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補助金や助成金は「もらえるならもらっておこう」という軽い感覚で手を出すと、想像以上に時間も労力も奪われる。まして開業前後の忙しい時期に、採択されるかも分からない書類作成に何十時間も費やすのは、資金繰りにも計画にも影響が出かねない。
家族がいるからこそ、大きな失敗は避けたい。
その一方で、「最悪ダメでも生活は回る」という安心感が、判断を甘くする場面もある。
だからこそ、最初の一歩は“勢い”ではなく“条件整理”から始めるべきだ。
この記事では、初めての申請でやるべきこと、やらなくていいことを数字と現実で切り分け、読むだけで「やる/やらない」が決められる状態まで持っていく。
Contents
第1章 補助金・助成金の本質を押さえる
補助金と助成金は似ているようで、目的も使い方もまったく違う。
補助金は「これから行う事業や投資を後押しするための資金」で、採択されても入金は後払いが基本だ。
つまり、先に自分でお金を使い、その使い道や成果を証明できなければ受け取れない。
助成金は「条件を満たせばほぼ確定で受け取れる資金」だが、その条件は雇用や制度整備など、明確に目的が決められている。
どちらも「余剰資金」ではなく、「特定の条件を満たした人・事業にしか支払われない資金」だ。赤字補填や生活費の足しにするものではないし、採択=成功でもない。
ここを理解せずに手を出すと、結果として手元の資金も時間も削られ、事業計画そのものが遅れるリスクがある。まずは、このお金が“何のためにあるのか”を正しく理解することから始めるべきだ。
第2章 数字で見る現実とリスク
初めて申請する人が見落としがちなのは、「申請にかかる工数」と「採択される確率」だ。
例えば人気の補助金では採択率が3〜4割程度というものも珍しくない。つまり、10人が申請しても6〜7人は不採択になる計算だ。その間にかけた時間は返ってこない。
申請書作成は1日や2日で終わる作業ではない。
公募要領の読み込み、必要資料の準備、見積取得、事業計画の言語化、添付書類の作成……実働で20〜40時間はかかる。
しかも提出後は審査や確認で数か月、実際の入金までさらに数か月かかることもある。
資金繰りが綱渡りの状態で申請しても、「受給前に資金が尽きる」という事態になりかねない。
補助金や助成金はあくまで“加速ツール”であり、“延命ツール”ではない。
数字とスケジュールを冷静に見積もり、「不採択だったら何を得られるか」まで考えて着手することが、初回で大きく外さないための最低条件だ。
補助金や助成金の成否を分けるのは、事業計画書の質だ。
「何を書けば通るのか」「どうやって数字を盛り込めば説得力が増すのか」を初めての人でも形にできるよう、実例つきの解説記事をnoteでまとめた。
第3章 初回で失敗しない判断基準
補助金・助成金の申請は、「とりあえずやってみる」だと失敗率が跳ね上がる(やること自体に価値を見出せるのなら◎)
特に初回は、自分の状況と目的を冷静に仕分けすることが重要だ。
やるべき人
- 事業計画が固まっており、投資目的や使途が明確
- 必要書類を期限内に揃えられる(決算書、見積書、契約書など)
- 採択後の報告・証憑管理まで見通しが立っている
やめたほうがいい人
- 開業準備が混沌とし、事業計画が日替わり
- 資金繰りギリギリで、後払い資金に耐えられない
- 申請書作成に充てられる時間が確保できない、あるいは外注できない
外注を検討すべき人
- 申請経験ゼロ、公募要領を読んでも要件が理解しづらい
- 本業の時間単価が高く、数十時間の作業を自分でやるのは割に合わない
- 採択率をできる限り上げたいが、自分で計画を言語化するのが苦手
外注を検討する場合、単に書類の作成代行で終わらせず、要件整理から採択率を高める内容を提案してくれる相手を選ぶべきだろう。経験豊富な第三者の視点が入るだけで、計画書の説得力は段違いになる。
ここで投じた費用は、採択されたときにほぼ確実に回収できる可能性が高い。
自分の状況で「やるべき」か「やめるべき」かを、10分で判断できるチェックリストを作った。
無料部分で概要を、さらに詳しい解説はnote有料記事で公開している。
チェックリストと解説はこちら
第4章 不採択でも“損しない”準備法
初めての申請で一番堪えるのは、「頑張って書類を作ったのに落ちた」という徒労感だろう。
しかし事前に、不採択でも得るものがある設計にすることで、精神的・実務的なダメージを無効化できるはずだ。
ポイントは、申請書や添付資料を「事業の棚卸しツール」として使い回すことだ。
営業資料に転用 | 事業の強みや提供価値を文章化していることから、営業や提案書にそのまま使える |
融資申請に転用 | 金融機関向けの事業計画書として、土台を再利用可能 |
求人・外注募集に利用 | ビジョンや事業概要を明文化しているため、人材獲得に役立つ |
不採択になったとて、事業の軸を整理し、外部向けに伝えるための骨格が手に入る。
逆に、これらの副産物さえ残らない申請では、時間と手間の浪費で終わる。
はじめから再利用を前提に作成することにより、申請そのものの価値が大きく変わる。
不採択でも価値が残る事業計画書の作り方と、再利用できるテンプレートをnoteでまとめた。
初回申請でも無駄にならない設計のコツがわかる。
テンプレートと解説はこちら
第5章 具体的アクション3ステップ
ここまで読んで「やるべきか」の判断ができれば、あとは動くだけ。
初回申請を効率よく進めるために、次の3ステップを押さえておく。
公募要領を3件ピックアップ
同業や近い業態が活用している補助金・助成金を探し、要件・スケジュール・採択率を比較する。
条件が合わない案件に労力を使わないためのフィルタリングが重要だ。
時間単価と申請工数を試算
自分の1時間あたりの価値(売上や利益ベース)をざっくり計算し、想定される作業時間と掛け合わせる。
「自分でやるか、外注したほうが得か」を数字で見ること。
着手日をカレンダーに入れる
作業を“空いた時間”にやろうとすると、申請期限に追われて質が落ちる。
具体的な着手日と中間チェック日を決め、締切逆算で進めるのが鉄則である。
この3ステップを踏まえ、申請の可否と注力すべきポイントを特定、資源配分を最適化できるだろう。
おわりに
家族がいるからこそ、大きな失敗は避けたい。それは当然の判断だ。
だが、安全策という名のもとに動きを先送りしているうちに、チャンスの期限が切れてしまうこともある。
補助金や助成金は、準備と判断のタイミングさえ誤らなければ、事業の立ち上がりを加速させる強力な手段になる。
申請するか迷っている間にも、公募は締切へと近づいている。
まずは要件と自分の条件を照らし合わせ、「やる/やらない」を決めること。
そして「やる」と決めたら、最初の一歩を間違えないための情報とツールを揃えておく。
無駄を減らし、採択率を上げるための事業計画書の書き方や案件選定のシートは、noteでまとめてある。
初回申請を無駄にしないための実践セットはこちら
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家族に胸を張って結果を伝えられるよう、今日から準備を始めよう。