
本記事では、自動販売機設置に必要な要件、手続き、メリット・デメリットを解説します。
Contents
自動販売機設置の要件は
自動販売機を設置できる要件は、次の通りです。
- 場所
- 許可
場所
自動販売機を設置できるのは、次の3つを満たした場所です。
- 人通りがある(売上の見込みがある)
- 筐体(自販機本体のこと)が公道にはみ出さないスペースが確保できる
- 耐震環境にある
詳細は「自動販売機ー据付基準|日本工業規格JIS」に定められていますので、気になる人はご覧ください。
許可
一般的な自動販売機を設置する際は、敷地所有者の承諾で足ります。
しかし、紙コップ式や菓子を取り扱う自販機の場合には「飲食店営業」と同様に扱われ、保健所への許可申請が必要になります。
自動販売機設置のメリット
次の通りです。
- 利益収入
- コスト削減
- 福利厚生
- 災害対策
利益収入
人通りが多い場所に設置することで、販売収益が期待できます。
コスト削減
店舗型販売と異なり、自動販売機は24時間稼働してくれるうえ、自動で対応してくれる点で人件費の大幅カットに繋がります。
また、1度設置すれば補充・メンテナンス以外に大きな出費を伴うこともありません。
福利厚生
社内への設置、または、近所への設置は「いつでも手軽に入手できる」というメリットがあります。
急な来客、短い休憩時間でも従業員が手軽に購入できるため、従業員に無駄な手間や時間を強いることなく、快適な就業環境を整えることに繋がります。
災害対策
機種によっては、Wi-Fi接続可能なものもあります。
この場合、災害時の通信設備としての活用が考えられるだけでなく、電光掲示板が装備されているものならば、こちらにて情報を得る事もできます。
自動販売機設置のデメリット
次の通りです。
- 設置場所の提供
- 補充・メンテナンスに手間がかかる
- 利益が不確実
設置場所の提供
自社・自己所有の敷地内に設置する場合、少なからず設置場所を提供しなければなりません。他の設備や備品、導線との兼ね合いが厳しい場合には設置そのものをあきらめなくてはならない場合もあるでしょう。
補充・メンテナンスの手間
いくら自動で販売してくれるとはいえ、売り物がなくては話になりません。
定期的な補充やメンテナンスは必須ですが、予期せぬ不具合、補充量の過不足により購買者に多少の不便を強いることもあります。
このほか、自動販売機脇にゴミ箱を設置すると、飲み終わった容器が散乱したり、家庭ごみを持ち込まれるなどのリスクも考えられます。
利益が不確実
販売利益を期待して設置する場合、場所や季節ごとに需要が変動するため、思うような収益を得られない可能性もあります。
自動販売機設置の流れ
自動販売機設置までの流れは、次の通りです。
- 自動販売機運営会社の選定
- 契約オペレーターの決定
- 契約締結から設置までの確認
- 設置立ち会い
- 販売開始
自動販売機運営会社の選定
設置目的、場所に目星をつけたら、自販機オペレーターを選定します。
オペレーターには大きく「フルオペレーション」「セミオペレーション」、「自社ブランド専売型」「総合販売型」とに大別できます。
フルとセミ
フルオペレーション:販売手数料が支払われる
セミオペレーション:筐体の購入費またはリース料と電気代を差し引いた金額が支払われる
簡単に言えば、フルは委託型、セミは個人事業型と認識してもらえれば間違いないでしょう。
利益率はセミの方が大きくなりますが、その反面、労力・リスク管理ともに自分が負わなければなりません。
自社と総合
自社ブランド専売型として代表的なのが次の企業です。
- コカ・コーラ
- キリンビバレッジ
- ダイドードリンコ
- サントリー
- アサヒ飲料
- 伊藤園
- ポッカサッポロ
いっぽう、総合販売型ではオペレーターの数が多いのも特徴です。
選定に先立ち、サービス内容の確認や合い見積もりをとるなど、慎重に選びましょう。
契約オペレーターの決定
問い合わせの結果から、選考対象は絞れるでしょう。
各オペレーターより企画書を提示されますので、次の点に気を付けるといいでしょう。
- 支払い条件、スケジュール
- 契約期間
- 納品・メンテナンス・容器回収のスケジュール
- 筐体のスペック(サイズ・購買時の支払方法など)
- 商品ラインナップ
契約締結から設置までの確認
オペレーターを決定し、契約を締結します。
この際、設置スケジュールの調整も行いますが、2階以上に設置する場合はエレベーターの有無などの注意事項は伝えておきましょう。
設置立ち会い
設置時、営業担当者、ルート担当者立ち会いの下、作業が行われます。
所要時間は最大1時間ほどで、終了時に使い方、注意点などを説明されます。
販売開始
設置から一定時間を置き、適温となれば販売開始です。
設置費用は?
設置そのものにかかる費用は、原則ありません。
※契約前に必ず確認しましょう。
自販機収入の目安は
販売方法により異なります。次の通りです。
フルオペレーションの場合
販売手数料の相場は、売上の2~3割といわれています。
そのため、下記のような計算を用いるのが一般的です。
自販機収入=売上×販売手数料(20~30%)ー電気代
このことから、電気代が損益を分けるポイントとなります。
セミオペレーションの場合
筐体の設置において購入・リースを選んだ場合、下記のようになります。
自販機収入=売上ー(リースまたは購入代金+電気代)
フルと違い、損益分岐点を左右する要因が電気代のみではないので、総合的な視点が求められます。
収益最大化のコツ
せっかく設置するのなら、利益は最大化したいとお考えになるでしょう。
下記に最大化のコツをご紹介します。
- ユーザーに合う商品選定
- 設置エリア内での差別化
- 定期的なメンテナンス
商品選定
当然のことながら、買うのはユーザーです。
購入者が魅力の感じない商品をいくら並べたところで、売れる事はありません。
設置場所が公園・スポーツ施設の近くならスポーツドリンク、オフィス街ならコーヒーやお茶など、見込み客を分析することが成功のカギです。
差別化
設置場所の近辺に、どの程度、どこの自販機が設置されているかを知りましょう。
重複するオペレーターを選んでしまうと、購入するユーザーの数は変わらないので両社で売上を分割するだけ…という結果になります。
特定の商品があるから、常に新しい商品が揃っているからなど、ユーザー心理をうまく読み取り、他と差別化を図りましょう。
メンテナンス
どんなにユーザーがいても、売る商品がなかったり、筐体そのものが不調で稼働しない場合には、売りたくても売ることができません。
また、マナーの悪い客ばかりが利用し、容器が散乱していたり、一部ボタンの不具合などが発生してしまうと、まともなユーザーは離れてしまいます。
常に清潔かつ適正な状態に保つ努力をしましょう。
まとめ
本記事では、自動販売機の設置について解説しました。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。