奢る?割り勘? それぞれの“地図”が違うだけだった|恋愛と承認の話

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※このテーマに関連したYouTube動画はこちら
📺 なぜ男女は奢りですれ違うのか?|恋愛における価値観の違いとは

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 SNSを見ていると、

「奢るべき?」

「割り勘ってどうなの?」

 そんな言葉が不定期にアップされ、炎上しかけたり、議論になっていることがあります。

 この論争は何度も繰り返されているにもかかわらず、「いつも噛み合わないまま終わるなあ」と感じていました。

 今回はこのテーマに動画で向き合い、コメント欄でいただいた声を読みながら、改めて感じた事を少し、文章に残してみようと思います。

すれ違いを生む構造

 奢るか、割り勘か。これ自体は“どちらが正しいか”ではなく、お互いが理想とする関係の違いではないでしょうか。

 私が動画で使った表現を用いますと、それは単に立っている“地図”が異なるだけ。

  • 男性にリードしてほしい人
  • 対等でありたいが、少しは甘えさせてほしい
  • 自立した関係を望む
  • 「奢れなければ男ではない」と考えている

 いずれも、本人なりの誠実さから来ている場合がほとんどで、だからこそ「わかり合えない」ではなく、「交わらない」のではないかと感じています。

昔の恋愛:役割分担ベース

 昭和から平成初期にかけての恋愛では、

  • 男性:経済的に支える
  • 女性:仮定的に支える

という性別による役割分担が前提にあり、それが恋愛や結婚にも色濃く反映されていました。

 そのため、この時代における「奢り」とは、男性は誠意や力強さの象徴として、女性は「守られる存在」であることを期待され、それを受け入れることで関係が成立していたのではないでしょうか。

現代の恋愛:対等関係ベースのはずが…

 現代では、男女ともに働くようになっています。

 けれど現実には、制度も心構えも中途半端にしかアップデートされていません。

  • 経済的には平等を求める
  • 恋愛では依然として「男らしさ/女らしさ」が残っている

 その結果、

奢って当然。でも、収入は平等!

のように、矛盾に苦しむ人が増えているのだと推察します。

 特に女性の中には、

  • 自立を重視しながらも、特別扱いされたいという願望が見える
  • 私は奢られたいが、奢られる=依存ではないと主張するジレンマ

 一方、男性の中でも、

  • 平等志向になりつつも、「奢らなければ評価されない」不安がある
  • どちらにせよ評価軸が「金」になることへの不満

があるようです。

奢ることは主導権の象徴か

 奢る・奢られる問題について、表層的にはお金の話ですが、その根底には「主導権」や「序列」があります。たとえば、

  • 奢られる=弱者ではないか、と女性が嫌がる場合がある
  • 奢らせる=支配されている気がする、と感じる男性もいる

 つまり、現代の恋愛は外観こそ平等ですが、じつは主導権争いをしていることが多いのだと考えています。

【恋愛の地図】奢る・奢られる問題

タイプ思考ニーズ相手に求めるもの
古風な女性男性がリードすべき特別扱いされたい経済的支援、誠意
自立志向の女性対等でありたいが、甘えも許されたい理解、心理的ケア気遣い、心理的配慮
古風な男性女性を守るのが男の役目尊敬されたい感謝、頼られること
平等志向の男性対等でいたい人間的理解金以外での評価

奢り問題は、どちらが正しいではなく、どの恋愛観に自分が立っているかを把握しない限り、毎回の関係が摩擦になるのではないでしょうか。

コメント欄という“対話の場”

 本テーマの動画に対し、いくつか印象深いコメントをいただきました。

 たとえば、

昔は男性が奢るのが当たり前だった。そうでなければ、“女性を幸せにできない”と見なされるような空気もあった

というご経験を語ってくださった方もいました。

 けれど、今は女性も発言力を持ち、社会的にも対等な立場で働けるようになってきたからこそ、
「奢られること」に違和感を持つという声が出てくるのかもしれません。

 また、

SNSの発展で情報に触れる機会は増えたけれど、対話の場はむしろ減っているようにも思う

といったご意見も。

 発信者の意図が正しく伝わらず、切り取られて広まってしまうことへの不安や、“語り合うこと”の大切さを改めて感じた──という声もありました。

 この点、私自身もかつて、「奢ってもらえないこと」を通じ、大切にされていないように感じたことがあります。

 しかしそれは、相手が不誠実だったのではなく、私が立っていた“地図”はそうだっただけかもしれません。

おわりに:正解じゃなくて、重なれるかどうか

 このテーマに、結論はありません。

 なぜなら、人はそれぞれ、違う背景と異なる地図を持っているから。

 けれど、違うままにしておける関係や、違いを理解しようとする姿勢をもつことで、少しずつ“対話”をつないでいけるのだと思っています。

 動画でも触れましたが、我々は今、演出し、選ばれ、承認され──そんな風に自分を社会に差し出す場面を増やしています。

 だからこそ、「着飾らなくても大丈夫な場所」であったり、「そのまま話せる関係」を持つことで、救われる人もいるのではないでしょうか。

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【追伸】

動画はこちらからご覧いただけます:
▶︎ なぜ男女は奢りですれ違うのか?|恋愛における価値観の違いとは