
本記事では、他人の著作物を適法に利用する方法について解説します。
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著作物を利用したいと思ったら
まず、下記を検討します。
1.日本で保護されている著作物か 2.保護期間内にあるか 3.許諾なく使用できるか 4.著作者を特定できるか |
国内で保護されているか
下記のいずれかに該当するものは、国内で保護されます。
- 日本国民の著作物
- 日本国内で最初に発行された著作物
- 条約により、日本が保護義務を負う著作物
いずれにも当たらない場合は、著作権者の許諾なく使用できる可能性があります。
※著作権以外の知的財産権にて保護されている場合もありますので、事前確認は怠らないようにしましょう。
保護期間内か
著作物は原則、著作者の死後70年間は保護されます。
一部例外はありますが、この期間を徒過すると「パブリックドメイン」となり、許諾は不要です。
許諾が必要か
著作権者がフェアユース(公正利用)を認めている場合、一定条件下において許諾なく利用する事ができます。
著作者を特定できるか
一定の努力をしても著作権者が特定できず、許諾を得ることが不可能な場合には、文化庁長官の裁定制度の活用を検討します。
具体的な利用方法は?
保護状態にある著作物の利用には、下記を検討します。
1.著作者から許諾を得る 2.出版権の設定を受ける 3.著作権を譲り受ける 4.裁定制度を利用する |
利用の許諾を得る
著作者が特定できる場合、著作者本人から利用しても良いと「許諾」をもらう方法です。
許諾は口頭でも構いませんが、後々のもめごと回避のために次のことを文書にて定めます。
- 利用の方法
- 許諾された範囲
- 使用料の金額と支払方法
- 支払期限 等
出版権の設定を受ける
著作物の出版をするとき、他の出版社から出版されたくないような場合には、著作権者から独占的な許諾を得ることが必要です。
ここで与えられる独占的な許諾をより確実にする方法が「出版権の設定」制度です。
出版権を設定すると、著作権者が二重に許諾することを防止でき、安定した立場で出版することができます。
ただし、文化庁に出版権の設定登録が必要ですので、忘れないよう手続をしましょう。
著作権の譲渡を受ける
著作権は許諾のほか、期間や地域、一部の権利のみ譲渡する方法も考えられます。
許諾は単なる利用の許可に過ぎませんが、譲渡ならば譲受人自らが著作権者となりますので、より広範囲での著作物の利用が可能となります。
裁定制度を活用する
相当な努力を払っても著作権者が特定できない場合や、著作権者はわかるものの、その居所や連絡先が不明で交渉ができない場合、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託することで著作物を利用することができます。
下記の記事に裁定制度につき詳しく解説していますので、あわせてご覧下さい。
まとめ
本記事では、他人の著作物を適法に利用する方法を解説しました。
文化や経済の発展には、健やかな創作環境と活動が不可欠です。
当事務所では、著作権登録・裁定の手続についてお手伝いできますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人は
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。