YouTubeで「心が折れる人」の5つの特徴─続けられないのは、才能のせいではない

当サイトの一部に広告を含みます。

「YouTubeを始めてみようと思ってるんですが、やっぱり大変ですか?」

最近、この手のご相談を承る機会が少しずつ増えてきた。

YouTubeは確かに、発信や収益化の手段として魅力的だ。スマホ1台で始められ、知識や人柄が切り口次第で価値・資産になる。

ただし、「始めること」と「続けること」はまったくの別物だ。

現に、チャンネルを開設して数本で投稿が止まっている人は少なくない。なかには「頑張っていたのに急に更新が途絶えた」ように感じるチャンネルもある。

原因は、才能や根性の問題ではない。YouTubeという環境そのものが、折れやすいのである。

本記事では、なぜ人はYouTubeで折れるのか?

その理由と共通点を、実際に続けている側の視点から分析していく。

第1章:YouTubeが「折れやすい環境」である理由

YouTubeは、始めるだけなら簡単。

スマホで動画を撮影し、アプリで編集(最悪無編集でも◎)、ワンタップで投稿完了。

時間も場所も問わずに発信できる点では、非常に開かれたプラットフォームだ。

だからこそ、誤解されるのだろう。

「誰でもできる」
「やれば伸びる」
「続けるだけで結果が出る」

そのようなイメージが独り歩きしているが実際には、YouTubeの環境そのものが「心を折る構造」になっている。

すべての成果が数値化される

視聴回数、登録者数、高評価、コメント、インプレッション、クリック率など、動画を投稿すると、さまざまな数字が見える。

それ自体はとんでもなく有難いが、同時に「数字で評価され続ける構造」でもある。

自分では手応えのある動画でも、再生数が振るわないこともある。コメント欄に心無い言葉が書き込まれることもあるし、「高評価」が1つもつかぬまま動画が沈むこともある。

このような数字は疲労感となり、確実に蓄積されていく。

比較と沈黙がメンタルを削る

SNS全般に言えることだが、YouTubeは特に「比較」と「沈黙」がえげつない。

他のチャンネルを見ることはできるが、その裏側まで見えるわけではない。とはいえ、

「半年で1万人」
「投稿する度に10万回再生超」

などの投稿・成果ばかりが目に入れば、自分と比較し、無力感に襲われることもある。

さらに厄介なのは、無反応。

再生数ゼロの動画に低評価さえつかない状態は、露骨な批判よりも傷が深まることがある。

第2章:YouTubeで折れる人に共通する5つの特徴

YouTubeへの投稿を辞めた人のすべてが明確に、「辞める」と決めてから行動に移したわけではない。ほとんどの場合、少しずつ離れ、いつの間にか更新が止まっている。

そして、再開のきっかけを掴めぬまま、なかったこととして処理する。

なぜ、そうなってしまうのか。

ここでは、実際に折れやすい人に見られる5つの特徴を紹介する。

① 完璧主義で、全工程を1人で抱え込む

台本作成、撮影、編集、サムネづくり、投稿と告知、コメント対応など、すべて自分で処理しようとした結果、各工程で都度、理想と現実のギャップに苦しむことがある。

これは、はじめから完璧を求める人に多い傾向で、更新頻度が徐々に落ち、最終的には「クオリティを保てないなら出さない方がいい」という思考にすり替わる。

その結果、動画が投稿されなくなり、発信そのものからフェードアウトする。

② 数字に振り回され、承認を求めすぎる

  • 再生数を自分の価値と認識する
  • 視聴者の反応≒外敵評価に依存する

SNSでありがちなループだが、YouTubeは特に数字が可視化されており、小さな変動も一目瞭然。

これに反応する人は、自ずと感情のアップダウンが激しくなる。

やがて、動画を出すたびに心がすり減り、継続できなくなる。

③ 視聴者に寄せすぎて、自分を見失う

「誰にでも好かれたい」
「批判されたくない」

このような思考だと、発信内容が曖昧になり、全てが無難におさまる。

それ自体は悪いことではないが、無味無臭の動画だと無数になる動画の中で誰にも刺さらず、数字も反応も鈍くなるのは必然である。

その結果、「何を出しても響かない」と自己否定に繋がり、発信意欲が薄れていく。

④ 見切り発車で目的が曖昧

  • とりあえず着手するも、何のためにやっているかの点が不明瞭
  • 続ける意味を失い、更新が止まる

YouTubeに限ったことではないが、明確なゴール(誰に/何を届け/どこへ導くか)がないまま始めたところで、中盤からタスク地獄に陥るのが関の山。

その結果、日常に押しつぶされてしまう未来が待っている。

⑤ 孤独に戦い、誰にも相談できない

  • 周囲にYouTubeをやっている人がいない
  • 成果や悩みが共有できず、孤軍状態が続く

特に発信初期にいえることだが、人に相談することさえ怖い状態に陥ることがある。

その点、仲間やサポーター、相談できる相手がいると、ペースを崩したとしても戻ってこられる。

支えがないと、立ち止まったときに再起するのが難しくなる。


次章では、続けられている人との差をその違いを構造面から見ていく。

「折れない仕組み」については、noteでさらに具体的に解説している。

👉【有料note】「YouTubeで折れたくない人へ」続けるための対策とセルフチェックリスト

■第3章:続けられる人は「根性」が違うのではない

ここまでご覧になって、「自分にも当てはまるかも」と感じた人もいるかもしれない。

しかし、該当するからと言ってダメというわけではない。

なぜなら、YouTubeを続けられる人が皆、途中で折れるかもしれない項目にまったく該当せず、特別な才能や精神力を持っているわけではない。

では、淡々と発信を続けている人たちには何があるのだろうか。

彼らに共通するのは、自分と環境に合う仕組みを持っていることだ。

たとえば、

  • 数字に関わらず続けられる基準を持っている
  • 投稿を続けられる生活リズムがある
  • 悩みや迷いを安心して打ち明けられる環境、相手がいる
  • 再生数でなく、売上や成約率で評価している

など、折れづらい仕組みを先に作っている。

どんな人でも気持ちが折れそうになることはある。

事実、私自身も「このまま投稿を続けて意味あるのか」と疑った瞬間が何度もあった。

しかし、再起の方法や原因への対処法を知っていれば、いきなりポキッと折れるのでなく、折れても育てられる場所となる。

この点について、noteにて、折れないための構造設計とセルフチェックの方法を具体的に解説していく。

  • 自分の急所に気づけるチェック項目
  • 心が折れかけても戻れる習慣と仕組み
  • 投稿を無理なく続けるテンプレ設計と視点

単なる精神論でなく、継続の技術に興味がある方に読んでいただきたい。

👉【有料note】「YouTubeで折れたくない人へ」続けるための対策とセルフチェックリスト

まとめ

YouTubeは、頑張れば誰でも成功できる。

無責任にそう説いている講師もいるようだが、実際は「継続」そのものが既に、1つのハードルではなかろうか。

それを「気合い」や「根性」で越えられるのなら、誰も苦労はしない。

必要なのは、メンタルが折れづらい構造と、自分を守る仕組みである。

その有無が、途中で消える人と続けられる人を分ける境界線になる。

あなたが今、

「始めたばかりだけど、不安がある」
「やっているのに成果が出なくて焦っている」
「辞めたいほどではないけれど、しんどい」

そんな感覚を抱いているのなら、折れない仕組みを構築する視点を手にしてほしい。

▼具体的な対策とセルフチェックはこちら
👉【有料note】「YouTubeで折れたくない人へ」続けるための対策とセルフチェックリスト


他にも関連コンテンツとして、以下のnoteもあわせてどうぞ。

“貧乏ゆすり”は才能の証?|経営者に多い“身体のクセ”に潜む本音

当サイトの一部に広告を含みます。

「貧乏ゆすりなんて、見ていて不快だ」
「そわそわしてるだけで、仕事もできなさそう」

そう感じる人も多かろう。

しかしこれは、あまりに短絡的な見方でもある。

実際、貧乏ゆすりは脳が無意識に行っている調整行動の一つであり、集中状態を維持したり、ストレスを逃す“仕組み”として機能しているものだ。

さらにこのクセは、ある種の人たち。

たとえば、経営者やクリエイター、トレーダーのように、「常に判断と決断を求められる職種」の人間によく見られる傾向でもある。

つまり、「貧乏ゆすりの癖」は単なる“悪習”とも言い切れない。

この記事では、「貧乏ゆすり」や「クセ」などの無意識行動を掘り下げ、なぜ、選ばれた人に多く見られるのかを論理的に読み解いていく。

第1章|“貧乏ゆすり”が起きる脳内メカニズム

多くの人は、貧乏ゆすりを「意味のない動作」だと認識する。

けれど実際には、脳が“適切な覚醒レベル”を保とうとする反応に近いものだ。

人間の集中力は、意志の力のみで維持されるわけではない。

ドーパミンやノルアドレナリンといった脳内物質の分泌バランスによって、「過集中」や「気の散りやすさ」は大きく変化する。

その中で、反復的な身体動作(=無意識のリズム運動)は、脳の報酬系や実行系に一定の刺激を与えることで、集中の持続をサポートしている。

たとえば、

  • 会議中に足を揺らす
  • 考え事をしているときにペンをカチカチとノックする
  • デスクワーク中、首を回す・指を鳴らす

こうした動作は、脳が「タスク処理中の自己調整」として自然に起こしているものだ。

つまり、“止めようと思っても止められないクセ”には、機能的な意味がある。

むしろ重要なのは、「なぜそのタイミングでそのクセが出るのか」を観察すること。

そこには、自分でも気づいていない脳の使い方や、ストレスのパターンが見えてくる。

第2章|「クセ」は“選ばれた人”にしか出ないのか?

貧乏ゆすりのようなクセは、「だらしない人」や「注意力が低い人」の象徴とされがちだ。

だが、現実はまったく逆である。

たとえば、高度な意思決定を日常的に求められている人間ほど、常に「過剰な情報処理」にさらされている。その負荷を無意識に調整しようとする過程で、身体に“クセ”として現れる。

特に、自己制御力(executive function)が高い人間に多い傾向がある。

これは「自分を律する力」ではなく、「自分の行動や思考をリアルタイムでモニタリングし、最適化する力」を指す。

そしてこの“自己モニタリング”が強い人は、無意識レベルで緊張と弛緩のバランスを調整しようとするため、その結果として「身体のリズム動作」が生まれやすい。

つまり、クセは怠惰のサインではなく、脳が過負荷に耐えながら高パフォーマンスを維持している証拠でもある。

もちろん、全員にクセが出るわけではない。

だが、出ている人は、必ず“何かと戦っている”最中なのだ。

この視点を持てるかどうかで、「クセを隠すか」「クセを読み解くか」が大きく変わってくる。

第3章|なぜ経営者は“身体のクセ”を持っているのか

「落ち着きがない」のではない。

むしろ、落ち着いている“ように見せながら”内部で処理している情報量が多すぎるのだ。

経営者や意思決定を担うポジションの人間は、常に不確実性と向き合っている。

目の前の出来事に反応しつつ、数手先を読み、チームを動かし、結果を出さなければならない。

そうした環境下では、脳の演算量が一時的に“オーバーヒート状態”に近づくこともある

そのとき、脳が自動的にやるのが「自己調整」だ。

──その出口が、身体のクセとして表面化する

たとえば、以下のようなクセが挙げられる:

無意識に脚を揺らす思考集中・緊張緩和
爪や唇を触る反復動作による自己安定
深く頷く・まばたきが増える入力処理の最中
机やペンを一定のリズムで叩くリズムによる思考促進

これらは、考えているから動くのではなく、動いているから考えが整理される脳と身体の相互フィードバックにより発露するもの。

そう考えると、これらのクセを“治すべき欠点”と認識するのはおかしな話ではないか。

どうせなら、クセの裏にある脳の稼働パターンを把握し、それを自己最適化のヒントに変えてはどうか。

それこそ、伸びる人・止まる人の分岐点になる。

第4章|クセに気づけるかどうかが分かれ道

クセそのものに善悪はない。

だが、クセに無自覚なまま過ごすか、そこから情報を読み取れるかで、行動の質は大きく変わる。

たとえば、

  • 集中力が高まっているときに足が揺れる
  • イライラするとき、ペンを強く握っている
  • 自信がないときほど口元を触る

これらはいずれも、脳の信号が身体に出力された結果だ。

つまり、クセにはその人の「心理状態」や「意思決定傾向」がにじみ出る。

多くの人は、これらのクセを「見苦しい」「直すべきもの」と捉えている。(特に年長者に多い)

しかしならが、自分のクセにラベルを貼り、文脈とセットで整理できるようになれば、メタ認知(自己認識能力)強化につながる。

経営やフリーランスの世界では、

「何にストレスを感じているか」
「どの思考パターンで詰まりやすいか」

など、自己認知のクセを把握できる人間の方が意思決定に無駄がない。

クセをなくすより、クセを使いこなす

そこに、自分の思考資源をどこまで言語化・体系化できるかの差が出てくる。

終わりに|クセは「止めるもの」ではなく「読み解くもの」

ここまで読んで、「自分に当てはまるかも」と感じた人もいるかもしれない。その直感は、きっと正しい。

クセは、ネガティブなものばかりではない。

身体的なクセは脳が出すシグナルであり、あなたの取り扱い説明書の一部である。

どんなとき、どんなクセが出るか。

それに気づくことができれば、ストレスの傾向・思考の偏り・判断の癖まで浮き彫りになる。

つまりクセとは、思考と感情のログである。

本記事では「貧乏ゆすり」を起点にして論理的に掘ってきたが、クセにはもっと多様なパターンがあり、それぞれに意味がある。

そこで、クセごとの心理傾向・脳の資質・対処法をさらに掘り下げた記事をnoteで公開しています。

関連記事:

《“クセ”からわかる、あなたの強みと弱み|経営脳を読み解く無意識行動パターン》

  • よくある無意識動作10選+意味
  • 貧乏ゆすり、口元を触る、指をポキポキ慣らすなど、クセ別に見る脳の傾向
  • 自己分析ワークと資質の伸ばし方
  • 「クセ」を武器化する経営者の思考習慣

👉 https://note.com/bokiko_gyosho

「メモ魔」は本当に仕事ができるのか?記録と成果の因果関係

当サイトの一部に広告を含みます。

メモ魔は本当に仕事ができるのか?記録と成果の相関関係

会議で真っ先にノートを広げる人間が、必ずしも最も成果を出すとは限らない。

その一方で、何も記録しない人間がトップに立つ確率も極めて低い。

この前提について、どれだけの人が実感を伴った理解を得ているのだろうか。

昨今、「メモの取り方」がSNSやビジネス書でコンテンツとして注目されるようになった。

しかし、そこにあるのは手法論の羅列ばかりで、「なぜそれをやるのか?」「それで何が変わるのか?」という本質に対する答えは少ないうように思う。

記録と成果の相関は、決してスキルの問題ではない。そこにあるのは、再現性と検証可能性という視点だ。

そしてそれが、中長期的なキャリア設計において、どれだけ強力な武器になるかを知らないのは損だ。

このブログでは、「メモ魔」は本当に仕事ができるのか?

その問いを、脳機能・行動科学・業務設計の観点からロジカルに解きほぐしていく。

第1章|「記録がある=仕事ができる」は本当か?

「ちゃんとメモ取ってます」

この言葉が信用されるのはせいぜい学生のうちだろう。

中堅以降のビジネスパーソンにとっての記録とは、残し方でなく、活用の有無・内容こそ評価対象となる。

たとえば、打ち合わせ後に「議事録は?」と聞かれ、「メモは取りました」と返す人間がいる。

恐らく、この手の人は「記録≠成果」の構造を理解できていないのではないかと思う。

記録は記憶再生の備えでなく、次に活かす資源だ。

では、どうすれば記録が成果につながるのか?ポイントは2つだ。

① 記録の「フォーマット」は思考のクセを示す

記録が上手い人ほど、定型化されている。言い換えれば、毎回ゼロから考える手間を記録によって省いている

たとえば、商談や打ち合わせのたびに「Who/What/Why/Next」でまとめている人がいたとする。

この人がとったメモは、本人不在でも再現可能で、次のアクションにも直結する。

それに対し、思いつきで行き当たりばったり。キーワードばかり羅列する人の記録は、記録した本人でさえ何を、どこに書いているか迷う(読めないこともある)

つまり記録とは、再利用可能な情報資産であり、書いたから偉いとか、残したから丁寧などの評価軸は、プロの現場では機能しない。

② 思考は、記録なしで再生できない

脳科学的に言うと、人間のワーキングメモリには限界がある。

しかも、論理敷こうな人ほど、脳内では頻繁、かつ、複雑に情報を組み替える傾向があり、1度書き出さなければ処理効率が落ちる。

喩えるなら、記録は脳内キャッシュの退避先であり、それがなければ、判断や分析のパフォーマンスが下がる。

メモを取る時間がないのでなく、記録なしでは回らないが正しい。


まとめると、

  • 成果につながる記録は「定型」×「再利用」可能
  • メモは行動設計に繋げるアウトプットとして活用
  • 頭の良し悪しに関わらず、仕組みとしての記録管理が肝

この構造を理解せず、漠然と「メモ魔が偉い」と考えているうちは、いつまでも“できる風”止まり。

次章では、「成果を出す人が実際にどんな記録の取り方をしているのか」具体例を交えて掘り下げていこう。

第2章|「記録が成果に直結する人」は何を書いているのか?

結論から言うと、「できる人」の記録には3つの共通点がある。

  • 事実(何が起きたか)
  • 解釈(どう捉えたか)
  • 次の一手(何を、どう変えるか)

これを自然に回している人ほど、記録が「ただのメモ」では終わらず、仮説検証のループとして機能している。

事例1:売上が安定しているフリーランスの記録

ある業務委託型のWebディレクターは、毎週月曜の朝、前週1週間のうち、想定外だったことを3つ書き出し、本来どう対応すべきだったかを記録している。

特別感のない反省メモのように見えるかも知れないが、実際にその修正策をタスク化し、次週に反映している。

結果として、

  • 自分を客観視することで盲点に気づける
  • 同じ失敗を繰り替えさない
  • 習慣化によりPDCAが記録ベースで回る

つまり、記録を使った自己最適化の一種として機能している。

事例2:中間管理職がチームを動かすための記録

とある営業マネージャーは、週次ミーティング後、メンバーごとの温度感・発言・リスク要素を簡潔に記録している。

人事メモのようだが、その記録をもとに翌週のアサイン内容・接し方を変えている。

「○○さんは指示の解像度が低いと動きが止まる」
「△△さんは質問形式で渡すと主体的に回る」

こうした情報が蓄積されることにより、感覚優位のコミュニケーションから、戦略へと昇華していく。

成果につながる記録は「思考の可視化」

上記の例に共通するのは、メモを過去のログにとどめず、未来設計に用いていること。

  • どの情報を記録するか
  • 記録の方法
  • 何のために記録するのか

この3点が明確になっている記録は、内容そのものより、活用時に価値を生む。


成果を出す人間は、記録内容と同期を無意識に紐付けている。

逆に、とりあえずでメモした記録は息をしていないかもしれない。

第3章では、なぜ、メモ魔だけでは成果を出せないのか?その典型パターンと構造的な原因を見ていこう。

第3章|「記録しているのに成果が出ない人」の共通点

こまめにメモを取っていると主張しながら、行動に変化が見られない人がいる。

なぜ、努力している感はあるのに、結果が伴わないのだろうか。

その理由は単純だ。記録をアウトプットでなく、安心前提で行っているからだ。

記録=セーフティネットになっていないか

人は、情報を記録すると、一時的に処理した気になる。

しかし実際のところ、書いた時点ではまだ処理されていない。

メモ帳に転記した、議事録をコピペした、フレーズを写経した。これらはそれ単独で完結し、その後の行動・思考につながらないケースが多い。

つまり、「記録したからもう大丈夫」と安心し、考えることを手放しているのだ。

思考が記録に委託されると、行動は止まる

  • 会議中のメモは完璧
  • 要点が整理されている
  • 次のアクションは決まっていない

このような記録は、状況説明には役立つものの、結果につなげる道具としては未完成。

次に活かすには、記録の先に「思考と決断」が組み込む必要がある。

情報密度が高い人ほど陥る「記録中毒」

論理思考で知識量が多いほど、情報を残すこと自体に価値を感じる傾向にある。

けれど情報は、蓄積ではなく、選別して行動に変換することにより意味を持つ。

  • アレも残したい
  • これも役に立ちそう
  • 念のために保存しておこう

この姿勢は一見堅実に見えなくもないが、過剰な記録は意思決定は鈍化する。

情報がなさ過ぎるのも問題だが、持ちすぎても人は動けなくなる。

記録魔ほど動けない。これが現実である。

記録の質=どれだけ捨てているか

成果を出す人の多くは、捨てる技術が高い。

どういうことかというと、すべてを記録せず、残すべき要素を的確に抽出し、それ以外は意図的に捨てている。このフィルタリングがあるからこそ、記録が行動に直結し、判断材料になる。

逆に、何でも記録していては非効率であり、判断を阻害しかねない。

第4章|仕事とキャリアを回す「記録の設計図」

これまで見てきた通り、成果に結びつく記録には共通点がある。

言い換えるなら、その共通点さえ押さえれば、記録が武器に変わる可能性が高い。

この章では、成果につなげるために必要な、誰でも使える基本のフォーマットを提示する。


最低限押さえるべき3ステップ

成果につながる記録には、以下の要素を集約すべし。

  • 事実(Fact)
  • 意味づけ(Why)
  • 次の行動(Next)

たとえば、ある会議において当フォーマットを使用する場合、

事実クライアントはコスト<納期重視
意味づけ前提条件の確認が不十分だった
次の行動自壊から初回接触時に優先事項を確認

というように、現場知の蓄積ができ、再現性ある意思決定が可能になる。

フォーマットは自分で進化させることが前提

フォーマットをそのまま使用するのも構わないが、すべての業種・シーンに馴染むとは限らない。

そのため、あなたの職種・ステージ・仕事内容に合わせて調整する必要がある。

たとえば、

  • 営業職:疑問/課題/提案/クロージング
  • 管理職:状況/感情の兆し/対応/影響
  • 個人のスキル習得:学び/引っかかり/明日仕える形で

要は、思考と行動が接続されていれば良し。それさえ破綻しなければ、どんな形であれ機能する。

テンプレートに従うことが目的なのではなく、思考コストを減らすための記録である。

その記録は「再現可能な意思決定」に変換できるか?

最終的には、自分がいなくてもその記録が使えるか?の視点を持つこと。

  • 誰が読んでも再現可能
  • 3か月後に読み返しても、当時の判断基準が明確
  • それにより次の一手をすぐに引き出せる

このレベルで記録することができたなら、立派な「知的資産」だ。


記録とは、未来の自分と交わす“契約”に等しい。

その契約書に意味があるかどうかは、「実行されるかどうか」でしか測れない。

終章|「記録」は、成果を積み上げるための“再現装置”である

ここまでを振り返る。

記録は、ただのメモではない。思考と行動の履歴であり、未来の判断材料である。

成果を出す人は毎回、完璧な判断をしているわけではない。

過去の思考と選択を「再利用できる状態で残している」にすぎない。

書き方ではなく「残し方」から

  • 単なる備忘録で終わっていたメモ
  • 書いて満足するだけの議事録
  • 情報収集でびっしりなノートアプリ

正しく活用できるようになると、これらが意思決定のナビゲーターに変わる。

1日の動きや1週間の結果が変化し、半年後の選択肢が増えていく。

あなたの思考ログを記録として積み上げられるかが次のフェーズの条件になる。

行動を変えるには仕組み化が早い

目標設定や習慣化、業務改善など、成果に差が出るのは、振り返ることができる記録の有無だ。

  • 自分の思考傾向
  • 失敗のパターン
  • 成功要因
  • 他者との関係性の変化

これらをあとから見直せる形で残すだけで、意思決定の精度は一段階上がる。

記録はコストではなく“投資”

1日5分の記録が、未来の30万円案件につながるかもしれない。

3行の気づきが、過去の失敗を二度と繰り返さない保険になるかもしれない。

記録とは、未来の自分に対するレバレッジの一種だ。

その価値に気づけるかどうかで、キャリア設計の精度は変わる。

有料noteのご案内|「記録から成果へ」完全フレーム

今回の事務所ブログでは、「記録が成果につながる構造」について、論理ベースで全体像をお伝えしました。

ここからさらに

  • 実際の記録テンプレート
  • 業種別の使い分け例(士業/営業/フリーランス等)
  • 習慣化のコツと記録疲れへの対処法

など、より実践的かつ再現性ある記録法を知りたい方は、以下のnoteをご覧ください。

【有料note】記録が成果につながる「思考の再現フレーム」
メモ魔で終わらない記録術|成果を生む思考の再現フレーム設計図|ヲタク行政書士®榊原沙奈

「行動を変えたい」と思った今が、仕組みを見直すベストタイミングです。

メモの“取る”から“使う”へ。

その第一歩を、今ここから。

「歩きスマホ」をする人はなぜ管理職に向かないのか?|無意識の行動でわかる“出世の限界”

当サイトの一部に広告を含みます。

歩きスマホをしている人を見ると、危ないとは思うが、同時にこうも感じる。

「この人、仕事できないタイプかもしれない」と。

もちろん、スマホを見ている理由なんて人それぞれだ。

重要なメッセージが来ているのかもしれないし、緊急の業務連絡かもしれない。

だが問題は、「なぜ今、それをしているのかを問わないまま」「自分の都合だけで行動している」という構図にある。

この構図は、職場でもそっくりそのまま現れる。

無意識の行動には、その人の思考のクセ、他者への認知、優先順位のつけ方までが透けて見える。

その行動が日常で表れているなら、仕事で無意識にやらかしている可能性は、限りなく高い。

本稿では「歩きスマホ」を題材に、管理職や経営者に必要な“視点”や“制御力”について掘り下げていく。

もしあなたが「なぜ昇進できないのか」「なぜ部下にイマイチ信頼されないのか」と感じているなら、その答えは、足元に転がっているかもしれない。

第1章:歩きスマホは「情報処理の遅延」を引き起こす

歩きながらスマホを操作する。簡単に言えば、マルチタスクだ。

ただし、ここでいうマルチタスクは「同時に複数のことができる能力」でなく、「同時に複数のことを中途半端にやっている状態」を指す。

人間の脳は、視覚・注意・判断といった処理を同時にこなせるようには設計されていない。

歩くという動作は無意識でも、周囲を確認し、方向を判断し、進行を制御するには、相応の認知リソースが必要になる。

そこにスマホの通知や文章の読み取りをねじ込めば、当然ながら脳のリソースは分散される。

結果、判断力・反応速度・記憶保持力が低下する。

つまり歩きスマホは、「今、自分がどれだけ処理能力を落としているか」にすら気づけない状態を自分でつくっているのと同じこと。

これはビジネスにおいて、致命的だろう。

たとえば会議中、複数の情報を並行処理しているつもりで、本質的な議論の流れを見失う。あるいは、資料を読みながら指示を出すことで、結果的に部下にも誤解を与える。

情報過多のこの時代に求められるのは、処理能力より、処理しないものをを選ぶ力ではないか。

歩きスマホはその逆を行っている。

優先順位を見誤ったまま、全てをながらでこなそうとするその癖が、キャリアの足を引っ張っているとしたら、少し、恐ろしくはないだろうか。

第2章:「自分優先」「周囲への配慮ができない」行動の現れ

歩きスマホは、単なるマナー違反で済まされる話ではない。

それが職場における行動にどう影響するかを考えたとき、最も顕著なのが「他者視点の欠如」だ。

混雑した駅や商業施設など、人が多い空間でスマホを見ながら歩くのは、周囲の流れを読まず、全体への最適化を無視する行為と言える。

本人には悪気はない。

しかし、悪気がないということは、その状況下における自分の行動が、他者や環境に与える影響をまったく想像できていないということでもある。

これは職場でも同じことだ。

たとえば、部下の報告中にPCの画面から目を離さずに「うん、聞いてるよ」と返す上司。あるいは、チーム全体の進行状況を把握しないまま、自分の都合だけでスケジュールを動かす管理職。

これらはまさに、歩きスマホと同じ思考回路で動いている。

管理職に求められるのは、先回りの思考と空間認知、そして“他者基準”で考える力だ。

自分の快適性でなく、いま、この場全体の最適は何か?を問う視点である。

にもかかわらず、日常的に歩きスマホをする人は、少なからずこの視点に慣れているとは言い難い。

自分中心の行動は、無意識に信頼を失う。

そして、信頼を失った管理職が組織に与える損害は、想像以上に大きい。

歩きスマホを「ちょっとしたクセ」で済ませられない理由が、ここにある。

第3章:共通点は「マルチタスク幻想」器用なつもりで、全てが中途半端

歩きスマホをしている人の多くは、こう思っている。

「自分はこれくらい同時に処理できる」「ながらでも問題ない」と。

けれど現実は、マルチタスクをしているつもりになっているのは本人だけで、ひとつひとつの質を落としているに過ぎない。

人間の脳は、基本的にひとつずつにしか集中できない仕様だ。

歩く、考える、判断する、反応する、入力するなど、これらを同時にこなそうとすれば、当然どこかは質が落ちる。

歩きスマホ中の人が急に立ち止まったり、人にぶつかったり、道を見失ったりするのは、その証拠だ。

これはビジネスでも同じ。

「確認しながら指示を出す」「打ち合わせしながらSlackもチェック」「電話しながらメールも送る」

一見、仕事ができる人に見えるかもしれないが、実際はどれも中途半端で、肝心なところが抜けているケースが少なくない。

なのに本人は、「自分はきちんとやれている」と思っている。

これこそ、マルチタスク最大の厄介さである。

パフォーマンスが下がっている自覚がない。優先順位がズレていることにも気づかない。

タスクが捌けているように見えるだけで、本質は“薄く広く散っている”だけ。

本当に成果を出す人は、やるときは一点集中し、切り替えは一瞬でスイッチする。ずっとマルチタスクで走り続けているわけではない。

歩きスマホのように、「なんとなくやり続けている状態」を続ける人は、思考も成果もどこかでブレる。だからこそ、1度立ち止まり、自分の行動パターンを見直すことをオススメしたい。

でなければ、他をどれだけ頑張ろうと評価に届かないからだ。

第4章:「ついやってしまう行動」には、“思考のクセ”がそのまま出る

歩きスマホを責める意図はない(危ないので注意はしたけども)

ただ、スマホの操作云々より、無意識の選択に注目していただきたい。

人は、思考のクセを変えない限り、行動パターンも変わらない。

逆に、日常の些細な行動を観察するだけで、当人の思考傾向が驚くほど明確に見える。

たとえば、

  • なぜ今、その通知を見る必要があるのか?
  • なぜその場で返事をしなければならないのか?
  • なぜ“見られている”とわかっている場面でも、スマホをいじるのか?

これらを一度でも言語化して考えたことがあるだろうか。

ビジネスで成果を出す人、組織で信頼される人に共通するのは、こうした無意識の選択に対し、「なぜ自分はそう動いたか」を整理する習慣があること。

彼らは、自分のミスや無駄、クセを放置しない。

なぜなら、そのわずかなズレが、数か月、半年、1年後の評価や信頼を左右することを知っているからだ。

管理職や経営層に求められる力は、スキルや経験だけではない。

自分の無意識を見直し、修正できるかという、地味ながら決定的な思考のメンテナンス力である。歩きスマホをしたことだけで、昇進できないわけではない。

あなたがもし、「部下との距離感がうまくつかめない」「報連相がスムーズに回らない」「成果に対して評価が低い」と感じているなら、一度、自分の無意識の行動を見直すといいだろう。

そのクセこそが、あなたのキャリアの成長を止めている、最も根深い原因かもしれないのだから。

無意識のクセは、ただの“癖”ではありません。

それはあなたの判断軸、優先順位、対人距離感、そして、キャリアの天井をも示すものだ。

有料noteでは、そうした“日常の行動パターン”を丁寧に読み解きつつ、キャリア設計にどう活かすか?の視点で解説している。

行動を変えるのでなく、理解して武器にするヒントが欲しい方は、ぜひご覧ください。

【行動分析から導くキャリア設計|クセを武器に変える技術】

“女の子だから、なれない”でいいの?──敬宮愛子さまのご挨拶に、私が立ち止まった理由

当サイトの一部に広告を含みます。

関連投稿

女の子だから天皇になれない

 それが制度として決まっていることは、知識として理解していました。

 しかし、今になりその言葉を目にして、思わず立ち止まりました。

 それは、敬宮愛子さまがご成年を迎えられた際のご挨拶を拝見して以降、私の中にひっかかっていた“ある違和感”とつながったからかもしれません。

「制度上の話」ではなかった

 あのとき拝見したご挨拶──ご本人の声で、まっすぐに語られる言葉。丁寧で落ち着いていて、それでいて、どこか内に静かな芯が通っているように感じました。

 私はその瞬間、はじめて“敬宮さま”という存在を「天皇陛下のご息女」でもなく「女性皇族」でもなく、“ひとりの人”として意識した気がしたのです。

 それまで、私はどこかで「制度の一部としての存在」としてしか捉えてこなかったのかもしれません。

語られ方に感じた“モヤ”

ご挨拶の映像をまだご覧になっていない方へ──
 敬宮さまが成年を迎えられた際の記者会見の模様を、以下の動画でご覧いただけます。

 その後、SNSなどで目にした反応の中に、こんな言葉がありました。

  • 「女の子だから、継げないのは仕方ない」
  • 「雅子さまに似ていて安心できる」
  • 「帝王教育を受けてきたから優秀に決まっている」

 いずれも悪意があるとは思いません。

 でも、そこにあるのは「個」ではなく、「背景」や「血統」による“ラベル”です。

 たしかに、親の影響や育ちの環境は、人をつくる一因でしょう。

 でも、それだけで語られてしまうと、その人がどんな思いで立っているかが見えなくなる。

 そしてそれは、皇室に限った話ではなく、私たちの身近にも、当たり前のように起きていることなのだと思います。

「通信制」「片親」「多産家庭」──私が言われてきたこと

 私はこれまで、「通信制高校しか出ていない」「片親で育った」「多産家庭だから育ちが悪そう」など、出自や環境だけで判断された経験が何度もあります。

 そして、実際にそういう目で見てくる人たちは、私が何を考え、何を積み上げ、どんな言葉を使っているかにはまったく興味がないようでした。

“見る目”は、誰かのためだけじゃなく、自分自身のためにある

 一時期、人事の仕事をしていたことがあります。

 だからこそ、背景や学歴が「参考情報」として用いられる場面があることは、よく理解しているつもりです。

 けれど、その“情報”が“評価のすべて”になってしまうと、その人の「今」や「これから」に光が当たらない。

 そしてその構造は、他人に向けられるだけでなく、自分自身の生き方すらも、見誤らせてしまう危うさを含んでいるように思うのです。

誰をどう見るか──それは、どう生きたいかとつながっている

 あのご挨拶を拝見したとき、敬宮さまは「評価されるため」ではなく、「言葉を尽くすこと」を選んでいるように感じました。

 それは、とても勇気のいることです。

 自分の姿勢や考え方を、背景も含めて、丁寧に外に差し出すこと。それを「誰かにどう見られるか」を超えてやるのは、簡単なことではありません。

 だからこそ、「この方を、私は“誰かの娘”としてではなく、“ひとりの人”として見たい

 そう思ったのだと思います。

最後にひとつ、問いを置かせてください

 あなたは今、誰かを「その人自身」として見ていますか?

 肩書きや育ち、過去の環境だけで、その人の“今”や“これから”を測っていませんか?

 そして、自分自身もまた、「何者か」で語られることで、本当の姿を隠してしまってはいないでしょうか。

 あのご挨拶は、私にとって、“見る目”をほんの少し整えるきっかけを与えてくれました。

 もし、あなたの中にも何かが残ったなら、それが“誰かを見る目”だけでなく、“自分を見る目”にもつながっていけば──そんなふうに願っています。

🎥関連記事

📺 このテーマに関する動画は近日公開予定です。

関連投稿

カルトマーケティングの秘密-カルト信者のような忠誠心を生み出し、ビジネスに活かす方法―

当サイトの一部にアフィリエイト広告を含みます。

カルトマーケティングとは

カルトマーケティングとは、カルトに見られる信者がブランドや製品に対して抱く「無条件の信頼」と「絶対的な忠誠心」を意図的に作り上げるマーケティング戦略を指す。この戦略の根本は、顧客がブランドに対し、「教義」や「信念」を持つよう仕向けることだ。

(1)カルトとは

「カルト」とう言葉の取り扱いは難しく、使う人により意味合いは異なる。

ある人は、宗教の発展段階や類型を指し、また別に人は、反社会的な思想集団を指すこともある。

当ページにおけるカルトとは、上記のうち、後者を指す。つまり、特定の教義や指導者を強く信じ、通常の社会的・宗教的枠組みから外れた集団を指すこととする。カルトの特徴として、以下のような要素が挙げられる。

  1. 狭い範囲の信念体系
  2. 強いリーダーシップ
  3. 排他性
  4. 心理的・感情的支配
  5. 高い社会的・経済的要求
  6. 存在する場所や文化

カルトは、信者に対して過度のコントロールを行い、自由な意思決定を奪うことがある。場合により、心理的・経済的な搾取を伴い、信者が集団に対し、完全な依存状態となることもある。

このような背景から「カルト」という言葉は、しばしば否定的な意味で使われ、他の社会的集団と大きく異なる点が問題視されることが多い。

そのため、当ページの目的である「ビジネスへの応用」について説明するのに用いる、カルトのような熱狂的・依存的な状態を生み出し、売上や事業の継続性確保につなげるマーケティングを「カルト的」「カルトマーケティング」と呼ぶ。

カルトとは、宗教に限らず、特定の集団やイデオロギーに対して強い信念や忠誠心を持つ人々を指します。ここでの「カルト」は、宗教に関連しない場合も含む広い概念です。

(2)宗教的信者の心理

宗教的なカルト信者は、指導者や教義に対し、絶対的な忠誠を誓うことが多い。

この点、カルトマーケティングでも、顧客に対し類似の信念を抱かせ、ブランドに対する忠誠心を育て上げる。

結果として、顧客は「ブランド=真実」と信じて疑わず、他者にその信念を広めたくなるのである。

(3)目指すは「信者」

この戦略の最終的な目標は、顧客を「信者」としてブランドと深く結びつけることだ。

顧客がブランドを信じ、それを自らの価値観の一部とすることが、カルトマーケティングの成功のカギを握る。

カルト信者のような忠誠心を生み出す戦略

カルトマーケティングでは、顧客に対し、カルト信者が抱く「帰属意識」や「忠誠心」を植え付けることを目指す。この過程をいくつかの手法に分けて説明したい。

  1. 信念の共有
  2. 強い指導者の存在
  3. 儀式・儀礼の導入
  4. 排他性の確立

1.信念の共有

信念の共有とは、特定の価値観、信条、目標、または理念を複数の人々が受け入れ、それを基盤にした行動や関係を築くことだ。ここで共有された信念は、個々人のアイデンティティの一部となり、集団に属する意味を強化する。

1-1.信念が共有される仕組み

(1) 明確で強烈なメッセージ

共有される信念は、簡潔かつ強烈なメッセージとして提示される。

一般的に、「世界を変える」「特別な使命を果たす」「私たちだけが真実を知っている」といった内容のものが多い。

例えば、スポーツブランドのNIKEが掲げる「Just Do It」や、Apple社の「Think Different」が掲げるスローガンは、製品以上の価値観を共有する手段だといえる。

ブランドが示す信念に共感し、未来を塑像できることで、当該ブランドを選ぶ理由となり得る。

(2) 排他性の強調

カルトでは、「集団外部の人々では理解できない真実」や「特権的な知識を共有している」という意識が強調される。これにより、メンバーには、「自分たちは選ばれた存在であり、特別な目的を持っている」という意識を持つようになる。

例えば、 カルト宗教における「私たちだけが救われる」「外部は堕落している」という教義がこれに該当する。

(3) 情報や体験の反復

信念を定着させるため、共有する情報・体験を反復継続的に提供し続ける。その方法として、セミナー、ミーティング、儀式、広告など、物理的・心理的な環境による強調が挙げられる。

例えば、 商品発表会やリーダーによる講演会、祈りや瞑想の習慣がこれにあたる。

(4) リーダーシップの存在

カルトにおいて、カリスマ的なリーダーは欠かせない。リーダーは信念の「体現者」として機能し、その信念を信者に伝える役割を担う。

リーダーの言動は信者にとって、信念の正しさを証明し、信者の動機づけとなるのである。

1-2. 信念共有が生む影響

(1) 強い連帯感

カルト信者は、共有する信念を通じ、他の信者との一体感を持つようになる。

例えば、 スポーツチームのファン同士が、共通の試合結果に一喜一憂する一体感などがわかりやすいだろう。

(2) 集団外部との対立

新年の共有は「特別な自分たち」と「外部」の線引きを強め、外部に対する批判的または攻撃的な言動に繋がる場合がある。

例えば、 競合他社の製品や他の宗教に対し、何の情報もないのに「外部」というだけでネガティブな感情を抱く場面などがこれにあたる。

(3) 行動の一貫性

信念が共有されると、信者は集団の価値観に合わせた行動を選択するようになる。

例えば、特定のブランドが出す商品・サービスを使い続ける、グループが推奨する生活様式を取り入れるといった場合が該当する。

(4) 犠牲の正当化

カルト集団の信念を貫くために、信者個人の時間や金銭、自由などを犠牲にすることが正当化されることがある。

例えば、カルト信者による教団に対する多額の寄付行為、安価な競合他社の製品ではなく、高額な特定ブランドの製品を購入し続ける行為などが該当する。

1-3.信念共有のツールと手法

(1) ストーリーテリング

信念を共有するため、多くのカルト集団はストーリーテリングを使う。

ストーリーテリング(Storytelling) とは、物語(ストーリー)を通じ、情報やメッセージを伝える手法を指す。単なるデータや事実を述べるだけでなく、物語として語ることで、受け手に感情的な共感や理解を促し、記憶に残りやすくする効果がある。

例えば、ブランドの創業秘話や、困難を乗り越えた成功体験がこれにあたる。

(2) 儀式やシンボル

多くのカルト宗教では、儀式やロゴ、マークなどを通じ、信念の視覚的・体験的共有を行う。

中には、 特定のポーズや衣装を合わせるものもあるが、商品の包装に統一感を持たせるなどの行動もこれに該当するだろう。

教会や礼拝堂などは仲間意識を高めるうえで重要項であり、ブランドロゴ・独自の儀式などは、仲間同士をつなげ、所属意識を高めるのに必須である。

(3) インフルエンサーの活用

カルト集団は、信念を体現するリーダーやインフルエンサーを通じ、多くの人々に信念を広める。

各企業が広告塔として、スポーツ選手や有名人を起用するのもこれに該当する。起用される側は必ずしも信者とは言えないものの、企業から恩恵を受けられることもあり、契約期間中は信者と同様の行動を見せることもある。

(4) 共通の体験の創出

カルト集団は、信者間でのイベントや体験を共有させ、信念を深めるよう仕向ける。

例えば、ファンミーティングや定期的な集会、カンファレンスがこれにあたる。

中でも、ブランド同士のライバル関係は強い印象を与え、共通の敵を意識したとき、同時に、仲間意識を強く意識することとなる。

1-4. 信念共有時の注意点

カルト集団内部において、信者の熱が高まりすぎると、異論を許さぬ排他的な空気となり、過度な同調圧力により信者が苦しむことがある。

また、集団外部への批判が激化する反射的効果として自分たちを正当化し過ぎるなど、客観性を欠いてしまうリスクが伴うことに注意してほしい。

2.強い指導者の存在

強い指導者の存在は、カルト組織やブランドコミュニティの結束力を高め、フォロワーを引きつける重要な要素である。こうしたリーダーは、単に組織を率いるだけでなく、信念の体現者や象徴として機能する。

2-1.強い指導者の特徴

(1) カリスマ性

強い指導者は、人々を魅了し、従わせる独特の雰囲気や人格的魅力を持っている。

例えば、Apple社のスティーブ・ジョブズ氏は、革新性と情熱的なプレゼンで多くの人を惹きつけた。

(2) 明確なビジョン

指導者は、将来の目標や理想像を具体的かつ明確に描き、それらを熱意をもって語る能力がある。

これの目標は、「地球(環境)を救う」「(革新的なテクノロジーで)世界を変える」など壮大な場合が多い。

(3) 自信と決断力

指導者は、決断を迷いなく下し、自らの信念に対し揺るぎない姿勢を見せ、フォロワーに安心感を抱かせる。

例えば、TeslaやSpaceXのイーロン・マスク氏は、火星移住計画などの大胆な目標を掲げ、実現に向け断固たる行動を取り続けている。

(4) 共感力

指導者は、人々の感情やニーズを理解し、それに応じたメッセージや行動を取る能力がある。

例えば、宗教的カルト集団のリーダーは、孤独や不安を抱える人々の心理を巧みに読み取り、救いや安心感を提供する。

見方によっては、”弱みにつけ込む”とも取れますが、享受する側は「救いの手」と感じる点で一貫性があります。

(5) 物語を作る能力

指導者は、自らの経験やビジョンを感動的なストーリーとして語り、人々を巻き込む力を持っている。

例えば、Virgin Groupのリチャード・ブランソン氏は、自らの冒険的なエピソードを通じ、挑戦の価値を伝えている。

2-2.強い指導者が果たす役割

(1) 信念の象徴

強い指導者ほど、自ら集団の信念や価値観を体現し、フォロワーの行動指針となる。

(2) 団結の促進

信者が抱く指導者への忠誠心は、信者間の結束を強化する。彼らからすると、「共通のリーダー」を持つことは、他の信者との一体感を感じさせる要因の1つなのだ。

これにより、リーダーを中心とした私たち vs. 彼ら(外部)という構図が明確化される。

共通の敵をもつことで、組織内部の熱量は高まるんですね。

(3) 方向性の提示

指導者は、集団が迷ったとき、明確な指示や道筋を示し、行動の統一を図る。

これにより、信者はどのような困難でも、「リーダーについていけば成功できる」と信じ、より依存心を強めていく。

(4) 信頼の醸成

組織内部において、リーダーの選択は常に正しいという信頼感があり、信者の忠誠心を高めている。

しかし、単なるイメージ戦略のみであり、リーダーも失敗するのが現実だろう。

2-3. 強い指導者を支える仕組み

(1) リーダーの「神格化」

カルト集団は往々にして、指導者を通常の人間以上の存在として扱い、尊敬や畏怖の対象にする。

(2) 反対意見の排除

カルト集団は、リーダーの信頼性を維持するため、批判的な意見を排除し、組織内における異論を封じ込めることがある。

(3) シンボルの活用

カルト集団の多くは、リーダーの顔や言葉、行動を象徴化し、視覚的・感情的に訴求する。

(4) 儀式や集会

カルト集団では、リーダーが直接信者に語りかけるイベントや儀式を通じ、影響力を拡大する。

2-4. 強い指導者が与える影響

強い指導者は、信者に対し、ポジティブ・ネガティブ双方の影響を与える。

ポジティブな影響動機付け信者が目標に向かって努力する意欲を高める
革新の推進新しい考え方や行動を取り入れるきっかけを与える
結束力組織やブランドの一体感を強化できる
ネガティブな影響カリスマ依存集団がリーダーに依存しすぎることで、リーダー不在時に崩壊のリスクを負う
独裁化リーダーが自己中心的な決定を下し、組織を悪い方向に導く可能性
外部との対立リーダーを守るために、外部に攻撃的な態度を取る場合がある

2-5. 強い指導者の成功例と失敗例

強い指導者の成功例・失敗例を下記に挙げる。

成功例ネルソン・マンデラ
(南アフリカ共和国の政治家)
人種差別撤廃という明確なビジョンを持ち、南アフリカ国民を団結させた
ビジョンと行動が一致していたため、長期的な信頼を得た
スティーブ・ジョブズ
(Apple社の共同創業者)
革新的な製品を通じて「未来を変える」というビジョンを共有し、多くのファンを引きつけた
失敗例エリザベス・ホームズ(Theranos創業者)技術革新のビジョンを掲げたが、実際には実現不可能な約束をして信頼を失墜
カルト宗教の独裁者組織を外部から隔離し、暴力的な行動を取らせた事例も多い(例: ジム・ジョーンズの人民寺院など)

3.儀式や儀礼の導入

儀式や儀礼の導入は、個人や集団の行動に秩序を与え、文化や価値観を共有する重要な要素だ。歴史的、現代的にも、さまざまな場面で導入されている。

以下にその目的と方法、メリットについて詳しく説明する。

儀式・儀礼とは

儀式とは、一定の形式に従い行われる宗教的・精神的な行為やイベントを指す。

儀礼とは、社会的な関係を強化する目的で行われる礼儀や形式的な行動を指す。

双方には共通点も多いが、儀式のほうがより象徴的かつ深い意味を持つ点で異なる。

儀式や儀礼を導入する目的

儀式・儀礼の導入目的として、下記が考えられる。

  1. アイデンティティの確立
  2. 秩序と安定の提供
  3. 移行の象徴
  4. 絆の強化
  5. 感謝・敬意を表現

1.アイデンティティの確立

アイデンティティとは、個人や集団が持つ自己認識や特徴、他者との関係の中で形成される「自分は何者か」という問いに対する答えだ。心理学、社会学、哲学など様々な分野で議論されることも多い。

儀式・儀礼を導入することにより、信者個人や集団としての価値観、文化の明確化と共有手段としてのアイデンティティは重要な役割を担う。

例えば、企業で行う入社式や新年の決意表明などが挙げられる。

2.秩序と安定を提供

秩序とは、物事が一定の規則や基準に従い整然とした状態にあること、又はそのような状態を維持する仕組みや原則を指す。社会、自然、思想、行動など、さまざまな領域で用いられる概念であり、秩序が存在することで安定と調和が保たれる。

カルト宗教において、儀式・儀礼を繰り返し行うことで安心感や一体感を提供できる。

身近な例では、朝礼や食事の挨拶などが挙げられる。

3.移行の象徴

儀式・儀礼は、個々人のライフステージや役割の変化を示す「節目(移行)」の象徴としても有効だ。

例えば、卒業式や成人式などがこれにあたる。

4.絆の強化

儀式・儀礼という共通体験は、信者同士の関係を深めるのにも役立つ。

例えば、家族で行う慣例行事やチーム発足時の決起集会等が該当するだろう。

5.感謝・敬意を表現

儀式・儀礼を通し、他者や自然に対する感謝の気持ちを形式的に示すこともできる。

例えば、結婚式における誓いの言葉や感謝祭などがこれにあたる。

儀式や儀礼を導入する手順

実際に儀式や儀礼を導入する際の手順は、下記のとおりだ。

  1. 目的を明確にする
  2. シンボルを選ぶ
  3. 一貫した形式を設定
  4. 参加者の関与を促す
  5. 繰り返しや記念性の重視

1. 目的を明確にする

なぜおその儀式を行うか、目的を明確化する。

感謝の意を示す、新たな習慣の開始、一体感を生むといった目的が考えられる。

2. シンボルを選ぶ

シンボルには、特定の意味を象徴する「モノ」や「行為」を選ぶ。

たとえば、ろうそくや音楽、特定の言葉や動作が該当する。

3. 一貫した形式を設定

儀式を行う際のプロセスを明確化する。

具体的には、開始の合図→メインの行動→終了の合図と3段階に分けて設定するのが理想的だ。

例として、鐘の音や言葉→誓いの言葉・乾杯→拍手や挨拶などが考えられる。

4. 参加者の関与を促す

カルト集団において、個々人に役割を持たせることは、一体感を生むうえで欠かせない。

儀式中には手をつないだり、拍手を求める、順番に一人一人発言させる場合がこれにあたる。

5. 繰り返しや記念性の重視

儀式・儀礼は、繰り返すことで価値が高まり、開催の都度、記念やシンボルを残すことで次回への期待値を高めることができる。

儀式・儀礼のメリット

儀式・儀礼をおこなうことは、下記のメリットをもたらす。

  1. 精神的な充実感
  2. 習慣化の促進
  3. 社会的なつながり強化
  4. ストレスの軽減
  5. 文化の継承 など

4.排他性の確立

カルトマーケティングにおける排他性の確立とは、グループやブランド、文化等の面において、特定の価値観や特徴を共有する人たちを明確化し、その他の人々との差別化を強調する手段・考え方を指す。

これにより、一体感と特別感を生み、コミュニティやブランドロイヤリティの強化・形成をはかることができる。

排他性とは

排他性とは、ある集団やシステムに属する人々が他者との差別化を明確にし、「自分は選ばれた」「自分は特別」といった感覚を促進し、共有することを指す。

排他的であること自体は、決してネガティブな意味をもつわけではなく、ブランドやコミュニティの構築において、戦略的に利用される手法である。

排他性のメリット

排他性を利用することで、下記のメリットが考えられる。

  1. 結束力の強化
  2. 特別感の付与
  3. 高い価値の創出
  4. 質の向上

排他性を確立する方法

排他性を確立するには、下記の方法が考えられる。

  1. 条件の設定
  2. 限定性の強調
  3. ブランドと価値観の明確化
  4. 儀式や習慣を取り入れる
  5. 外部との差異を強調
  6. 招待制の活用
  7. ストーリーをつくる

1. 条件を設定する

参加や利用について、特定の条件を課すことで対象者を絞る。

例えば、高額な会費はブランドの価値上昇を助け、資格やスキルの場合は専門性を高める助けとなる。

2. 限定性の強調

カルト集団に関し、限られた人だけがアクセス可能というメッセージを明確にし、強調する。

例えば、数量限定による商品販売や時間限定によるサービス提供などが該当する。

3. ブランドと価値感の明確化

理念や価値観を明確にし、それに共感・賛同する人を中心に集団を形成することで、ブランド力を高めることができる。

例えば、持続可能性を支持する人に対し、環境保護を掲げたブランドをアピールする場合や、アウトドアやミニマリスト向けなど、特定のライフスタイルや趣味に特化したコミュニティ形成も良いだろう。

4. 儀式や習慣を取り入れる

集団の中において、専用のルールや儀式を設けることにより、グループの独自性を強調することができる。

例えば、信者同士の特別な挨拶や合言葉、定期的に実施されるミーティングやイベントなどが挙げられる。

5. 外部との差異を強調

自分たちは特別である理由を明確にし、他者との差異を殊更に際立たせるのも有効だ。

例えば、一般と集団内とを比較した広告や外部から見えない仕組みの構築などがこれにあたる。

6. 招待制を活用する

参加に関し、集団内のメンバーの紹介を条件として導入することで、入会自体の難易度をあげる方法も考えられる。

これにより、入会希望者に「誰でも入れるわけではない」と印象付け、集団の稀少性やステータスの高さを感じさせることができ、他の集団への所属より価値のあるものとして認識させることができるだろう。

また、入会希望者は紹介者を通じた情報を得ることとなり、事前に集団の価値観や雰囲気を理解することができることから、一定の安心感やほどよい緊張感を生むこととなる。

一方、組織から見てもメリットは多い。

新たな参加者を推薦制とすることで、より集団に適合しやすい人材を選ぶことができるほか、紹介者自身が責任を負うことで、適性の低い人を推薦しづらい仕組みとして機能する。

これにより、不適切なメンバーの加入リスクを減らすことができ、入会希望者にかける時間とコスト削減にもつながる。

    7. ストーリーをつくる

    組織やブランドの背景に特別な物語を持たせ、参加者に感情的なつながりを与える。

    最もわかりやすいのは、創設者の特別なビジョンと理念の共有、過去の苦労と成功の強調だろう。

    排他性を用いる場面と注意点

    実際に排他性を用いる場面と注意点として、下記が考えられる。

    排他性を用いる場面

    1. ブランド戦略
    2. コミュニティの構築
    3. マーケティング戦略

    注意点

    1. 過度な排他性は反発を招く可能性がある
    2. 包括性とのバランスが重要である
    3. 価値の持続性を保つ必要がある

    カルトから学ぶ「説得力」と「影響力」の行使

    カルト集団は、そのメンバー・信者に強い影響を与え、行動をコントロールする高度な説得技術を使用する。これらの技術は、ビジネスやリーダーシップ、個人の影響力を高める際に応用することも可能だが、同時に、倫理的な問題を引き起こす可能性もあり、慎重な検討を要する。

    下記に、カルトから学ぶ説得力と影響力の行使について詳しく説明したい。

    1.感情面への訴求

    感情に強く訴えることで、理性より感情的な判断を促進し、行動を引き出すことができる。

    具体例として、信念体系の強調により、メンバーに「救世主」や「特別な使命を負う者」という感覚を持たせ、積極的な行動を引き出すことがる。

    また、重要性や緊急性の強調により、早急な行動を促進することもあるだろう。

    ビジネスや個人に対しては、感情を揺るがすストーリーテリングや情熱的なプレゼンテーションが効果的である。

    2.社会的証明(Social Proof)

    「他の人が参加するから自分も参加する」という社会的証明の原理を活用する。

    活用例として、グループ内で成功した人々の証言やストーリーを強調し、他の信者に「自分にも可能性がある」と信じさせる、集団内における合意形成や信者同士の結束強調などが挙げられる。

    ビジネスや個人においては、顧客のレビューや証言、成功事例の活用を通し、他の顧客に対し、強い影響力を発揮することができる。

    3.小さな要求(Foot-in-the-door technique)

    はじめに小さな要求を受け入れさせ、次第に大きな要求を受け入れさせる方法を活用する。

    カルト集団では、最初に少額の寄付を頼み、徐々に高額な寄付をお願いするなどの方法が頻繁に用いられるが、ビジネスにおいては、顧客や部下に対するタスクや要求の受入れが該当する。

    4.閉鎖的な環境の作成

    出来る限り外部との接触を断ち、信者が組織の価値観や信念体系に固執するよう仕向けるのもカルト集団における常套手段といえる。

    具体的には、信者と外界との接触を最大限制限し、当該信者が組織の内輪での価値観に強く依存するよう「外部の情報は信ずるべきでない」と教え、内部の情報やリーダーの指導のみ受け入れるようにする手法が考えられる。

    ビジネスにおいては、企業文化の強化や社内の価値観、目標への共感力を深める目的を持ち、ちーーむビルディング活動の導入などが考えられる。

    5.カリスマ的リーダーシップ

    リーダーは信者に対し、絶対的な信頼を築くことにより、無条件に従わせる力を持つことがある。

    ビジネスにおいて、強いリーダーシップの発揮と明確なビジョンの伝達によるチームの結束力向上と、目標達成までの貢献度向上が考えられる。

    6.閉じ込め効果(Cognitive Dissonance)

    信者が選択する行動を正当化するため、その行動を繰り返すよう仕向ける手法がある。

    わかりやすい例を挙げると、テロリストですら正義を自認しているが、元を辿れば、個人的な悩みや義憤であったはずだ。

    こうした事象に対し、答えを求めているところに、カルト宗教はいとも簡単に「敵」を持ち出し、「あなたがつらい思いをしているのは○○のせいである」という被害者意識を植え付ける。

    これにより、復讐は正当化され、社会を破壊する目的など微塵も持たず、自らを正義だと信じて疑わぬままにテロ行為に及ぶのだ。

    ビジネスにおいて、顧客が1度購入した製品に対し、その選択を正当化し続けられるよう仕掛けを行わなければならない。

    外界との対立をあおり、攻撃を正当化するストーリーテリングは避けましょう。

    実際のカルトマーケティング事例

    カルトマーケティングでは、特定のターゲットを操作し、信念体系や消費行動を強く誘導する手法をとるが、当該手法が過度に利用されると倫理的な問題が生じ、犯罪や社会問題への発展が懸念される。

    以下に、日本国内で起こったカルト的マーケティングに関する事例を挙げるが、その多くは推奨できない行為であり、批判や問題を引き起こしている。そのため、当ページでは、あくまで事例として取り上げ、悪用を避ける警鐘として参考にしてほしい

    1. オウム真理教と「アセンション」商品

    概要

    オウム真理教は、1990年代に信者を集めるために過激な教義を展開し、マーケティング活動を通じ、信者を引き込んだ。特に、「アセンション」(覚醒)という概念を販売促進に利用し、高額なセミナーや商品(例えば、特定の書籍や「特別な薬」)を購入させていた。

    カルト的要素

    当該事案におけるカルト的要素として、下記が挙げられる。

    1. 精神的な覚醒を促す商品・サービスの購入を促す
    2. 「真理を知る者」として、商品を通じて選ばれた顧客の証明を与える

    問題点

    オウム真理教は、1995年に地下鉄サリン事件を起こすなど過激な行動に出た。信者が商品やサービスに多額の金額を費やした結果、破産や家庭崩壊を招いたケースもある。

    このことから、カルト的宗教は信者を経済的・精神的に追い込む可能性を含み、カルトマーケティングによる深刻な犯罪や社会問題への接続リスクがあることから、絶対に推奨できるものではない。

    2. 自己啓発セミナーと「成功の法則」販売

    概要

    特定の自己啓発セミナーやビジネスセミナーは、参加者に強烈な「成功信仰」を植え付け、参加費用や書籍、DVD、身に着けられる衣服やステッカー、さらには「メンター契約」など高額商品の購入に繋がることもある。

    ここで販売される商品に実用的な価値はほとんどなく、購入者が心酔する組織との一体感を実感でき、かつ、周囲に対し、当該組織への所属を示すことができるという価値をもつ。

    カルト的要素

    カルトマーケティングが提供する製品には、存在しない機能を謳い、違法販売や悪質商法といえるものも含まれる。

    例えば、客観的な証拠はないにもかかわらず、「○○に効く」や「○○に必須」とし、最悪の結末を示して脅す行為は悪質商法だといえる。また、参加者が外部から批判され、組織内の信念に依存するよう仕向けるのも悪質だといえるだろう。

    問題点

    消費者が安心や平穏を求めて少額、かつ、自発的に買い求める場合と比べ、真剣に脅され、高額商品を購入するよう仕向けられる場合では、社会にいおける需要度が異なる。さらに、深刻な場合には健康被害を及ぼすリスクも負うことから、販売側にも相応の倫理観が求められる。

    3. 宗教法人を利用した不透明な商法(例:某宗教団体)

    概要

    宗教法人として認可された団体が販売する商品・サービスに関し、明言せずとも実質的な高額寄付を強いるケースがある。信者に対し、「貢献すべき」との感覚を抱かせ、商品購入や寄付を行わせる手法だ。

    ある団体において、特定のアイテム(例えば、神聖視された物品や書籍)を購入しなければ「精神的に救われない」といったメッセージが伝えられたこともある。

    カルト的要素

    当事案におけるカルト的要素は、下記の通りだ。

    1. 精神的な成長と救済に購入や寄付が不可欠であると強調
    2. 信者は自己犠牲的な支出を続け、精神的安心を得ようとする

    問題点

    こうした商法では、金銭的な搾取や過剰な献金の促進により、信者を経済的に困窮させることがある。また、信者を組織内に閉じ込め、外界との接触を制限することで独占的支配を行うこともある。

    宗教法人や目に見えないものを販売するのに際し、不透明かつ過剰な金銭要求を伴う場合、それは重大な倫理的問題を引き起こす可能性があります。特に、過剰な献金を求める商法は社会的に問題視されています。

    【まとめ】カルト信者のような忠誠心をマーケティングに活かす方法

    カルトマーケティングの本質は、顧客がブランドに対し、カルト宗教の信者のように、無条件で忠誠を誓うよう仕向けるものだ。カルト宗教の信者が信仰する教義のように、顧客がブランドの「理念」や「価値」に共感・納得し、自分をブランドの一部と認識することは成功の可能性を高めるだろう。

    1. 外界との違いを強調する
    2. 明確な目的・ビジョンを示す
    3. アイデンティティや自己実現をアピールする
    4. 共通の敵をつくる
    5. 儀式・儀礼を取り入れる
    6. 強い指導者を確立する

    これらの要素を取り入れることで、あなたのブランドも「信者」のような忠実なフォロワーを作り、マーケティングを成功に導くことができるだろう。

    資格の選び方、取得のメリットと注意点を解説

    当サイトの一部に広告を含みます。

    資格とは

    資格とは、特定の分野における一定の知識・スキルを証明するものを指す。

    (1)資格の種類

    資格は下記に分類される。

    国家資格難易度が最も高い反面、信頼も厚い資格
    民間資格法的根拠によらず、民間団体・企業、地方自治体が認定する資格
    公的資格民間団体、公益法人が実施する試験結果について、文部科学省、経済産業省等の官庁・大臣が認定する資格

    (2)資格の役割

    資格には、第三者に対し、一定の知識・スキル・専門性を証明するでなく、法律に基づく特定業務を行うため、必要な権限を付与されるものがある。

    このような資格を「業務独占資格」と呼び、資格がなければ当該業務を行うことはできない。
    例えば、医師、弁護士、税理士、建築士等がこれに該当する。

    また、社内における評価基準として用いられる事もある。

    このため、転職活動時には自分の強みとして優位にはたらき、実務経験が少ない場合でも採用に繋がる可能性がある。

    あくまで主観的な意見ですが、資格取得を通し、それまでの努力が目で見える形で残せることで、その後のモチベーションや自己肯定感に繋がるかと思います✨

    (3)資格の意義

    資格の意義を考えると、個人・社会にとってさまざまな場面で重要な役割を担っていることがわかる。

    例えば、医師や看護師は患者の命を預かる立場にあり、資格によりその責任を付与されることにより、資格保持者はその役割を果たす義務、社会に対する責任を負うことになる。

    弁護士や建築士の場合、資格がなければ特定業務を行う事ができない一方で、業務のクオリティを担保し、業界内での競争を適切に保つよう調整・運用されている。
    これらの資格は、社会に提供するサービスの質を一定以上に保ち、消費者・依頼者の利益を守るという意義をもつ。

    資格者が自分の専門性を通して社会貢献を行うことで、自分自身の存在意義を感じられるメリットもあります。

    資格で得られると勘違いしがちなもの

    資格取得に伴い、下記を得られると勘違いしている方を見かけます。

    1. すぐに仕事が見つかる
    2. 高収入になる
    3. 他者から信頼・評価される
    4. 全ての問題が解決する

    1.すぐに仕事が見つかる

    資格の取得が就職に直結するわけではない。

    需要の高い資格でも、実際にその資格を活かせる仕事に就くには、経験、人脈等を求められることがほとんどである。

    2.高収入になる

    資格が収入の増加に直結するわけではない。

    資格は、あくまで保有者の知識・技術を証明するものでしかなく、市場における需要、活用できるかどうかは本人にかかっている。

    3.他者から信頼・評価される

    資格により一定の信頼を得ることはできるが、その信頼は資格に向けられるものであり、保有者に対してではない。

    実務上、資格よりもコミュニケーション能力や働き方を重視されるのが一般的で、単に資格を取得しただけで評価を期待するのはやや危険である。

    4.全ての問題が解決する

    資格の取得が実生活上の問題を全て解決してくれることはない。

    資格取得はあくまでスタートラインに過ぎず、その後の道のりは自分で切り拓くしかない。

    資格を取得することで自己成長、キャリアにプラスをもたらしますが、その先の現実や抱えている課題の本質を捉え、より効果的に活用していく力が求められます。

    勘違いが起きる原因

    資格取得に関する勘違いが起きる要因について、いくつか考える。

    (1)資格に対する過度な広告・期待

    資格取得を目指す人をターゲットとする予備校やセミナーの場合、取得のメリットを強調し、取得後の実態を誇張気味に発することがある。

    これらの広告を見たターゲットは、「資格さえあれば道は拓ける」と誤認するのだろう。

    また、受講生の成功事例を前面にプッシュする戦略をとることも多く、こうした事例が多数派との誤認させることもある。

    現実に成功している人の多くは、資格取得以外の分野でも努力している場合がほとんどだが、こういった部分がフォーカスされることは少ないことから、勘違いに拍車をかけるのかもしれない。

    (2)資格者=即戦力と考える

    資格を取得するには、適切な努力量が必要である。

    試験の突破はそれまでの努力が報われた瞬間でもあり、「これだけ頑張ったのだから、結果に繋がるはず」との思考を招きやすい側面もある。

    資格学習を通して学んだことが実務に直結することを期待し、又は、悪意なくそう信じる人もいて、実際の現場で手も足も出ず立ち尽くす人もいる。

    要するに、「試験の合格」と「現場で求められる適格性」は別個独立だと気づいていないんですよね💦

    (3)社会的な評価に対する誤認

    資格者に対し、社会的な評価・信頼感を寄せる人は少なくない。

    例えば、フリーターやアフィリエイターは信頼されづらいのに対し、医師、弁護士などの資格者というだけで高評価を得られる傾向にある。

    こうした文化的な背景が「資格で(容易に)評価が得られる」との誤解を招くのかも知れません。

    (4)会心の一撃を期待

    悩みがある場合、何かを変えることで現状が好転するかもしれないと期待し、資格取得に目を向けることがある。

    この場合、資格取得により劇的な変化が望めるとの期待値が異常な高まりを見せることがあり、取得後の現実に対し、考えが甘くなることも原因の1つだろう。

    一種の現実逃避とも考えられます。

    (5)情報の偏り

    SNS等を通し、資格に関する情報を容易に手に入れられるようになった。

    しかし、こうした媒体では成功体験に偏りを見せ、不合格者や取得後に活用し切れていない人の声は埋もれがちである。

    その結果、資格取得へのハードルは低く、その後の現実を正しく理解することが難しくなり、誤解を助長しているものと推察する。

    資格の限界

    資格には多くのメリットがある一方、いくつかの限界がある。

    1. 知識・技術の陳腐化
    2. 理想と現実のギャップ
    3. 資格乱立による価値の低下
    4. 資格維持のコスト・労力
    5. 資格への依存

    (1)知識・技術の陳腐化

    特定の資格について、取得時の知識・技術が時間の経過と共に古くなることがある。

    そのため、資格取得に安心するのではなく、継続的な学習とスキルアップが求められることと、資格が最新の知識・技術を完全に証明するツールではないことに注意する必要がある。

    例えば、ITや医療の分野における成長・発展は目覚ましく、資格取得時の内容がすぐに古くなってしまうんですよね💦

    (2)理想と現実のギャップ

    資格取得により、仕事の幅が広がる、転職市場での価値増加等のケースは認められるが、必ずしもキャリアアップや増収に直結するわけではない。

    特に、社会経験が浅い人や転職者の中には、「資格さえあれば」と考える人も多いが、資格は単に応募条件の一部でしかなく、採用にはコミュニケーション能力や応用力、適応力等が求められるものである。

    資格そのものが決定打になるケースが稀なことを理解し、資格取得後の行動・姿勢に注意しましょう⚠

    (3)資格乱立による価値の低下

    近年、多くの資格が登場し、同分野において類似の資格が乱立している。

    このような状況下では、資格ごとの価値・信頼性が曖昧となり、どの資格が本当に有用なのかを判断することが困難である。

    また、多くの人が同じ資格を取得している場合、その資格自体が優位性を生み出すことはない。

    このため、より高い専門性や実務経験を優先するしかなく、資格だけでは何かと「不十分」との判断を下されることになる。

    (4)資格維持のコスト・労力

    一部の資格について、定期的な更新を要する。

    これに伴い、講習を受ける、実務経験を証明する等の手間が生じる場合がある。

    こうした負担が資格維持そのものを難しくすることもあるため、取得前に維持にかかる費用・労力を総合的に判断する必要がある。

    (5)資格への依存

    資格への依存心が強い場合、他の分野や新たな技術・方法に対し、柔軟な対応が難しくなるリスクを負う。

    特に、資格取得に長い時間や多大な労力をかけた人ほど固執する傾向が強く、専門性だけでなく、柔軟な思考が求められる現代においての生存が厳しいといえる。

    資格はあくまで「道具ツール」であることに留意し、これを使い、どのような価値を提供できるかを考える必要がありますね。

    資格取得により本当に得られるもの

    資格取得により得られるものは多岐にわたるが、下記に一般的なものを挙げる。

    1. 専門知識・技術の習得
    2. キャリアの幅が広がる
    3. 信頼性、社会的な信用向上
    4. 自己肯定感と達成感
    5. 転職、独立における強み

    (1)専門知識・技術の習得

    資格学習において、基本から応用まで幅広い範囲をカバーする必要があり、自ずと特定分野に関する理解を深めることに繋がる。

    これにより、実務において即戦力として活かせる知識・スキルの習得、業務全体の質を高める効果が期待できる。

    特に、国家資格や専門職に関わる資格の場合、試験を通じ、実践的なトレーニングが行われる場合も多く、実務に直結するスキルを養うことができる。

    (2)キャリアの幅が広がる

    資格は、採用担当者に対し、応募者の専門性・知識レベルを証明する有力な手段となる。

    特に、業界や職種により、特定の資格を持つことが採用の必須条件となることもあり、資格取得が当該分野への就職・転職の可能性を高めることになる。

    また、新たな職種・役職に挑戦できるようになり、キャリアの選択肢が広がる。

    例えば、管理職・専門職への昇進に必要な資格を取得することで、これまでと異なるポジションに挑戦する機会に繋がるだろう。

    (3)信頼性、社会的信用の向上

    資格は、特定分野での一定の専門知識・技術を持つことを証明するものだ。

    このため、資格の保有が業界内や職場における評価に直結し、信頼を得やすくなる場合がある。

    例えば、医療や法律、建築などの専門性が求められる分野において、資格者がいることで顧客・クライアントからの信頼を得やすく、業務の依頼が増える可能性がある。

    (4)自己肯定感と達成感

    資格試験に合格するには、一定の努力・時間を要する。

    その過程において、目標達成による自身獲得、自己肯定感向上が期待できるほか、対外的には学び続ける姿勢を示すことができるため、企業・クライアントから高評価を得られることもある。

    自己成長の証明ツールとして、資格は「努力の結果」を形にする一つの手段となるわけだ。

    (5)転職、独立における強み

    資格の取得を通し、これまで関わらなかった分野に挑戦する足掛かりとなる。

    例えば、異業種への転職を検討する際、その分野の基礎知識を持っていることを資格で証明できれば、未経験でも挑戦しやすいだろう。

    また、フリーランスとして独立する際には、経験に代わるアピールポイントとして活用できる。独立直後は外部に示すことができる実績がなく、客観的な証拠として機能する資格が効果を発揮するのである。

    資格の選び方

    資格を選ぶ際は、自分の興味や目標に基づき、市場のニーズ、資格の内容を調査した上、将来性・認知度を考慮して選ぶといいだろう。

    1自己分析・自分が興味のあるもの、得意なこと、情熱を注げるものを考える
    ・将来の職業、キャリアの方向性を意識する
    2市場調査・求人情報、業界のトレンドを確認し、需要の高い資格をピックアップ
    ・将来的な需要を検討する
    3資格の内容・取得方法を確認・学習にかかる時間・コスト、試験の難易度を調べる
    ・学習方法を検討する
    4資格の認知度を確認・資格が業界内、一般的にどの程度認知されているかを確認
    ・既に保有している資格や、今後取得を検討している資格との相性を考える
    5キャリアプランを見直す・長期的な視点で見て、資格がどの程度キャリアに役立つかを検討する
    ・取得後の成長が見込める環境を選ぶ
    6取得者の体験談を確認・実際の取得者の体験談、アドバイスを参考にする

    資格で得られると勘違いしがちなもの、本当に得られるものまとめ

    当ページでは、資格で得られると勘違いしがちなものと、本当に得られるもの、資格の選び方を解説した。

    令和6年度 宅建試験を受験した感想、学習時間と方法、速報による採点結果

    当サイトの一部に広告を含みます。

    本日、令和6年度宅建試験(正式名は「宅地建物取引士資格試験」)を受けてきた。

    当ページでは、試験の感想、学習期間(時間)と方法、資格塾が発表した速報をもとに採点した結果を紹介する。

    令和6年度宅建試験の問題と受検票

    ※実際の合否は11月26日(火)の合格発表後に追記する。

    宅地建物取引士資格試験の概要

    宅建試験の概要は下記の通り。
    (出典:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験 | 宅建試験の概要

    実施公告

    原則、毎年6月の第1金曜日に下記の方式により発表

    1. 官報への掲載
    2. 一般財団法人不動産適正取引推進機構ホームページへの掲載

    試験日

    毎年1回、10月の第3日曜日において、午後1時~午後3時までの2時間
    ※登録講習修了者は、午後1時10分~午後3時までの1時間50分

    科目・出題範囲

    • 権利関係に関する出題
    • 法令上の制限に関する出題
    • 税その他に関する出題
    • 宅建業法に関する出題
    • 免除科目

    出題形式

    50問・四肢択一式による筆記試験
    ※登録講習修了者は45問

    受験資格

    日本国内に居住する人であれば、年齢、学歴等に関係なく、誰でも受験可能※合格後の資格登録については一定要件を満たす必要あり(宅建業法第18条)

    試験時間

    120分
    ※科目免除者は110分

    受験手数料

    8,200円
    ※原則、払込後の返還には不対応

    合格基準

    概ね35点前後
    ※試験実施期間が公開するものではなく、直近に行われた試験結果より推測

    宅建試験の免除制度

    宅建試験では、下記の人を対象に試験問題のうち5問の解答を免除する制度がある。

    • 登録講習修了試験に合格
    • 登録講習終了日から3年以内

    端的に言えば、一般の受験者より合格点が5点おまけされる制度で、不動産業に従事する人への適用を想定しているのだろう。

    学習期間(時間)

    宅建試験に向け、筆者が学習した期間をアプリ「集中」を使用し、計測した。

    取り組んだ回数685回
    総時間236.4h
    平均学習時間1.5h/日
    学習開始日令和6年5月10日

    合格までの目安

    一般的に、合格までに必要とされる学習時間は300h程度とされる(出典:宅建の勉強時間の目安は?平均勉強期間と最短合格するための勉強法を紹介! | 資格Times

    1日の学習時間を1.5~2hで設定した場合、試験の約半年前から準備することで無理なく進められるのではないだろうか。

    受験者ごとに必要時間数が異なるのは言うまでもありませんが、これらを調整し、選択することも含めて「受験」ですよね。

    解答速報による自己採点の結果

    令和6年10月20日(日)17:12時点において、最も多くの解答を公開していたサイトを参照した。

    自己採点の結果は、35/50点だった(出典:宅建試験 解答速報 2024(令和6年度) | アガルートアカデミー

    後述する合格点数から考えると絶望的なので、あまり期待せず合格発表の時を待ちます(´・ω・`)

    宅建試験の合格点数について

    直近の試験概要において、令和4年・5年度は36点、令和3年度は34%、令和2年度では38点(10月実施分)となっている(出典:result.pdf

    合格点数が変動する理由は明かされていないようだが、各年度の平均点数から相対的に判断しているものと考えられる。

    合格率でいうと13.1~17.9%で推移し、「高い(簡単)」とは言い難いですね。

    受験までの取組

    ここまで学習してきた内容・感触について勝手気ままに記述する。

    学習内容について

    はじめに購入した問題集に従い、下記に分類して行った。

    • 宅建業法
    • 権利関係・
    • 法令上の制限、税・その他

    そもそもだが、宅建試験は全50問。例年だと構成は下記の通りだ。

    • 宅建業法…20問
    • 権利関係…14問
    • 土地計画法・建基法(「建築基準法」の略)等の規制法…8問
    • 税法、地価公示法等…8問

    特にボリュームのある宅建業法から着手するのが得策だろうし、権利関係は日常的に取り扱うことを理由に後回しにしたが、試験対策の吉凶がわかるのは、いつだって合格発表時だ。

    使用した資料

    使用した資料は下記の2種類。

    ※いずれもリンク先は最新版

    目聡い方ならお気づきかと思いますが…
    1.テキストは購入していない
    2.購入は去年なので、1年古い
    という特徴があります😂

    学習方法

    何ら難しいことはせず、用意した問題集をひたすら回した。

    はじめの1か月はiPadで、ノートアプリ「Goodnotes6」を使用。
    しかし、出来高が目に見える方がモチベーションが保てると判断し、ルーズリーフへと変更した。

    それから、50問×4(四肢択一なので)=200問を2時間で解ききる必要があるため、問題集1冊を終えるのにかかった日数と時間を記録した。

    今日の試験では時間だけ余裕があったので、速度対策に関しては有効だったのだろう。

    受験した感想

    ここからは、受験の感想を好き勝手にお話しする。

    受験した感想

    まずは、お疲れ様でした。

    今年5月に受験したITパスポート試験以来(筆記試験でいえば昨夏の社労士試験ぶり)の国家試験で高揚しすぎた反動か、試験後はどっと疲れたというのが率直な感想だ。

    肝心な試験の内容について、難易度は高くなかったように思う。

    35点見込みの筆者がこんな発言をするのもおかしいが、過去問に比べ、ややこしい出題は少なかったはず。にもかかわらず、合格絶望的という何とも不甲斐ない結果にやや落ち込んでいる。

    男女比と年齢

    試験の概要から、合格者の男女比は概ね6:4。
    合格者の平均年齢は35歳なので、筆者と同年代がメインだとわかる。

    ちなみに、受験者の職業で多い順に下記の通り。

    1. 不動産業
    2. 金融業
    3. 建設業
    4. 他業種
    5. 学生
    6. 主婦
    7. その他

    専業者に限らず合格可能性はあることがうかがえる(出典:result.pdf

    このような前知識を抱えて試験会場に向かったが、筆者の体感では、不動産業、他業種、学生の順に受験生が並び、男女比は2:8程度。
    年齢について、年長者6割、同年代3割、若人が1割であった。

    あくまで受験目的で足を運んでいるため、他者の年齢・性別などどうでもいいのだが、その場の雰囲気ってあるよねと思うので。

    試験監督員

    宅建試験の実施機関は「一般社団法人不動産適正取引推進機構」だが、恐らく、現役の宅建士で構成されているのだと思う。
    このため、試験監督員はすべて宅建士である可能性が高い。

    これまでに受けてきた国家試験は下記の通り。

    • 行政書士試験
    • 乙種危険物取扱者試験
    • 知的財産管理技能検定
    • ITパスポート
    • 社会保険労務士試験

    いずれの試験でも監督員が資格者だとすれば、最も砕けた雰囲気だったのはITパスポート試験だが、今日の宅建試験はこれに次ぐラフさであった。

    無根拠な推測です😂

    もちろん、国家試験らしい硬度カタさもあった。

    試験監督員の数は充分で、試験室まで迷う受験生はほぼいなかったように見えたのは、適切に配置された試験監督員のお陰だろう。

    では、どこにラフさを感じたのかというと、試験監督員同士の伝達ミスと、試験前後に案内された注意事項の内容だ。
    先に触れた受験生の構成についても、当該資格がどの層に需要があるかを手がかりになる。

    こうした空気に触れられるところが、試験の良さだよなぁと思う。

    受験の動機

    最後に、筆者が宅建試験を受けた動機をお話して締めくくる。

    端的に言えば、好奇心と不安解消が目的だ。

    行政書士試験合格から5年、行政書士登録から3年。
    今日までたくさんの方から言われてきたことがある。

    「宅建試験は受けないの?」

    ここに「行政書士(試験に受かった)なら余裕」と無責任なお墨付きまでいただくわけだが、行政書士試験と宅建試験は全く別物で、一方に受かれば他方も受かるといったルールは存在しない。

    しかし、双方に共通する部分も多いため、行政書士試験への登竜門と考えるのは理解できる。

    この発言は筆者に謎のプレッシャーと、宅建試験への苦手意識を増幅させる原因として付きまとったわけだが、行政書士業務を行う上で不動産に関わる場面もある。

    例えば、農地法に基づく許可・届出や風営法に基づく許可等だ。

    これらの手続を行う際、行政書士資格でも足りるのだが、単に手続に必要な知識だけでは、顧客対応が困難なこともある。

    こんなときは伝家の宝刀「確認して折り返します」を繰り出すに限るが、血眼になって制度を調べるうち、筆者自身も色々気になるようになった。
    これが受験を意識したきっかけである。

    何かを学ぶのに動機なんてどうでも良く、合格すれば試験の得点なんてと思うのだが、自己採点の結果が絶望的なことを受け、ここは1つ、言い訳しておくかという心理がはたらいたことを懺悔しておく。アーメン。

    令和6年度 宅建試験を受験した感想、学習方法まとめ

    当ページでは、令和6年度宅建試験を受験した感想と学習方法をご紹介した。

    関連リンク