
労働者にとって、職場の人間関係はもちろん、事業主との関係は特に大きな関心事。円滑なときには気にならない不満や困り事も、それらが積み重なると顕著に表われます。
従業員の過半数で組織する労働組合のある会社では、そちらが力になってくれる事もあるでしょう。
しかし、中小企業の中には組合を設置していなかったり、労働者自身が加入していない場合もあります。
そんなときに頼れるのが「合同労組」の存在です。
ひとりでも加入できる「合同労組」
日本では、会社単位で組織する労働組合が多数派。
しかし、「合同労組」は会社という枠を越え、一定の地域ごとに結成されるもので、労働者1人でも加盟することのできる労働組合の事をいいます。
今回は「合同労組」について、「労働組合」と比較しながらわかりやすく解説します。
なぜ合同労組はできたのか?
一般的に「労働組合」というと、会社の中にある組合(以下、「企業別労働組合」といいます。)を想像しますが、この組合の組織率は意外に低く、加入者の多くは大手企業の一部社員にとどまります。
令和3年の労働組合基礎調査(令和3年6月30日時点)では、組合委員数1,007万8千人。雇用者数合計5,980万人に対して16.9%なので、労働組合に加入しているのは6人に1人となります。(引用元:令和3年祖労働組合基礎調査/厚生労働省)
労働者が労働組合への加入を考えるのは、下記の労働問題に直面した時です。
- 解雇
- ハラスメント
- 賃金(残業代含む)未払 等
しかし、企業別組合が置かれていない会社では加入する先がありません。こうした問題解決を求める労働者のためにあるのが「合同労組」です。
大企業では、管理職が非組合員とされる場合も多いため、解雇撤回等を求める場合に合同労組に加入する事もあります。
合同労組の特徴は?
本記事では、代表的な合同労組「○○ユニオン」を軸に展開します。
ユニオンは、地域や業種に応じて「○○ユニオン」と称して活動していますが、共通する特徴は以下の通りです。
- 一定の地域を活動対象としている
- 組合員に中小企業労働者が多い
- 1人で加入できる
- 雇用形態に制限がない
- 個別的な労働紛争を主な活動目的とする
合同労組から団体交渉を申し込まれると…
ユニオンから交渉を申し込まれた事業者側に感想を聞く事ができたのですが、決して穏やかなものではないようです。
企業別労働組合との交渉と比較すると、紛争の程度が激しくなる傾向が強く、団体交渉の席で野次・罵声が発せられる、会社周辺へのビラ貼、配布、集会なども行われるなど、好戦的な姿勢が見て取れます。
団体交渉に不慣れな会社の場合、社長や担当者が萎縮し、本来ならば応ずる必要のない要求にまで応じるケースもあります。どんなに激しい紛争となっても冷静な交渉を心がけ、労働紛争専門の弁護士に相談しましょう。
まとめ
今回はひとりでも加入できる合同労組について解説しました。合同労組には下記の特徴があります。
- 一定の地域を活動対象としている
- 組合員に中小企業労働者が多い
- 1人で加入できる
- 雇用形態に制限がない
- 個別的な労働紛争を主な活動目的とする
労働者として問題解決を目指す場合には、加入をご検討いただくとともに、自身が団体交渉を申し込まれた際には、はやめに弁護士へご相談ください。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。