初めての献血体験レポート|痛み・流れ・注意点をリアルに解説

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初めて献血に行った日、最も緊張したのは「針」ではなく「受付で断られる可能性」だった。

健康診断で「貧血気味」と書かれたことがある他、前の晩は寝付きが悪かった。

それでも、「一度は誰かの役に立ちたい」と考え足を運んだ。

献血バスの前に設置されたテントを覗くと、愛想の良い女性と目が合った。

もっと病院っぽい空間を想像していたため、少し、拍子抜けした。

スタッフさんに献血したいと申し出たところ、上から下まで見られた上で体重計に案内された。

「これは、もしや…」と嫌な予感がした。以前、体重を理由に断られたことがあったのだ。

しかし、彼女の反応は予想に反するモノだった。

「あら、意外にしっかり。ごめんなさいね、とても細身だから」

こうして私の “初めての献血” が始まった。

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献血とは

献血とは、健康な人が自分の血液を提供し、病気やけがで輸血を必要とする人を助けるボランティア活動のことです。

日本では毎日およそ1万3千人が輸血を必要としており、安定した血液の確保が欠かせません。

血液は人工的に作ることができず、しかも長期保存もできません。

赤血球製剤は約21日、血小板製剤はわずか4日ほどで使えなくなってしまう。

だからこそ、「今、この瞬間の誰かの献血」が、明日の治療を支えているのです。

私自身、献血ルームのポスターを見かけたとき、「人の血ってそんなに早く使われるの?」と驚きました。

調べるほどに、日々ギリギリの需要と供給で回っていることがわかり、他人事ではなくなったのでした。

献血が必要な理由

献血がこれほど重要とされるのは、輸血を必要とする人が想像以上に多いからです。

交通事故や大きな手術では、数リットル単位の血液が失われることがあります。

また、がん治療などで定期的に輸血を受けなければならない方も多く、日々多くの血液が使われています。

血液は人工的に作ることができません。

医療がどれほど進歩しても、血液だけは人からしか得られないのです。

代替手段がない以上、誰かの献血に頼るしかありません。

さらに、血液には使用期限があります。

赤血球製剤は約21日、血小板製剤にいたっては4日程度しか保存できません。

つまり、どんなに多くの血液を集めても、それを長く貯めておくことはできないのです。

初めて献血時、スタッフの方から「採取した血液は、早ければ翌日に使われることがあるんですよ」と教えてくれました。

高齢化や医療の進歩により、今後も輸血の需要は増える見込みです。

だからこそ、献血を「特別なこと」と切り離すのでなく、「社会の血流を保つ日常的な行動」と考えるほうが適切ではないでしょうか。

献血の種類と条件

日本で行われている献血は、大きく「全血献血」と「成分献血」の2種類に分かれます。

どちらも輸血医療を支えるうえで欠かせませんが、方法や体への負担に違いがあります。

全血献血

血液をそのまま採取する方法で、いちばんイメージしやすい献血です。

200mLと400mLの2種類があり、主に輸血の現場で直接使われます。

項目200ml献血400ml献血
献血できる体重男女とも体重40㎏以上男性:50㎏以上
女性:45㎏以上
献血可能間隔男女とも4週間後から男性:12週間後
女性:16週間後
年間の献血回数制限制限なし男性:年3回
女性:年2回

メリット

  • 短時間(10~15分ほど)で終わります
  • 手順がシンプルで負担が少ないです
  • 輸血に必要な血液をそのまま提供できます

デメリット

  • 一度に多くの血液を失うため、身体への負担が大きめです
  • 鉄分の回復に少し時間がかかります

初めての献血では、私もこの全血献血を選びました。
刺される針の太さに少しドキッとしましたが、10分も経たないうちに終了。
思っていたより呆気なく「え、もう終わり?」と拍子抜けしたのを覚えています。

成分献血

血液の中から、血漿(けっしょう)や血小板などの特定の成分だけを採取し、残りを体に戻す方法です。

種類採取する成分献血感覚年間の上限
血漿献血血液の体液成分2週間後から最大24回
血小板献血血を固める成分

メリット

  • 鉄分をほぼ失わないので、身体への負担が少ないです
  • 頻繁に協力できます(2週間ごとに可能)
  • 特に血小板は保存期限が短く、医療現場での需要が非常に高いです

デメリット

  • 時間がかかります(40~90分)
  • 専用の機械を使うため、対応している献血ルームが限られています

「血を抜かれてるのに、体に戻される感覚」――成分献血ではそんな不思議な体験をします。

少しSFっぽいですが、終わった後の倦怠感は少なく、体への配慮を感じました。

実際の献血の流れと必要なもの

初めての人にとって、献血ルームは少しハードルが高く感じるかもしれません。

けれど、実際に行ってみると、驚くほど丁寧でリラックスした空気に包まれています。

1. 受付

まずは受付。入り口でスタッフさんに声をかけ、本人確認書類を提示します。

運転免許証やマイナンバーカード、健康保険証など、氏名・生年月日・住所が確認できるものが必要です。

過去に献血したことがある人は「献血カード」や「ラブラッドアプリ」が使えます。

初回でも、スマホ登録だけでスムーズに案内してもらえました。

この時点で「空腹です」と伝えると、スタッフさんが優しく制止してくれます。

空腹状態だと体調を崩す可能性があるため、軽く食事をしてから訪れるのがポイントです。

📌 必要なもの

  • 本人確認書類(氏名、生年月日、住所が確認できるもの)
    ☞例:運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証など
  • 献血カード(過去に献血経験がある場合)
    ラブラッドアプリユーザは不要
  • 事前の食事(空腹状態での献血はNG)

2. 問診と血液検査

タブレットでいくつかの質問に答え、医師の問診を受けます。

指先から少量の血液を取って、貧血や血圧のチェック。

一連の流れは5分もかからず、医師も気さくな対応でした。

「針は平気ですか」と聞かれ、回答に困っていると「無理なら言ってもらえば大丈夫ですよ」と爽やかに返されたのが印象的でした。
あくまでも協力を求めるものですので、強制されることはありません。

3. 献血前の軽食

献血中に血糖値が下がらないよう、軽い食事を摂ることが推奨されています。

献血ルームにより、カロリーメイトやクッキーが提供されます。

私の場合、食事を摂っていなかったため「カロリーメイトを全部(2本!)食べたらOK」と言われ、人生で最も真面目に完食してから臨みました。
この軽食が意外とポイントで、血糖値を保つことにより立ちくらみ防止の効果があるそうです。

4. 献血開始

ベッドに横になり、腕に針を刺して採血が始まります。

400mL献血なら10〜15分、成分献血なら40〜90分ほど。

私は400mLを選びましたが、思ったよりもあっさり終了しました。

針を刺した瞬間はチクリとした痛みがあります。

しかし、血液が流れ始めると感覚が落ち着き、「呑気に寝ているだけで誰かの役に立てるのか」と不思議な気持ちに。

5. 休憩&ドリンクタイム

献血後は血圧を測り、一定時間休憩をとります。

ルームによってはドリンクバーやお菓子があり、まるでカフェのような雰囲気です。

スタッフさんが「今日は本当にありがとうございました」と笑顔で声をかけてくれて、ちょっとした達成感とあたたかさが残りました。

献血後の体調と注意点

献血が終わると、腕にガーゼとテープを巻かれます。

スタッフさんからは「2〜3時間ほどで外して大丈夫ですよ」と案内がありました。

針を刺した部分が赤くなったり、少し腫れることもありますが、ほとんどは時間とともに落ち着きます。

私の場合、献血後1時間ほどは軽い息切れと頭の重さを感じました。

翌朝には、腕にうっすら青い跡が残っていたものの、痛みはなく日常生活には支障なし。

スタッフさんから「よくある反応なので安心してください」と説明を受けていたおかげで、特に不安はありませんでした。

献血後に気をつけること

水分をしっかり摂る
 献血後は体内の水分量が減っているため、スポーツドリンクや鉄分入り飲料がおすすめです。

激しい運動・長風呂を避ける
 体温や血圧が上がりやすく、貧血を起こすことがあります。飲酒も控えましょう。

鉄分を意識して摂る
 レバー、赤身肉、ほうれん草などを献血後1〜2日は意識的に。

腫れたときは冷やす
 痛みや違和感が続く場合は、無理せず医療機関へ。

万が一、めまいや吐き気、強い貧血症状が出たら、その場で休むのが一番です。

献血ルームやバスには必ず医師が常駐しているので、少しでも異変を感じたら迷わず声をかけてください。

献血は “抜いて終わり” ではなく、体を労るところまでがセットです。

自分の血を分けた分、少し甘やかす時間をとるくらいでちょうどいいです。

FAQ(よくある質問)

Q1. 献血って痛いですか?

針を刺すときに「チクッ」とした痛みはあります。

採血用の針は注射より少し太いですが、刺した直後さえ乗り切れば、あとはほとんど無痛です。

私の場合、指先での血液チェックのほうがむしろ苦手でした。

「思ったより平気だった」と言う人がほとんどなので、構えなくても大丈夫。

どうしても無理でしたら、直前でも辞退することができます。

Q2. 献血後に気をつけることは?

水分を多めに取り、激しい運動や長風呂を控えましょう。

献血直後は血液が薄まった状態なので、無理に動くと立ちくらみを起こしやすくなります。

1日は“のんびりデー”と割り切るくらいがちょうどいいです。

Q3. 献血はどのくらいの頻度でできますか?

全血献血は男性で年3回、女性で年2回まで。成分献血なら、2週間おきにできます。

「もう終わり?」と思うくらい軽く感じたなら、次は成分献血に挑戦してみるのもおすすめです。

Q4. 献血した血液はどこで使われるの?

主に次のような場面で使われます。

  • 手術や事故での大量出血時
  • がん治療の貧血サポート
  • 先天性の血液疾患や慢性病の治療
  • 血液製剤の原料としての利用

スタッフさんによると、「今日採った血が明日使われることもあります」とのこと。

そのスピード感を知ると、自分の400mLが急に“リアルな命の一部”に思えてくるから不思議です。

Q5. 体調が悪くても献血できますか?

できません。無理をせず、体調が整ってからにしましょう。

発熱、風邪、胃腸炎、貧血、睡眠不足などはすべてNGです。

症状が落ち着いたあとも、以下を目安にすると安心です。

体調不良の種類献血OKになるまでの目安
風邪・発熱解熱後1週間以上
インフルエンザ完治後3週間以上
胃腸炎症状消失後1週間以上
抜歯3日以上経過していればOK
手術・入院医師の確認が必要

Q6. 食事は献血前に取ったほうがいい?

はい。空腹で献血すると、血糖値が下がって気分が悪くなることがあります。

軽く食べてから行きましょう。

(私は、その場で支給されたカロリーメイトを完食して臨みました。)


Q7. 持病や薬があっても献血できる?

場合によります。

服薬中や通院中の方は、医師または受付スタッフに必ず相談してください。

「これはダメかも」と自己判断で避けるより、正確な情報を聞いた方が安心です。

私は、頸椎ヘルニアとアレルギー系の薬を服用していましたが、問題ありませんでした。
心配な方は、お薬手帳や市販薬の名前をメモしておくと◎です。

これから献血を考えている人へ

献血は、30分前後でできる命のサポートです。

最初は緊張するでしょうが、実際に行ってみると拍子抜けするほど穏やかで、親切な空気に包まれています。

私も最初は、「倒れたらどうしよう」「また門前払いされるのでは」と不安でした。

でも、スタッフさんが常に声をかけてくれて、終わってみれば「もう少し早く来てもよかったな」と思ったほどです。

自分の血液が、見知らぬ誰かの体をめぐり、明日を支える。

それはどんなSNSの“いいね”よりも地味ですが、確かなつながりです。

少しでも興味があるなら、献血ルームや献血バスをのぞいてみてください。

行くだけでも立派な一歩です。

献血は「特別な人」がするものではなく、「ちょっと優しい人」ができること。

今日のあなたの400mLが、誰かの命の理由になるかもしれません。

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