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歩きスマホをしている人を見ると、危ないとは思うが、同時にこうも感じる。
「この人、仕事できないタイプかもしれない」と。
もちろん、スマホを見ている理由なんて人それぞれだ。
重要なメッセージが来ているのかもしれないし、緊急の業務連絡かもしれない。
だが問題は、「なぜ今、それをしているのかを問わないまま」「自分の都合だけで行動している」という構図にある。
この構図は、職場でもそっくりそのまま現れる。
無意識の行動には、その人の思考のクセ、他者への認知、優先順位のつけ方までが透けて見える。
その行動が日常で表れているなら、仕事で無意識にやらかしている可能性は、限りなく高い。
本稿では「歩きスマホ」を題材に、管理職や経営者に必要な“視点”や“制御力”について掘り下げていく。
もしあなたが「なぜ昇進できないのか」「なぜ部下にイマイチ信頼されないのか」と感じているなら、その答えは、足元に転がっているかもしれない。
第1章:歩きスマホは「情報処理の遅延」を引き起こす
歩きながらスマホを操作する。簡単に言えば、マルチタスクだ。
ただし、ここでいうマルチタスクは「同時に複数のことができる能力」でなく、「同時に複数のことを中途半端にやっている状態」を指す。
人間の脳は、視覚・注意・判断といった処理を同時にこなせるようには設計されていない。
歩くという動作は無意識でも、周囲を確認し、方向を判断し、進行を制御するには、相応の認知リソースが必要になる。
そこにスマホの通知や文章の読み取りをねじ込めば、当然ながら脳のリソースは分散される。
結果、判断力・反応速度・記憶保持力が低下する。
つまり歩きスマホは、「今、自分がどれだけ処理能力を落としているか」にすら気づけない状態を自分でつくっているのと同じこと。
これはビジネスにおいて、致命的だろう。
たとえば会議中、複数の情報を並行処理しているつもりで、本質的な議論の流れを見失う。あるいは、資料を読みながら指示を出すことで、結果的に部下にも誤解を与える。
情報過多のこの時代に求められるのは、処理能力より、処理しないものをを選ぶ力ではないか。
歩きスマホはその逆を行っている。
優先順位を見誤ったまま、全てをながらでこなそうとするその癖が、キャリアの足を引っ張っているとしたら、少し、恐ろしくはないだろうか。
第2章:「自分優先」「周囲への配慮ができない」行動の現れ
歩きスマホは、単なるマナー違反で済まされる話ではない。
それが職場における行動にどう影響するかを考えたとき、最も顕著なのが「他者視点の欠如」だ。
混雑した駅や商業施設など、人が多い空間でスマホを見ながら歩くのは、周囲の流れを読まず、全体への最適化を無視する行為と言える。
本人には悪気はない。
しかし、悪気がないということは、その状況下における自分の行動が、他者や環境に与える影響をまったく想像できていないということでもある。
これは職場でも同じことだ。
たとえば、部下の報告中にPCの画面から目を離さずに「うん、聞いてるよ」と返す上司。あるいは、チーム全体の進行状況を把握しないまま、自分の都合だけでスケジュールを動かす管理職。
これらはまさに、歩きスマホと同じ思考回路で動いている。
管理職に求められるのは、先回りの思考と空間認知、そして“他者基準”で考える力だ。
自分の快適性でなく、いま、この場全体の最適は何か?を問う視点である。
にもかかわらず、日常的に歩きスマホをする人は、少なからずこの視点に慣れているとは言い難い。
自分中心の行動は、無意識に信頼を失う。
そして、信頼を失った管理職が組織に与える損害は、想像以上に大きい。
歩きスマホを「ちょっとしたクセ」で済ませられない理由が、ここにある。
第3章:共通点は「マルチタスク幻想」器用なつもりで、全てが中途半端
歩きスマホをしている人の多くは、こう思っている。
「自分はこれくらい同時に処理できる」「ながらでも問題ない」と。
けれど現実は、マルチタスクをしているつもりになっているのは本人だけで、ひとつひとつの質を落としているに過ぎない。
人間の脳は、基本的にひとつずつにしか集中できない仕様だ。
歩く、考える、判断する、反応する、入力するなど、これらを同時にこなそうとすれば、当然どこかは質が落ちる。
歩きスマホ中の人が急に立ち止まったり、人にぶつかったり、道を見失ったりするのは、その証拠だ。
これはビジネスでも同じ。
「確認しながら指示を出す」「打ち合わせしながらSlackもチェック」「電話しながらメールも送る」
一見、仕事ができる人に見えるかもしれないが、実際はどれも中途半端で、肝心なところが抜けているケースが少なくない。
なのに本人は、「自分はきちんとやれている」と思っている。
これこそ、マルチタスク最大の厄介さである。
パフォーマンスが下がっている自覚がない。優先順位がズレていることにも気づかない。
タスクが捌けているように見えるだけで、本質は“薄く広く散っている”だけ。
本当に成果を出す人は、やるときは一点集中し、切り替えは一瞬でスイッチする。ずっとマルチタスクで走り続けているわけではない。
歩きスマホのように、「なんとなくやり続けている状態」を続ける人は、思考も成果もどこかでブレる。だからこそ、1度立ち止まり、自分の行動パターンを見直すことをオススメしたい。
でなければ、他をどれだけ頑張ろうと評価に届かないからだ。
第4章:「ついやってしまう行動」には、“思考のクセ”がそのまま出る
歩きスマホを責める意図はない(危ないので注意はしたけども)
ただ、スマホの操作云々より、無意識の選択に注目していただきたい。
人は、思考のクセを変えない限り、行動パターンも変わらない。
逆に、日常の些細な行動を観察するだけで、当人の思考傾向が驚くほど明確に見える。
たとえば、
- なぜ今、その通知を見る必要があるのか?
- なぜその場で返事をしなければならないのか?
- なぜ“見られている”とわかっている場面でも、スマホをいじるのか?
これらを一度でも言語化して考えたことがあるだろうか。
ビジネスで成果を出す人、組織で信頼される人に共通するのは、こうした無意識の選択に対し、「なぜ自分はそう動いたか」を整理する習慣があること。
彼らは、自分のミスや無駄、クセを放置しない。
なぜなら、そのわずかなズレが、数か月、半年、1年後の評価や信頼を左右することを知っているからだ。
管理職や経営層に求められる力は、スキルや経験だけではない。
自分の無意識を見直し、修正できるかという、地味ながら決定的な思考のメンテナンス力である。歩きスマホをしたことだけで、昇進できないわけではない。
あなたがもし、「部下との距離感がうまくつかめない」「報連相がスムーズに回らない」「成果に対して評価が低い」と感じているなら、一度、自分の無意識の行動を見直すといいだろう。
そのクセこそが、あなたのキャリアの成長を止めている、最も根深い原因かもしれないのだから。
無意識のクセは、ただの“癖”ではありません。
それはあなたの判断軸、優先順位、対人距離感、そして、キャリアの天井をも示すものだ。
有料noteでは、そうした“日常の行動パターン”を丁寧に読み解きつつ、キャリア設計にどう活かすか?の視点で解説している。
行動を変えるのでなく、理解して武器にするヒントが欲しい方は、ぜひご覧ください。