貯金だけじゃない、退職後に必要な“心の準備”

当サイトの一部にアフィリエイト広告を含みます。

貯金だけじゃない、退職後に必要な“心の準備”

 「定年(退職)まであと〇年…」と考えながら仕事に追われるも、いざ退職時期が近付くと、「これから何をしようか」と不安になる人が多いと聞く。退職後の生活っで大切なこと、それは金銭を蓄えることだけでなく、「」も含まれる。

 当ページでは、退職後の新生活を円滑に楽しむポイントを紹介したい。


退職はゴール?いいえ、むしろスタートです!

 長く勤めてきた人ほど「退職=<ひと段落ゴール」という感覚に陥りがち。しかし、実際にはその後の人生のほうが長いかもしれない。というのも、単純に平均寿命と退職年齢を見たところ、現代の日本において、男性の平均寿命は80歳を超えている。一方で、退職する年齢(定年退職)は60代半ばから後半が一般的。

 つまり、退職後の人生が20年以上ある場合が多い

 言い換えるなら、定年退職後の生活は働いていた時間と同じ、またはそれ以上の長さがあるということ。そのため、退職は「ゴール」ではなく「新たなスタート」と言える。―――にもかかわらず、何の準備もせず退職を迎え、やることがないと感じる声も意外に多い。

 定年後の生活を充実させるには、早い段階から準備を始めることが大切であることは容易に想像できるだろう。

 具体例として、「仕事一筋」で40年近く働きづめだった自営業のご夫婦を紹介したい。

 退職を迎えるにあたり、ご主人は「ようやく自由の身だ!」と喜んでいた。そんな彼とは対照的に、奥さんは本当に大丈夫かと不安げな様子であった。

退職後の不安ベスト3

 退職後に感じる不安は人それぞれだが、特に多いものを3つ挙げると以下の通りだ。

 まず、頻出は「お金の不安」。退職後は、収入源が限られるため心配も大きいだろう。年金だけで生活できるのか、貯金は足りるかといった不安は、誰しも一度は頭をよぎるのではないだろうか。特に、これまで仕事をしていたときの収入と比べ、収入が大きく減ることが予想されるため、そのギャップをどう埋めるかが心配の種となる。

 次いで「時間の使い方」に関する不安も多い。長年仕事をしてきた人に対し、突然与えられるたくさんの自由時間を過ごすことは、意外にも困難を伴うようだ。最初はやりたいことがたくさん浮かぶも、いざ時間ができた途端に何をしていいのか分からない。その結果、無駄な時を過ごし嫌悪する―――。時間が余ると余計なことを考え不安になるのだろう。

 そして、「人とのつながり」に関する悩みも聞かれる。仕事をしているうちは、日常に同僚や上司とのコミュニケーションがあるのに対し、退職後はそれらのつながりが急激に薄れることがほとんどだ。それまで仕事を通して社会的な役割を感じていた人の場合、その役割を失うことで不安や孤独感を強めてしまう。


 上記3点は、退職後にたくさんの人が直面する代表的な不安である。こうした不安は、事前に意識して準備をすることで、退職後の穏やかな時間につなげよう。


「趣味がない」問題

 退職後、趣味を謳歌しようと考えるも、蓋を開けてみると趣味らしい趣味がなかった。このような気付きを得る人も多い。この場合、無理に何かをはじめる必要はないものの、自分が興味を持てそうなものをいくつか見つけておくと将来的に気楽だろう。 

 たとえば、休日に近所のお店をピックアップしたり、通勤経路から敢えて外れた道を歩く、又はYouTubeやSNSで気になる話題を深堀りすると、自分の心が動く”なにか”に出会える確率は上げられる。

 ここで大切なのは何かに出会うことではなく、「気になるもの」に関するアンテナを張る習慣づけと感度向上だ。大げさな準備はいらない。まずお試し感覚で気軽に踏み出そう。

「お金はあるけど、話し相手がいない」問題

 退職後によく聞かれる不安の一つに、「お金はあるけど、話し相手がいない」という状況に伴う孤独感がある。現役時には毎日顔を合わせた同僚たち。業務を通じ、さまざまな会話が自然に生まれるその状況がパタリとなくなるのだから無理もない。

 特に、長年同じ職場に勤めていた場合、気心知れた仲間も多く、良い時も悪い時も共にした人たちとのコミュニケーションが日常であり、楽しみでもあったはずだ。家族や友人との関係も大切なことに違いないが、仕事関連のつながりが途絶えることは、それまで築き上げてきた地位の消失と、「自分は用なし」だと言われているような感覚なのかもしれない。

 この問題に対して有効なのは、あらかじめ社会とのつながりを意識することだ。たとえば、退職後も参加できる趣味や地域のイベントに顔を出す、昔の友人と定期に連絡を取り合う、またはSNSを使い関心のある分野に関わる人たちとオンライン上で交流をもつといった方法が考えられる。

 何気ないやり取りに含まれる社会とのつながりや既存のコミュニティに対する安心感に気づける力は、退職後の生活をより良いものへと導く力となる。金銭面への不安解消後に求められるのは、こうした人とのコミュニケーションだということを肝に銘じよう。

 もし、人付き合いが苦痛な場合は、無理をしてまで付き合うことはない。この場合、最低限社会とのつながりを持ち続けられる手段を講ずると良いだろう。

「理想の老後」は、今日の一歩から!

 退職後の生活について、いきなり大躍進を遂げるのは難しい。しかし、自分の理想を明確化し、今から少しずつ準備を整えれば、いざそのときが来ても慌てることはない。

 小さな積み重ねが退職後のあなたを幸せにする。このことを忘れず、金銭や物的な豊かさのみにとらわれず、今を楽しんでほしい。