
先日、こんな質問がありました。
タイムカードがない職場で働いていますが、違法じゃないですか?
結論として、タイムカードがないだけで違法という事は出来ません。
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タイムカードがなくても…
使用者には、労働基準法で「労働者の労働時間を管理する義務」を定められています。
一般的に労働者は、使用者よりも立場が弱くなりますので、法律で労働者の保護を図るための規定です。ですので、タイムカード以外の方法で労働時間を把握・管理できていれば違法とは言えません。
つまり、労働者の労働時間を管理していなければ違法だといえます。
構成労働者が出したガイドラインにおいて、勤怠時間の「確認」と「記録」の原則的な方法を確認すると…
・使用者が、自ら現認することにより確認し、適性に記録すること。
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適性に記録すること。
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインより/厚労省HP
とあります。
タイムカードを使用しないのなら、ICカードを使用した出退勤(入退室)情報や、パソコンのログイン情報などを客観的証拠として記録する事を推奨しています。
自己申告制を採用するなら
この他、「自己申告制」を採用するケースについても触れています。
ア 自己申告制の対象となる労働者に対して、(中略)労働時間の実態を正しく記録し、適性に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
イ 実際に労働時間を管理する者に対して、(中略)十分な説明を行うこと。
ウ 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
エ 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
オ 自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならない。
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインより/厚生労働省HP
自己申告制の対象となる労働者だけでなく、労働時間の管理者側へも十分な説明を行う事や、自己申告による労働時間を鵜呑みにしない事を示唆する内容から、かなり慎重な運用を義務づけられている事がうかがえます。
こんな場合は違法
上記を踏まえ、タイムカードで労働時間を管理したとしても、下記の場合には違法となります。
- 使用者による残業時間の改ざん
- 労働者による労働時間の改ざん
使用者残業時間の改ざん
残業代の支払を逃れる目的で、使用者が残業時間に係る記録を改ざんするのは「不正行為」です。
労働者による労働時間の改ざん
給与を増やす目的で、労働者側が労働時間を”水増し”する行為も違法です。
労働基準法等により罰則が科せられる
就業規則に該当する規定がなかったとしても、これらの行為は労働基準法や刑法により、一定期間以下の懲役または罰金刑が科せられる可能性があります。
労使共に、不正行為には然るべき手段で早急に対処しましょう。
労務管理のプロフェッショナルは社労士
タイムカードがないこと自体は違法とはいえません。けれど、労働時間の適切な管理を怠れば「違法」となります。
自社に適した勤怠時間の管理方法を考える際、助けになれるのは社会保険労務士です。勤怠管理システムの導入や働き方改革の対応法など、使用者の強い味方になってくれるでしょう。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。