
本記事では、建設業許可のうち「建設工事業」許可について解説します。
建設キャリアアップシステムについては下記の記事をご覧ください。
Contents
建設工事業とは?
建設工事業は、建築物や土木構造物の建設、改修、修繕、解体などの業務を指します。
建築業許可の申請区分のうち、「建築一式工事」に該当し、元請業者が対象の許可となります。
該当工事は?
建築一式工事を請け負えるようになります。
建築一式工事は、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建築する工事のことをいいます。
「一式」という言葉から、当該許可のみで全ての業務を請け負えるのでは?と想像される人も多いのですが、元請が下請けを指導・管理しながら、大規模または複雑な業務をとりまとめて行う工事が該当します。
建設工事業許可を取得するメリットは?
下記に一般的なメリットをご紹介します。
1.大規模な工事を請け負えるようになる 2.公共工事に入札できるようになる 3.信頼性向上につながる |
建設工事業許可取得の要件は?
建設工事業の許可を取得するのに求められる要件は、大きく「人」と「資金」に分けられます。
人
✓ 建設業での役員経験 または 個人事業主の経験が5年以上ある ✓ 建築工事業に関する資格 または 建築工事の実務経験が10年以上ある ✓ 誠実性がある ✓ 欠格要件に該当しない ✓ 社会保険に加入している(※法人と一部個人事業のみ) |
役員や個人事業主の経験が5年以上
法人で申請する場合は役員のうち1人、個人の場合は個人事業主に5年以上の経験が求められます。
建設工事業に関する資格または建設工事の実務経験10年以上
次のいずれかの資格があれば、こちらの要件はクリアです。
・1級建築施工管理技士 ・2級建築施工管理技士(種別は「建築」) ・1級建築士 ・2級建築士 |
資格がない場合、建築工事の実務経験が10年以上の人がいればクリアです。
例外的に、下記の学科を卒業している人は実務要件が緩和されます。
建築学又は都市工学に関する学科 |
この学科が大学なら卒業後3年以上、高校なら5年以上の実務経験となります。
欠陥要件に該当しない
下記の事由に1つでも該当すれば、許可は受けられません。
事項 | |
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1 | 成年被後見人もしくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者 |
2 | 不正の手段で許可を受けた、又は営業停止処分に違反したことで許可を取り消され、取消しになった日から5年を経過しない者 |
3 | ②の取消し処分にかかる通知があった日から当該処分があった日までの間に廃業の届出をした者で当該届出の日から5年を経過しない者 |
4 | ②の取消し処分にかかる通知があった日以前60日以内に、③の廃業の届出をした法人の役員等若しくは令3条使用人(営業所長等)、又は届出をした個人の令3条使用人で、当該届出の日から5年を経過しない者 |
5 | 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者 |
6 | 営業の禁止を命ぜられ、その禁止の期間が経過しない者 |
7 | 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
8 | 一定の法律に違反したことで罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者 |
9 | 暴力団員、又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 |
10 | 申請者が未成年者で、その法定代理人が上記に該当する者 |
11 | 法人でその役員等、又は令3条使用人が上記に該当する者 |
12 | 個人でその支配人又は令3条使用人が上記に該当する者 |
13 | 暴力団員等にその事業活動を支配されている者 |
社会保険に加入している
保険 | 概要 |
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1.健康保険 | 法人:強制適用 個人:5人以上の従業員を使用する場合 ✓協会けんぽ ✓健康保険組合 ✓適用除外承認を受けた国民健康保険組合(建設国保等) いずれかの加入が必要 |
2.厚生年金保険 | 法人:強制適用 個人:5人以上の従業員を使用する場合 |
3.雇用保険 | 1.31日以上引き続き雇用され |
資金
下記の要件は、調達方法や継続期間などが問われません。
✓ 500万円以上の資金力がある |
まとめ
本記事では、建築業許可のうち「建築工事業」の対象工事と要件を解説しました。
申請手続については、下記の記事にて詳しく解説しています。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。