと削れていくリスクがあります。
それでも、あなたは引き受けますか。
この記事では、「後見人になってください」と言われたとき、
- 本当に断れるのか
- 断るにはどうすればいいか
- 引き受けた場合のリアルな代償とは
これらすべてを法律と現実、感情の視点から掘り下げます。
第1章:「あなたに頼みたい」は、本当に“信頼”なのか?
あなたしかいないの
他に頼れる人がいなくて
そう言われ、心が動くかも知れません。
けれど、それは本当に信頼の証でしょうか。
後見人として指名される理由として、以下が考えられます。
- 面倒見がいい
- 責任感が強そう
- 断らなそう
- 法律や制度に明るそう
つまり、「信頼できる」ではなく、「信頼できそうな雰囲気」だけで選ばれている現実があります。
「なんで私に?」と思ったあなたへ
たとえば、以下の状況に覚えはありませんか。
- 何かある度に実家から連絡が来る
- 「あの人なら」と名前を挙げられがち
- 家族や親族間の問題処理係として召喚されがち
このように、頼られ慣れている人ほど危険です。
なぜなら、こういった人ほど「NO」と言い慣れておらず、相手もそれを分かった上でゴリ押ししてくるから。
「家族なんだから」──その圧力、正義ですか?
自分に頼ってくるのが親や兄弟、恩師だった場合。断りづらいですよね。
- 家族なんだから
- 頼っているんだから
こういった道徳の顔をした支配が、あなたの人生を静かに喰い荒らします。現に、
- 家庭裁判所への報告・手続に追われ、会社の有給を使い果たした会社員
- 金銭管理のストレスにより家族との関係が崩れた主婦
- 「やって当然」の空気にさらされ続け、誰にも助けを求められなかった中年男性
彼らは、最初の一歩で断れなかったことが原因で人生を大きく狂わされてしまったのです。
最初の問い直し:「なぜ、自分が選ばれたのか?」
はじめに戻りますが、なぜあなたが選ばれたのか。その理由は、責任感が強いからではなく、都合がよさそうだから、かもしれません。
この問いを直視できるかどうかで、自己防衛の可否が決まります。
第2章:「断れる」けど、“今”しかないタイミングがある
結論から言うと、後見人は断れます。
しかしそれは、「巻き込まれる前」に限ります。
引受けるか否かを決める上で、まず知っておいて欲しいことがあります。
後見制度は、大きく2つに分けることができます。
- 任意後見:契約ベース
- 法定後見:家庭裁判所の審判ベース
それぞれ、断れるタイミングと断り方が異なります。
任意後見:契約前なら、余裕で断ってOK
もし、「将来に備えて契約したい」と言われた場合は「任意後見」に該当します。
任意後見とは、当事者同士が公正証書で契約する型です。
つまり、署名押印していないのなら、断って問題ありません。ただし、
- 口約束だから
- はっきり断るのも気まずいし
等と曖昧な態度をとってしまうと、あとから「了承したじゃん」と詰められる可能性があります。
この段階であれば、毅然とした態度が1番の防御です。
法定後見:家庭裁判所がまだ動いていなければ辞退可能
「もう手続が進んでいる」と言われた場合、法定後見に該当する可能性が高いです。
この場合、最終的に後見人を選ぶのは家庭裁判所ですが、選任の審判が下る前なら辞退することができます。
相手がどんなに「あなたに頼みたい」と言っても、裁判所が決める前なら「責任を持てない」と辞退することができます。
ただし、選任された“あと”は、話が変わります
1度家庭裁判所により後見人に選ばれた場合、「やっぱり無理でした」が通用しません。
辞任を希望しても、裁判所が「正当な理由あり」と認めない限り、却下される可能性が高いです。たとえば、
- 精神的に不調をきたした
- 長期入院等により物理的に不可能となった
- 被後見人との関係が完全に破綻している など
客観的・深刻な理由がある場合でなければなりません。
「仕事が忙しい」「家庭の事情」だけでは辞任できない可能性が高いといえます。
「冷たい人になりたくない」──その優しさが、自分を壊す
親戚だし
頼られて嬉しいし
断ったら自分が悪者になるのでは…
そんな”情”に流され、断らなかった場合、気づけば、
- 生活リズムが崩れる
- キャリアが壊れる
- 誰にも頼れない
- 自分自身がすり減る
という人が少なくありません。
断る≠見捨てる。後見人を引受けるということは、相手の人生を背負うことです。
その責任が持てないのなら、断ることが勇気ある決断になるはずです。
第3章:「ちょっと手伝うだけ」で済まない、後見人のリアル
後見人の役割は、法律的×実務的に決して軽いものではありません。
ここでは、引受けたあとに起きるリアルな変化を4つの視点から整理します。
【現実①】延々と続く、手続き・報告・チェック・提出
後見人には、財産管理と身上保護という大きな義務があります。具体的には、
- 預金や支出の管理
- 公共料金や契約内容のチェック
- 医療・介護の状況把握
- 年1回の家庭裁判所への報告書提出
- 領収書・明細・訪問記録等の保存と提出 など
これらは思った以上に時間と体力を奪われます。
さらに、突発的な支出があればその都度説明しなければなりません。
ふつうに働いているのに、副業以上の作業量になることも珍しくありません。
【現実②】報酬、ゼロ円ってことも普通にある
すこしは報酬もらえるんだよね?
そう思っているあなた。甘いです。
任意後見は事前に報酬額を決めることができますが、法定後見の場合は裁判所が決め、ゼロもあり得ます。
後見人への報酬は、被後見人の資産から支払われるため、資産辞退が少なければ月5,000円に届かないケースもあります。
しかも、移動費・コピー代・人件費は自腹です。
【現実③】人間関係が壊れるリスク
後見人は、家族のお金を扱う立場となります。
つまり、感情と利害が衝突しやすいポジションです。
- 何でこの使い方?
- もっと親身に動いてよ
- 兄貴の金なんだから好きにしていいでしょ
こうした不満や誤解、怒りが積み重なった結果、親族会議は修羅場に早変わり。
あなたがきちんとやろうと頑張るほど、「うるさい奴」「管理が細かすぎる」と逆恨みされる可能性があります。
【現実④】あなたの人生が、確実に“遅れる”
あなたはどんな未来を思い描いていますか。
- 子どもの教育費のために副業を始めたい
- キャリアを見直し、転職したい
- 夫婦でマイホーム購入を計画している
- 自分自身の進学を決意した
しかし、これらに後見人の責任がのしかかるとどうでしょうか。
気づけば、自分の人生が誰かの面倒ごとで消えていく。そんなケースもあります。
「やるって言っちゃったから…」では済まされない
- 時間
- 体力
- 精神力
- 未来設計
これらすべて、後見人を引き受けると想像以上に消耗します。
「引受ける前に戻れたら…」
そんな風に悔やむ声を何度も聴いてきました。
第4章:「引き受ける?断る?」──迷ったときに立ち返る、3つの視点
「家族だから」「恩義があるから」
このように”情”で押し切られ、後悔する人が後を絶ちません。
けれど、後見人は気持ちだけで務まる仕事ではありません。
1度引き受ければ途中で投げ出すことが困難だからこそ、「引き受けるかどうか」の判断は構造で考える必要があります。
ここでは、決断の軸となる3つの視点を提示します。
①「情」ではなく、「責任」で見る
- 親だから
- 他に頼れる人がいないから
- あの人を見捨てたくないから
そのお気持ちはよくわかりますが、”やさしさ”を提供し続けるだけで満足ですか。後見人には、
- 法的な義務
- 継続的な管理責任
- 時間的・精神的な拘束
がついてまわります。
これらを踏まえ、問うべきは「長期間の責任に耐えられるか」ではないでしょうか。
② 迷ったら、必ず「専門家」に相談する
断ったら訴えられる?
どこまで自己責任なの?
裁判所対応って何をすればいいの?
このような不安をひとりで抱え込む必要はありません。まずは、以下の窓口にご相談ください。
- 家庭裁判所の後見相談窓口
- 行政書士・司法書士・弁護士等の専門職
- 地域包括支援センター(高齢者が関わる場合)
法律が絡む問題に「自己判断」は禁物です。相談≠逃げ。最善の防御を選択してください。
③ 「一度きりの人生」と引き換えにできるか?
いま、あなたが守ろうとしているものは何ですか。
- 家族との時間
- キャリアの再構築
- 自分自身の夢と未来
それらすべてを後見人としての責任に長期間、妨げられる可能性があります。
その現実を直視し、それでも引き受けたいと思えますか。
それこそが最終判断のラインです。
最後に、もう一度だけ問いかけます。
「後見人になってください」と言われたとき、あなたは本当に、その責任を引き受けられますか。
あなたの人生を、あなたが選び取るために
「頼まれたから」「断れなかったから」「自分さえ我慢すれば…」
そうして引き受けた後見人という役割に、いつしかあなたの人生が擦り減っていくかもしれません。
今ならまだ、間に合います。引き受ける前に立ち止まる勇気を。
断ること≠冷たさ。自分の人生を生きると決めた人には最適解ではないでしょうか。
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