
本記事では、漁港について設けられた5つの区分について解説します。
海が近い土地にお住まいの方は、知っておくと話のタネにはなるでしょう。
漁港の種類は全部で5つ
漁港には5つの種類があります。
- 特定第3種
- 第3種
- 第2種
- 第1種
- 第4種
区別基準は農林水産省の「漁港の指定等に関する基準の制定等について(PDF)」の中に定められています。
ポイントは「地元漁船の数」「年間属地陸揚量(漁獲量)」「設置施設の規模」です。
漁港の指定要件は?
大前提は、漁港として「自然的」「経済的」な立地条件が備わっている漁業根拠地であることが挙げられます。
つまり、申請後に整備するので遅く、申請時に漁業根拠地として機能していることが求められます。
もうひとつの前提が「申請する年度か次年度以降に、国の漁港関係補助事業か都道府県・市町村等が計画した単独事業を実施する計画があること」です。
これらを行うために必要であろうとされる次の項目も求められます。
- 漁港が「公共施設」といえるような外郭施設、係留施設、水域施設となるものが1つ以上はあり、地元漁船や利用漁船の実隻数が約20隻以上利用している事
- 漁獲物が相当量陸揚げされているか、漁船の出漁の準備、休憩、批難や水産動植物の養殖作業等の漁業活動が営まれていること
「漁港にひとつはないとダメ」だとされる施設は次の通りです。
外郭(がいかく)施設:防波堤、防砂堤、導流堤、護岸など
係留(けいりゅうしせつ)施設:桟橋、浮桟橋、岸壁、船揚場など
水域施設:十分な深さのある水域のこと

引用:港湾等の施設のイメージ(PDF)/国土交通省
漁港の整備などを目的とした第4種漁港の指定では、
- 離島や辺地にあること
- 漁場の開発、漁船の避難場所 または 第4種漁港として漁港の指定を受ける必要性があること
が要件となります。
漁港の種類は?
漁港の種類は「経済効果」「漁港の将来性」等から総合的に決定されます。
- 第4種
- 第1種
- 第2種
- 第3種
- 特定第3種
第4種漁港
ポイントは「場所」「目的」「周囲への影響」です。
- 離島、僻地にあること
- 漁場の開発、漁船の避難のために、漁港の配置上、特に指定が必要
- 相当規模の静音水域の確保が可能で、かつ、近隣の2つ以上の漁港の安全性、機能性等の向上に相当な効果が期待できること、それらの地域開発・防災への貢献が期待できる場所であること
第2種漁港
ポイントは「漁船の隻数」「年間水揚げ量」「施設」です。
- 地元の漁船が50隻以上 または 漁船の総トン数が500トン以上※
- 利用漁船が25隻以上 または 当該漁船の総トン数が合計で250トン以上
- 属地陸揚げ量 1,125トン以上/年
- 「停留施設」「幅員3m以上の臨港道路」「荷さばき所」すべてを備えている
このうち「3つ以上」を満たすと、第2種漁港に指定されます。
第3種漁港
- 地元漁船が140隻以上 又は 当該漁船の総トン数2,400トン以上
- 利用漁船が70隻以上 又は 当該漁船の総トン数1,600トン以上で、複数都道府県からの漁船の利用がある
- 属地陸揚量が5,000トン以上/年
- 次に掲げる施設をすべて有していること
- 停留施設
- 幅員5.5m以上の臨港道路または臨港鉄道
- 荷さばき所
- 漁船修理場
- 給水施設
- 給油施設
- 製氷施設
- 冷凍施設
- 冷蔵施設
これらのうち「3つ以上」を満たすと、第3種漁港となります。
余談ですが、当事務所所在地のお隣にある小田原市早川(小田原)漁港は第3種漁港に該当し、はちゃめちゃに美味しいお魚が食べられます。オススメです。
第1種漁港
第4種、第2種、第3種漁港に該当しないものを、第1種漁港といいます。
特定第3種漁港
第3種漁港のうち、水産業の振興上特に重要な漁港で政令で定めるものをいいます。
第4種から第1種漁港は、各法律、農林水産省の通知が根拠となります。
いっぽう、特定第3種漁港は「政令」が根拠となります。
要するに、指定基準を制定する機関が異なるため、指定後の取扱いに差が出ます。
特定第3種漁港に指定されている漁港は、全国で13港です。
- 八戸漁港
- 気仙沼漁港
- 石巻漁港
- 塩釜漁港
- 銚子漁港
- 三崎漁港
- 焼津漁港
- 境漁港
- 浜田漁港
- 下関漁港
- 博多漁港
- 長崎漁港
- 枕崎漁港
引用元:公益社団法人 全国漁港漁場協会HPより
まとめ
本記事では、漁港の区分について解説しました。
漁港は、次の5種類がありました。
- 特定第3種
- 第3種
- 第2種
- 第1種
- 第4種
指定要件を覚える必要はありませんが、ご近所に特定第3種漁港など大きな漁港がある人は、美味しいお魚が食べられるかも知れませんよ。
この記事を書いた人は
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。