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問15
都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1.都市計画区域外においても、特に必要があるときは、都市施設に関する都市計画を定めることができる。
2.準都市計画区域については、用途地域が定められている土地の区域であっても、市街地開発事業に関する都市計画を定めることができない。
3.用途地域の一つである準住居地域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するために定める地域である。
4.地区計画は、用途地域が定められている土地の区域についてのみ都市計画に定められるものであり、また、地区計画に関する都市計画を定めるに当たっては、地区整備計画を都市計画に定めなければならない。
正解:4
1:正しい
都市計画区域外であっても、特に必要がある場合には都市施設に関する都市計画を定めることが可能です(都市計画法第5条第2項)。
したがって、本肢は正しいです。
例えば、公共施設の整備が必要な場合などが該当します。
(補足)都市計画区域とその他の違い
都市計画区域とその他の区域の違いを、下記にまとめました。
項目 | 都市計画区域 | 準都市計画区域 | 非線引き区域 | 都市計画区域外 |
---|---|---|---|---|
定義 | 計画的な市街地形成や土地利用を目的とする区域 | 市街地の形成が予想されるが、用途地域は設定しない区域 | 市街地形成が抑制されない都市計画区域 | 都市計画区域の外に位置する区域 |
目的 | 無秩序な開発防止、計画的な都市形成 | 市街地化の調整、無秩序な開発防止 | 緩やかな市街地形成 | 原則、自由 |
用途制限 | 詳細な規制有り | 必要に応じ、特定用途制限地域などを設定 | 用途地域の設定なし | 原則、なし |
開発行為 | 調整区域については厳格な規制あり | 特定用途制限地域などは調整可能 | 許可を要するが、規制は緩やか | 特に規制なし |
2:正しい
準都市計画区域では、用途地域や特定用途制限地域を定めることができるものの、市街地開発事業に関する都市計画を定めることはできません(都市計画法第33条第1項)。
したがって、本肢は正しいです。
(補足1)用途地域とは
用途地域とは、都市計画区域や準都市計画区域内で土地の利用方法を定めるために指定される区域を指し、下記13種類に分類されます。
住居系 | 第一種低層住居専用地域 | 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 |
第二種低層住居専用地域 | 第一種低層住居専用地域に加え、一定規模以下の店舗等が立地可能な地域 | |
第一種中高層住居専用地域 | 中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域 | |
第二種中高層住居専用地域 | 第一種中高層住居専用地域に加え、一定規模以下の店舗等が立地可能な地域 | |
第一種住居地域 | 住居の環境を保護するため定める地域 | |
第二種住居地域 | 主として住居の環境を保護するため定める地域だが、大規模な店舗、事務所、ホテル等の建設が可能 | |
準住居地域 | 道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域 | |
田園住居地域 | 主として農業の利便を増進するとともに、良好な住居の環境を保護するため定める地域 | |
商業系 | 近隣商業地域 | 近隣住民のための店舗その他の利便の増進を図るため定める地域 |
商業地域 | 店舗、事務所その他の業務の利便の増進を図るため定める地域 | |
工業系 | 準工業地域 | 軽工業の工場等の利便を増進し、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域 |
工業地域 | 工業の利便の増進を図るため定める地域 | |
工業専用地域 | 工業の利便を増進するための地域であり、住居、店舗等の建築が禁止される地域 |
用途地域のうち、住居系では、住宅の他に学校や神社等の建築が可能なものの、共同住宅や小規模店舗の建築でさえ制限される地域があります。
商業系では、幅広い用途が認められ、住居も建築可能なものの、騒音や振動の発生が伴う施設も建築可能なことから、住環境の保護が難しいケースも考えられます。
工業系のうち、順工業地域では軽工業と住宅の混在が認められるものの、工業専用地域では居住系建築物が完全に禁止されるなどの違いがあります。
(補足2)特定用途制限地域とは
特定用途制限地域とは、用途地域が定められていない区域において、一定の用途制限を行うことができる地域を指します。
具体的には、建築物の用途制限や規模制限、その他高さや形状、色彩に関する規制が含まれる場合があります。
下記に、用途地域との違いをまとめました。
項目 | 用途地域 | 特定用途制限地域 |
---|---|---|
設定対象区域 | 都市計画区域内 | 用途地域が定められていない区域 |
規制の内容 | 住居系・商業系・工業系など具体的な土地利用を詳細に規定 | 特定の用途や施設を個別に制限 |
柔軟性 | 細かい用途地域の区分を適用 | 必要最低限の用途規制のみ |
3:正しい
準住居地域は、道路の沿道地域としての業務の利便性と住居環境の調和を図る目的で設定される用途地域です(都市計画法第9条第9項)。
したがって、本肢は正しいです。
住居系用途地域に含まれるものの、一定条件下において、店舗や事務所の設置も認められます。
(補足)準住居地域とは
準住居地域とは、法律上、下記の通り定義されています。
「主として自動車交通の利便を増進する施設とこれに関連する利便施設を適切に配置し、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するために定める地域」
他の用途地域との違いを下記にまとめました。
第一種住居地域 | 住環境重視。中小規模の店舗や事務所も許容されるが、規模に制限あり。 |
第二種住居地域 | 第一種住居地域よりも幅広い業務施設や商業施設が許容されるが、騒音などに配慮した制限がある。 |
準住居地域 | 自動車交通との調和を図るため、道路沿いの業務や商業施設をより多く許容しつつ、住環境を保護する特性がある。 |
近隣商業地域 | 商業施設や店舗の導入を優先し、住宅も建てられるが住環境の保護はあまり重視されない。 |
4:誤り
地区計画について、用途地域が定められていない区域でも都市計画に定めることができます(都市計画法第12条の4)。
また、地区計画を定める場合、必ずしも地区整備計画を定める必要はないことから、本肢は誤りです。
(補足)地区計画とは
地区計画とは、都市計画法に基づき定められるもので、地域の特性や将来の方向性に応じ、きめ細やかな土地利用や街作りのために設定されるものを指します。
地区計画には、下記の事項を定めることができます(都市計画法第12条の4)。
区域 | 計画が適用される範囲を明確に指定 |
地区整備計画 (必要な場合) | 道路、公園、建築物の用途や形態、緑地など、具体的な整備内容を設定 |
その他 | 開発行為、建築行為に関するガイドラインなど |
地区計画は、都市計画の中でも特に、住民の生活に密接に関わる計画です。