
本記事では、建築業許可の業種区分のうち「土木工事業」について解説します。
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建設業「土木工事業」許可の取得方法は?
下記の要件を満たし、必要な手続を経て許可取得となります。
2.土木工事業に関する資格を持っている、または実務経験が10年以上ある
3.過去に不正な行為をしていない
4.500万円以上の資金力がある
5.欠格要件に該当しない
6.社会保険に加入している(法人の場合)
役員または個人事業主として建設業経験が5年以上ある
法人の場合は役員の1人、個人事業では個人事業主に、下記の経験が求められます。
建設会社の役員、もしくは個人事業主として5年以上 |
ここで問われるのは「経営経験があるか」なので、従事経験では足りません。
土木工事業に関する資格を持っている、または実務経験が10年以上ある
土木工事業に関わる資格として、下記が挙げられます。
・1級建設機械施工技士 ・2級建設機械施工技士 (第1種~第6種) ・1級土木施工管理技士 ・2級土木施工管理技士(種別は「土木」) ・技術士:建設(「鋼構造及びコンクリート」を除く)/総合技術監理「建設」(鋼構造及びコンクリートを除く) ・技術士:建設「鋼構造及びコンクリート」/総合技術監理「建設-鋼構造及びコンクリート」 ・技術士:農業「農業土木」・総合技術監理「農業-農業土木」 ・技術士:水産「水産土木」・総合技術監理「水産-水産土木」 ・技術士:森林「森林土木」・総合技術監理「森林-森林土木」 |
これらのうち、いずれかの資格所有者がいれば要件クリアですが、いない場合、土木工事の実務経験が10年以上ある人が必要です。
ここでのポイントは、あくまでも土木工事を10年経験していることなので、別の工事経験と通算することはできません。
ただし、下記の学科を修了し、卒業している人だと期間が短縮されます。
学科 | 実務経験 |
---|---|
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、都市工学、衛生工学、交通工学に関する学科 | 大学の場合:3年 高校の場合:5年 |
過去に不正な行為をしていない
請負契約の締結、その履行に際し、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合、許可の取得は認められません。
500万円以上の資金力がある
建設業では、一般的に取引額が大きくなるため、資金力を問われます。
下記のいずれかで証明できればクリアです。
・500万円以上の預金が確認できる銀行の残高証明書 ・500万円以上の自己資本が確認できる財務諸表 |
この500万円について調達方法まで問われませんので、融資や親族間での消費貸借契約で調達しても構いません。
欠格事由に該当しない
下記の欠格事由に当てはまると、一発アウトです。
番号 | 事項 |
---|---|
1 | 成年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者 |
2 | 不正の手段で許可を取得、または営業停止処分に違反して許可を取り消され、取消しになった日から5年を経過しない者 |
3 | 2の取消し処分の通知があった日から、処分を逃れるために廃業して5年を経過しない者 |
4 | 2の取消し処分の通知があった日以前60日以内に、3の廃業の届出をした法人の役員等 もしくは令3条使用人(営業所長等)、または 届出をした個人の令3条使用人で、当該届出の日から5年を経過しない者 |
5 | 営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者 |
6 | 営業の禁止を命ぜられ、その禁止期間が経過しない者 |
7 | 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
8 | 一定の法律に違反したことで罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
9 | 暴力団員、又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 |
10 | 申請者が未成年者で、その法定代理人が上記に該当する者 |
11 | 法人でその役員等、又は令3条使用人が上記に該当する者 |
12 | 個人でその支配人又は令3条使用人が上記に該当する者 |
13 | 暴力団員等にその事業活動を支配されている者 |
社会保険に加入している
下記の3つは、加入義務が課されます。
保険 | 概要 |
---|---|
1.健康保険 | 法人:強制適用 個人:5人以上の従業員を使用する場合 ✓協会けんぽ ✓健康保険組合 ✓適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等) いずれかの加入が必要 |
2.厚生年金保険 | 法人:強制適用 個人:5人以上の従業員を使用する場合 |
3.雇用保険 | 1.31日以上引き続き雇用されることが見込まれる 2.1週間の所定労働時間が20h以上 いずれにも当てはまる労働者が1人以上いる場合、加入義務が生じます |
土木工事業許可を取得するメリットは?
下記に一般的なメリットを紹介します。
1.大規模工事を請け負えるようになる 2.公共工事に入札できるようになう 3.信頼性向上につながる |
具体的に請け負えるようになる工事は?
土木工事業の許可を取得すると、土木一式工事を請け負えるようになります。
土木一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事のことをいいます。
土木工事業許可の申請先は?
都道府県の県庁内に担当窓口が設置されているため、そちらへ申請します。
神奈川県の場合、県土整備局 事業管理部建設業界となります。
公式ページはこちらから。
※営業所が2つの都道府県にまたがって存在する場合、国(大臣)許可が必要となります。
土木工事許可申請にかかる費用は?
下記のように、各区分、申請先により手数料は異なりますので、事前に確認しましょう。
土木工事業の申請手数料 | ||
申請区分 | 知事許可 | 大臣許可 |
新規 | 9万円 | 15万円 |
許可換え新規 | 9万円 | 15万円 |
般・特新規 | 9万円 | 15万円 |
業種追加 | 5万円 | 5万円 |
更新 | 5万円 | 5万円 |
まとめ
本記事では、建設業「土木工事業」許可について解説しました。
建設業許可の取得は、慣れない人には書類も多く、わかりづらい手続だと思います。
許可を検討され、お困りのときは、当事務所までご相談ください。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。