
本記事では、レンタカー業をはじめるのに必要な自家用自動車有償貸渡許可について解説します。
Contents
レンタカー業とは?
レンタカー業は、自動車を有償で、一定期間一時的に貸し出す事業のことをいいます。
道路運送法では、「自家用自動車有償貸渡業(じかようじどうしゃゆうしょうかしわたしぎょう)」と呼ばれます。
レンタカー業をはじめるのに必要な許可は?
レンタカー業をはじめるには、自家用自動車有償貸渡許可の取得が必要です。
レンタカー業許可の要件は?
大きく分けて「人」「モノ」「資金」に分類できます。
人の要件
申請者(法人の場合は役員も)が、次の欠格事由に該当しないことが求められます。
(2) 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない人
(3) 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成5年法律第88号)第15条の規定による通知があった日から当該処分をする日 または 処分をしないことを決定する日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から2年を経過していない人
(4) 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの監査が行われた日から許可の取消しの処分に係る聴聞決定予定日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から2年を経過していない人
(5) 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が前記(1)から(4)のいずれかに該当する人
(6) 許可を受けようとする者が法人である場合、その法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)が前記(1)から(5)のいずれかに該当する人
2. 申請者及びその役員が、申請日前2年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けているものではないこと。
人の要件をざっくりまとめると…
要約すると、下記の通りです。
- 1年以上の懲役や禁錮の刑を進行形で執行されている人と、執行が終わってから2年経っていない人
- 過去にレンタカー業の許可を取消された人で、取消しの日から2年経過していない人
- レンタカー業の許可取消しの通知を受け、これを逃れる目的で廃止届を出したことがある人は、廃止届を出してから2年経過していない場合
- 未成年者など法律上の行為能力がない人の法定代理人や、法人の役員が、上記のいずれかに該当する場合
法人の場合は、許可申請日から2年以内に、レンタカー業の無許可営業で処分を受けていないことも求められます。
モノの要件
レンタカーとして貸渡す自動車の車種は下記の通りです。
(2) 自家用マイクロバス
(※乗車定員11人以上29人以下であり、かつ、車両長が7m以下の車両に限る。以下同じ。)
(3) 自家用トラック
(4) 特種用途自動車
(5) 二輪車
(※なお、自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合は、3の要件を満たさなければならない。)
マイクロバスの貸渡しには追加要件があります
下記の通りです。
- 自家用マイクロバスの貸渡しは、7日前までに営業所を管轄する運輸支局長への届出が必要
- 届出を怠った状態で貸渡した場合、直近2年間の貸渡簿(写し)を添付または提示
- 自家用マイクロバスの貸渡しをするには、他区分の車種でのレンタカー業を2年以上行っていなければならない
- 届出前の2年間、車両停止以上の処分を受けていないこと
一定以上の車両なら「整備管理者」が必要
営業所の場所や大きさについてのルールはありませんが、駐車場は営業所から2km以内で、車輌がすべて納められることが求められます。
また、下記の場合には営業所ごとに整備管理者を選任する必要があります。
車輌区分 | 台数 |
---|---|
バス等(乗車定員11人以上) | 1台以上 |
大型トラック等(車輌総重量8t以上) | 5台以上 |
その他 | 10台以上 |
整備管理者になれるのは?
整備管理者は誰でもいいわけではなく、次のいずれかを満たす必要があります。
✓ 整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検 もしくは 整備の管理に関して2年以上の実務経験を有し、地方運輸局が行う整備管理者選任前研修を修了している方
このほか、事務所にも責任者を配置しなければなりませんが、一般的には取締役や役員などを選任することになります。
また、整備管理者と事務所責任者は兼任可能です。
資金の要件
レンタカー業をはじめるために、財産的な要件はありません。
ただし、レンタルに出す車両につける自動車保険の内容について、次の要件があります。
(1) 対人保険 1人当り 8,000万円以上
(2) 対物保険 1件当り 200万円以上
(3) 搭乗者保険(搭乗者が補償対象となる人身傷害保険も含む。)搭乗者1人当り 500万円以上
これらはあくまでも最低ラインなので、これ以上の補償を検討しなくてはなりません。
レンタカー業許可取得までの流れ
下記に、レンタカー業許可申請から事業開始までの一般的な流れを紹介します。
2.申請書提出
3.許可取得
4.車両登録
5.レンタカー業 開始
申請に必要な書類は?
※自治体により異なる場合がありますので、事前に管轄運輸支局へご確認ください。
自家用自動車有償貸渡許可申請に必要な一般的な書類は、次の通りです。
✓ 貸渡料金および貸渡約款を記載した書類
✓ 会社登記簿謄本(個人は住民票、新法人は発起人名簿)
✓ 宣誓書
✓ 事務所別車種別配置車両数一覧表
✓ 貸渡の実施計画
申請書類の様式はこちらから(PFD)ダウンロード可能です。
かかる費用は?
許可証の受取りと同時に、登録免許税の納付書を受け取ります。
登録免許税は9万円で、領収証を運輸支局窓口に提出する方法で納付します。
車両登録の方法は?
レンタカーとして使用する車両は、「車両登録」が必要です。
一般的には「わナンバー」と呼ばれるナンバーを取得する手続で、営業所を管轄する検査登録事務所にて行います。
登録時には下記の書類を提出しますが、窓口や取扱い車両により異なる場合もありますので、担当窓口に事前に確認しましょう。
- レンタカー事業者証または事業用自動車連絡所
- 車検証
- ナンバー代
- 手数料納付書
- 自動車税・自動車取得税申告書
- 申請書
- 車庫証明書
実績報告も忘れずに!
レンタカー業許可に更新手続は不要ですが、毎年4月1日から5月31日までに下記の書類を提出する必要があります。
✓ 事務所別車種別配置車両数一覧表
提出先は、事務所の所在地を管轄する運輸支局です。
管轄の運輸支局の確認はこちらから。
まとめ
本記事では、レンタカー業に必要な許可、車両登録について解説しました。
下記の記事で、キッチンカー営業について詳しく解説していますので、興味のある方はご覧ください。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。