0巻・過去編・渋谷事変から見る五条悟と夏油傑の関係性|愛とすれ違いの真実

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 五条悟と夏油傑。

 呪術廻戦のなかでもとりわけ強い絆で結ばれ、決別したこのふたりの関係は、多くの読者に「なぜ」を残します。

 なぜ、最強のコンビは同じ場所に立ち続けられなかったのか。
 なぜ、一緒にいようと言えなかったのか。

 本記事では、心理学の愛着スタイルを軸に、0巻・過去編・渋谷事変の流れを辿りながら、五条悟と夏油傑の関係が崩壊した真因を読み解きます。

 彼らの心の距離をあなたは、どう受け止めますか?

五条悟

肩書:演題最強の呪術師/六眼+無下限呪術の使い手

表層の特徴

  • クール、冗談で距離を取る
  • 誰にも頼らない、1人で出来る系
  • 感情表現が下手、自分の脆さは見せない

内面

  • 愛されることをどこかで諦めている
  • 本音を言うのが「重い」と思っている
  • しかし本当は、誰かにちゃんと受け止めて欲しい

作中行動の例

  • 「俺が最強だから」→防衛線
  • 夏油との関係も深く踏み込む前に距離をとった
  • 渋谷事変での「傑…会いたかったよ」に抑圧していた愛着欲求が滲む

夏油傑

肩書き:元呪術高専のエリート→呪詛師

表層の特徴(初期)

  • 感情を言語化できる
  • 人との関係を築くのがうまい
  • 高専時代は悟・家入と信頼関係が成り立っていた

表層の特徴(天内後)

  • 世界そのものが自分を理解しないと思い始める
  • 悟からの無関心(に見える態度)でさらに孤立

作中行動の例

  • 「私は呪術師だけの世界が見たい」=見捨てられ不安の裏返し
  • 自分の正しさを理解されない焦燥、そして見捨てられた感覚

愛着のすれ違いが生んだ悲劇

五条悟夏油傑
本音の出し方避ける/ふざける伝えようとするが受け止めてもらえず傷付く
信頼の築き方自分が最強であることが担保言葉と共感で築こうとする
崩壊のトリガー夏油が堕ちたこと
(自分の無力さの象徴)
悟に拒まれた/無視されたと感じたこと
別れの構図何も言わず手を下す何も言われずに見捨てられた

呪術廻戦0巻(百鬼夜行)

  • 舞台は本編より1年前
  • 主人公は乙骨憂太、夏油傑が敵として登場
  • 夏油の台詞「やはり私は、呪術師だけの世界が見たい」
  • 一般人に呪霊を放ち、選別を試みるという思想が明確化する
  • 五条が彼を「傑」と呼び、自ら手を下す

 五条は”親友を殺した男”になった。

 そして、夏油は最期まで五条にだけは本音を見せていた節があった。

 言葉にされぬ感情が行間でぶつかり合う終幕がエモい。

「過去編」(懐玉・玉折)

  • 舞台は高専時代/五条と夏油が「最強コンビ」だった頃
  • 任務を共にし、笑い合い、背中を預け合っていた
  • 天内理子を巡る任務の末、五条の価値観は超越的になり、夏油の価値観が人間的に分岐

 夏油は理子の死に対し、「自分の中の正しさ」を見失い、非術師の残酷さに絶望する。

 一方、五条は最強になった代償に感情を置いていく。

 このすれ違いが後の決裂の種となり、まさに玉が折れる編。

渋谷事変

  • 呪術廻戦最大の転換点
  • 五条は封印/夏油(?)再登場
  • 夏油は本物ではないと判明
  • それでもなお、五条は彼を見て「傑」と呼んだ

 夏油はもういないのに、五条は自分の手で殺したはずの親友の姿を見て、どこか嬉しそうな顔をしたように見える。

 それはもう、五条悟という男の限界であり、願いだった。

なぜ夏油は五条悟といられなかったのか

1.理想の正しさがすれ違ったから

 五条は、「強くなれば守れる」と思ったのに対し、夏油は、「世界そのものが間違っている」と考えた。

 その結果、

  • 五条:どんな世界でも俺が守る
  • 夏油:こんな世界で人を守ってどうする

 ふたりとも「人を守りたい」という願いは同じだったのに、その方法と視線の高さが真逆になってしまった。

2.非術師に対する絶望を共有できなかった

 夏油が墜ちたきっかけは、任務中に非術師の親から「呪術師なら娘が死んだのも当然」と冷たく言われたこと。

 非術師は、呪術師を使い捨ての便利屋としてしか見ない。

 そこで彼は壊れた。「人間なんて救う価値があるのか」と。

 しかし、五条は夏油のその傷に気づけず、触れることができなかった。

3.最強への嫉妬、劣等感があったから(暗黙の圧)

 夏油は優秀だったが、五条は圧倒的すぎた。

 並び立っているように見えるものの、五条が「最強」として覚醒してからは差が広がる一方だった。

 夏油はもう、「悟はもう私の届かないところに行ってしまった」と感じていた。

 つまり、「悟と傑」ではいられないと思ってしまった。

4.傑は悟に嫌われたくなかった

やっぱり、私は呪術師だけの世界が見たい。
…どうしたの、悟?

 この「どうしたの」にすべてが詰まっている。

 あのとき、五条が「一緒にいよう」と言ってくれていたら、夏油は引き返したかもしれない。

 けれど、五条は「お前はもうダメだ」という沈黙で答えた。

結論:いられないと信じてしまった

 五条は夏油を「救いたい」と思い、夏油は五条に「救われたかった」と思っていた。

 けれど、相手のために黙ることを選んだ結果、壊れたのがふたりの絆だった。

まとめ

  • 0巻で決別と最期
  • 過去編で絆とすれ違い
  • 渋谷事変で残響と未練