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Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
遺産分割協議書とは
ご家族が亡くなった際、遺された財産(相続財産または遺産といいます)を誰が、何を、どのくらい相続するのかを話し合うことになります。
この話し合いを「遺産分割協議」といい、この中で決まった事柄を書面にしたのが遺産分割協議書となります。
遺産分割協議書の提出先
作成した遺産分割協議書は、主に次の機関に提出します。
- 金融機関
- 法務局
- 税務署
- 証券会社
- 陸運局(運輸支局)
1.金融機関
被相続人の預貯金口座の解約・名義変更等の手続において、下記の書類を提出するのが一般的です。
- 相続手続依頼書
- 遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本
- 法定相続人全員の戸籍謄本
- 法定相続人全員の印鑑登録証明書
- 特定の相続人が相続する場合、その人の実印
- 預金通帳・キャッシュカード、証書等
2.法務局
遺産の中に不動産が含まれる場合、土地・建物の所在地を管轄する法務局にて名義変更を行う必要があります。この際、次の書類を提出します。
- 登記申請書
- 登記事項証明書(全部事項証明書)
- 遺産分割協議書
- 固定資産評価証明書
- 被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本
- 被相続人の住民票(除票・附票)
- 法定相続人全員の戸籍謄本と印鑑登録証明書
- 特定の相続人が相続する場合、相続人の住民票
- 収入印紙(不動産価格の0.4%)
不動産の相続登記に期限はありませんでしたが、令和6年(2024年)4月1日より、相続登記義務化制度が適用されます。
一定期間を過ぎても登記されない場合、催促の意味でペナルティも。
ペナルティがあるからではなく、現状に合った登記がされていないと後々大きなトラブルに発展しかねませんので、早めに作成・提出されることをオススメします。
3.税務署
相続税が発生する場合、税務署にて申告・納付の手続をしなければなりません。
申告先は、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署で、下記の書類を提出しておこないます。
- 相続税申告書
- 被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本
- 法定相続人全員の戸籍謄本と住民票
- 法定相続人全員の印鑑登録証明書
- 相続財産が確認できる関係資料
相続税の申告・納税期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月なので、はやめに相続財産と法定相続人を特定し、相続税の課税対象かどうかを調べましょう。
4.証券会社
株式などの有価証券を持っている場合、証券会社にて株式を引き継ぐ手続を行います。
一般的に、下記の書類を提出するよう求められます。
- 相続手続依頼書
- 遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本
- 法定相続人全員の戸籍謄本
- 法定相続人全員の印鑑登録証明書
- 相続人の証券口座開設依頼書※
※相続人が既に証券口座を持っていれば不要な書類です。
5.陸運局(運輸支局)
相続財産に自動車が含まれる場合、陸運局または運輸支局に下記の書類を提出します。
- 自動車検査証(車検証)
- 車庫証明書
- 遺産分割協議書(※)
- 被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍謄本
- 相続する人の実印と印鑑登録証明書
※自動車の査定価格が100万円以下の場合、遺産分割協議書よりも簡易な「遺産分割協議成立申立書」で手続ができます。
遺産分割協議書の提出が不要な場合
遺産分割協議書は、必ず作成しなければならないものではありません。次のような場合、作成は不要です。
- 被相続人の遺言書がある
- 法定相続人が1人
- 自分以外の法定相続人が相続を放棄した
- 法律で定められた通りの割合で遺産を承継する
被相続人の遺言書がある
被相続人が遺言書を遺している場合、遺産分割協議書ではなく、この遺言書を提出して手続を行うことになります。
遺言書があっても、内容が無効な場合は遺産分割協議書が必要です。
法定相続人が1人
法定相続人が1人の場合、遺産分割自体が不要なので、遺産分割協議書も不要です。
ただ、本当に自分だけが法定相続人かどうかを確認しなくてはなりませんので、遺産分割協議書以外の書類を省略することはできません。
自分以外の法定相続人が相続を放棄した
法定相続人が2人以上いたものの、自分以外が全員放棄した場合は、法定相続人が1人の場合と同じ状態なので、遺産分割協議書は必要ありません。
ただし、他の人が相続放棄したことを証明する書面が必要となります。
法律で定められた通りの割合で遺産を承継する
遺産全てを法律で定められた通りの割合で承継する場合、遺産分割協議書は必要ありません。
ただ、遺産に不動産や有価証券が含まれていると、法定割合での分割は困難なので、遺産分割協議書を作成することをオススメします。
遺産分割協議書の提出は原本で
金融機関や行政庁にて相続手続を行う場合、遺産分割協議書は原本の提出を求められます。
コピーでの提出は原則不可とされますので、法定相続人と同数の遺産分割協議書を作成し、各自が控えを保管しましょう。
複数の機関で相続手続が必要な場合、必要な部数分の遺産分割協議書を作成する、または、1冊を使いまわす方法が考えられます。
冊数が増えれば増えるほど当事者は大変なので、筆者が手続を承る際は、1冊を使い回す方法で対処しています。
相手が返してくれるか不安な場合、全てのページをコピーし、「原本と相違ありません」と記載したうえで、申請者自身が直筆で署名押印して、いっしょに提出します。
提出時に「返して欲しい」と伝えると、戸籍謄本等の書類も返却してくれるところがほとんどです。
残念ながら、すべての機関がこの処置で返却対応してくれるわけではありません。返却に必要なものを事前に確認しておきましょう。
遺産分割協議書の提出先と不要な場合 まとめ
当ページでは、遺産分割協議書の提出先と不要な場合を解説しました。