
行政書士として発信活動をしていると、
行政書士の資格は有利ですか?
行政書士は食えますか?
との質問をいただきます。
本記事を、あなたの就職・転職活動について考える材料にしてもらえれば幸いです。
Contents
行政書士試験の難易度は?
結論から言うと、やや高めです。
令和4年度行政書士試験の合格率は、12.13%でした。(一般財団法人行政書士試験センター「令和4年度行政書士試験結果」より)
例年10%前後で推移している合格率ですが、この数年内でも高いように思います。
他士業試験と比較し、「受験資格」「合格基準」とも寛容なのが行政書士試験の特徴です。
法学生や、司法・司法書士試験突破を目指す人が”力試し”で受ける試験とも言われます。
行政書士の資格が活きる現場は?
資格を活かすにはまず、業務内容を知らなくてはなりません。
一般的には「難関」と呼ばれる行政書士試験ですが、業務内容をきちんと把握している受験生が少ないのも本試験の特徴ではないでしょうか。
行政書士業務は?
行政書士業務は大きく2つに分けられます。
- 権利義務に関する書類の作成、相談業務
- 上記内容の代理、代行
士業法人・事務所以外の一般企業内(人事総務部)にいたぼくの場合ですが、行政書士の名で行政書士業務を行う事は原則禁じられており、全く役に立ちませんでした。
では、何処なら役に立つのでしょうか。
士業事務所
士業資格を活かすなら、士業事務所は外せません。
士業事務所は弁護士等がメインとなる法律・法務事務所や、弁護士、税理士、司法書士等の複数士業が混在する士業法人、その他、行政書士法人・事務所などが挙げられます。
行政書士の資格を活かすなら、行政書士法人 または 行政書士事務所への就職が考えられます。
こういったところで働く場合、「使用人行政書士」という形をとります。
法務部等
在籍していた法人(人事総務部)内において、行政書士業務を行う事を禁じられていたぼくが言うのも何ですが(苦笑)
一般企業内で行政書士資格を活かすなら、法務部や総務部など、行政とのやり取りや法律を取り扱う機会が多い部署を検討するのが懸命でしょう。
行政書士の求人状況は?
神奈川県内において、行政書士の求人数は絶望的です。
特に正社員雇用の求人はほとんどなく、補助者として、パート・アルバイトの形で募集している事務所がほとんどです。
考えられる理由として、
- 士業資格自体が「独立」を前提とする資格である事
- 資格自体の維持費がかかる事
が挙げられます。
いつ辞められるかわからない上に、独立開業となれば既存客を引き抜かれるかも知れない。
そのうえ、維持費がかかる資格保有者を継続雇用するより、補助者として長期的に勤務してくれる人を採用する方が安心という雇用側の心理がうかがえます。
とはいえ、全ての事務所がこのような心理を抱いているわけではないのでご安心ください。
就職・転職に行政書士資格は
本題の「就職・転職に行政書士資格が有益か?」ですが、上記の理由から
やや不適切
がぼくの見解です。
独立前提の修行なら補助者でも
独立開業を前提に士業事務所での実務経験を積みたい人は、「正社員」という雇用形態にこだわりすぎる必要はありません。
在宅ワークなど副業が容易な今なら、収益の面積を拡げるのは難しい事ではないからです。(負担が全くないとは言えませんが。)
多忙な個人事務所なら一定の需要が見込まれますし、本業が厳しくとも、サイドビジネスとして大いに”アリ”な職業といえます。
行政書士として就職する場合の注意点
目的を明確に
応募前に1度、あなたの目的を言語化しましょう。
収入は選ぶ職業でほとんど決まります。
わざわざ行政書士という職業を選ぶ理由は何なのか。自分がこの職業で成したい事は何なのか。
答えが見つからないまま就職すると、多かれ少なかれ壁にぶつかります。
求人募集の頻度を目安に
どの職場も、実際に働いてみなければわからない事は多いものです。
ただ、頻繁に求人を募集しているところは、人の出入りが激しく、何らかの問題を抱えている場合がほとんどです。
募集内容が好待遇なのに、しょっちゅう求人を出しているところは注意しましょう。
行政書士事務所代表としての独断・偏見を語ると…
当事務所は、代表のぼく(榊原沙奈)だけの1人事務所です。
ただ、同業・他士業事務所を数多く見てきました。
このうち、補助者を採用しているところは、創業から年数を重ねた歴史あるところや、競合がほとんどいない地域密着型、代表がダブル または トリプルライセンスで活躍されているケースがほとんどです。
「今勤めている会社が自分に合わない」
「少人数のところでのんびり働きたい」
こうした動機で、転職先に行政書士事務所を選ぶと怪我をします。
また、「とりあえず合格したけど、自分で開業するのは怖い」との理由で就職・転職を考える人がいます。
「責任を負いたくない」気持ちは一見ネガティブに見えますが、正しく変換できれば、結果的に責任ある行動に繋がります。
けれど、士業事務所の採用面接時、「どうして開業しないのか?」の問いに馬鹿正直に答えてはなりません。(実話です。)
なぜなら、これから上司になる人は、あなたが逃げた責任から逃れられない立場にいる人だからです。
少人数の職場では、マインドの共有を大事にするところが多いため、自身と違い過ぎる人間を雇用しようと考える人は少数です。
大規模な士業法人への就職を考えるのでない限り、相手は「個人」である事を意識するといいでしょう。
まとめ
今回は「行政書士資格が就職に有利か?」をお話ししました。
転職での優位性を求めて取得するには「やや不適切」だと思いますが、キャリア・スキルアップとしての取得としては有益だといえるでしょう。
また、士業事務所への就職を希望するなら、自己対話をお忘れなく。
あなたのビジネスライフに、本記事がお役に立てば幸いです。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。