
著作権に移転が生じた場合、文化庁への「移転登録」が必要です。
本記事では著作権登録申請のうち「移転登録」について、わかりやすく解説します。
著作権って何?という方は、こちらの記事をご覧下さい。
Contents
著作権の移転登録とは?
著作権は財産権の1つです。
そのため、譲渡契約などで持ち主(権利者)が変わる事があります。
この時、もらう側を「登録権利者」、あげる側を「登録義務者」といいます。
著作権をもらう人:登録権利者
著作権をあげる人:登録義務者
この2人が協力して、著作権が移転した事を文化庁に申請。
その結果、登録を受ける事を「著作権の移転登録」といいます。
移転登録すると…
著作権は、著作物を創作した時に自動で発生する権利です。
しかし、第三者と争いが生じた場合、客観的な証拠がなければ優劣がつけられません。
そこで生まれたのが「登録」制度です。
著作権の移転登録をする事で、第三者に対抗できるようになります。
著作権の譲渡契約等、確実な取引を臨むのなら、文化庁への登録制度をおすすめします。
相続では不要です
同じく著作権に移転が生じる場合として、「相続」や「合併・分割」による承継などが考えられます。
この場合、第三者対抗要件は生じませんので、移転登録の手続は不要です。
しかし、相続人同士の間で後にトラブルになる事も考えられます。
この場合、文化庁への申請手続は不要ですが、遺産分割協議書に記載するようにしましょう。
著作権の移転登録の流れ
著作権の移転登録の流れは下記の通りです。
- 提出書類作成
- 登録申請
- 審査
- 登録
提出書類作成
後ほど説明する書類を準備します。
登録申請
1件につき、18,000円の登録免許税がかかります。
著作隣接権の移転では1件9,000円です。
審査
文化庁にて、書類審査があります。
審査期間は1週間から1か月ほどといわれています。
登録
書類に不備がなければ、登録済通知書を交付されます。
申請に必要な書類は?
申請時に必要な書類は下記の通りです。
- 著作権登録申請書
- 譲渡契約書の写し 又は 譲渡証書
- 著作物の明細書
- 著作物の内容 又は 体様を示す添付書類
- 単独申請承諾書
- 委任状
- 同意書
著作権登録申請書
著作物の題号、登録権利者、登録義務者など、登録原簿に記載する事項を記入。
登録免許税として、収入印紙(18,000円)を貼付します。
譲渡契約書の写し 又は 譲渡証書
移転登録の原因となった事項を証明する書面を添付します。
著作物の明細書
対象の著作物が既に登録されている場合、不要です。
著作物を特定するための書面なので、「題号」「種類」「内容」等を記載します。
著作物の内容 又は 体様を示す添付書類
言語化しづらい美術や建築の著作物については、写真や図面を添付する場合があります。
※不要な場合もあります。
単独申請承諾書
移転登録申請は原則、登録義務者、登録権利者の2人で行いますが、登録義務者の「承諾」をもらえば、登録権利者側だけで申請ができます。
委任状・同意書
申請にあたり、代理人を指定した場合に「委任状」。
他の当事者が代理人を設定する事につき、同意した事を示すために「同意書」が必要です。
各種様式は、文化庁HPよりダウンロード可能です。
まとめ
著作権に移転が生じた時に必要な、文化庁への「移転登録」手続についてお話しました。
- 権利の移転を第三者に対抗するには移転登録が有効
- 相続など一定の場合には登録不要
- 移転登録の手続について
著作権を管轄する文化庁には、担当者が2名しかいないそうです。
そのため、著作権について相談しようにも、なかなか対応してもらえない事もあります。
たった2名で全国民を相手にするのですから当然ですよね(苦笑)
代表のヲタク行政書士®榊原沙奈は、一定の研修を修了した著作権相談員でもあります。
著作権の移転や登録制度でお悩みの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。