
本記事では、相続税の申告と納付期限について解説します。
Contents
相続税申告・納付期限はいつまで?
相続税には、2つの期限があります。「申告期限」と「納付期限」です。
どちらの期限も被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と定められています。
申告と納付までの流れは?
下記の通りです。
2.相続人の確認
3.財産・債務の確定
4.相続放棄または限定承認の意思表示
5.準確定申告
6.遺産分割協議
7.相続税の申告、納付
相続開始
相続開始日は、被相続人が亡くなった日です。
相続人の確認
控除額の算出に関わるため、まずは法定相続人を確定します。
その上で、遺言書などで定められる受遺者なども含め、相続する人全員を確認します。
財産・債務の確定
財産というとプラスの資産を想像される人が非常に多いですが、債務も含めて「遺産」となります。
内容により、相続税が不要なケースもあります。
相続放棄または限定承認の意思表示
相続放棄、限定承認には、相続開始から3か月以内の期限があります。
家庭裁判所へ申述しなくてはなりませんので、決断に必要な材料を早めに揃え、早めに準備をしましょう。
相続放棄・限定承認制度について知りたい方は、以下の記事も併せてご覧下さい。
準確定申告
被相続人が亡くなった年(1月1日から死亡日まで)に所得があった場合、相続人が確定申告を代行しなくてはなりません。
死亡日から4か月以内に行って下さい。
遺産分割協議
遺言書がない場合、相続財産の分割方法を相続人全員で決定します。
万が一、協議が調わない場合には調停が考えられます。
調停について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧下さい。
相続税の申告・納付
相続税の申告と納付は、ほぼ同時です。
申告に必要な書類を揃えて税務署に申告し、相続税を支払います。
相続税の支払は「一括」が原則ですが、相続資産が莫大ですぐには支払えない場合、延納・物納などの手続も併せて行います。
延納って何?
一般的に3.6~6.0%の利子税を支払い、相続税を元金均等の分割にて納める方法です。
下記の要件を満たす場合、延納が認められます。
- 相続税額が10万円を超えている
- 延納期限までに現金での一括納付が困難
- 延納税額100万円以上、延納期間3年超の場合、担保の供与が必要
- 相続税納付期限までに延納申請書、担保提供関係の書類を税務署へ提出
これらの要件を満たした場合、延納が認められます。
延納期間は?
原則5年、最長20年です。
物納って何?
延納が認められない場合、金銭の代わりに「物」で納める制度です。
- 延納しても金銭で納付できない
- 申請する財産が物納できる種類の財産である
- 申請する財産が物納不適格な財産でない
- 相続税の納付期限までに物納申請書と物納手続き関係書類を税務署に提出
これらの要件を満たす事で認められます。
順位と種類は次の通りです。
順位 | 内容 |
---|---|
第1順位 | 国債、地方債、不動産、船舶、社債、株式、投資信託などの有価証券 |
第2順位 | 非上場株式等 |
第3順位 | 動産 |
遅れるとどうなる?
結論から言うと、ペナルティが課せられます。
2.延滞税
3.重加算税
無申告加算税
期限内に申告しなかった場合、納付税額に対し、次の税額が課せられます。
- 50万円まで:15%
- 50万円を超える部分:20%
一定の場合には緩和措置も執られますが、期限は守りましょう。
延滞税
「納付」が遅れた場合、次の税率を利息として課せられます。
- 納付期限の翌日から2か月以内:年7.3%
- 納付期限の翌日から2か月を経過した日後:年14.6%
重加算税
意図的に相続税申告をしなかった場合、次の税率が課せられます。
- 過少申告:35%
- 無申告による隠蔽:40%
- 過去5年以内に無申告加算税や加算税を課せられた事がある場合:50%
間に合わない時はどうしたらいいの?
遺産分割協議が調わない場合や、現金が足りない場合など、期限に間に合わない事もあり得ます。
申告期限に間に合わない場合、法定相続分で申告・納税の手続をする事が考えられます。
この時、「申告期限後3年以内の分割見込書」を併せて提出しておけば、一定の特例が適用されます。
納付期限に間に合わない場合、物納や延納手続が考えられます。
まとめ
本記事では、相続税の申告・納付の期限について解説しました。
それぞれの期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内でしたね。
相続開始から申告・納税までのスケジュールは下記の通りでした。
2.相続人の確認
3.財産・債務の確定
4.相続放棄または限定承認の意思表示
5.準確定申告
6.遺産分割協議
7.相続税の申告、納付
相続開始直後には、死亡人の死を悲しむ暇もないほど、大量の手続が期限付で押し寄せます。
危篤から葬儀までの流れは、こちらをご覧ください。
下記に死亡後の手続をまとめています。
各種手続や期限内の遂行に不安がある方は、当事務所までご相談下さい。
本記事が相続税の申告・納税制度の理解や、手続の助けになれば幸いです。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。