
本記事では、相続放棄後の財産管理について解説します。
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相続放棄とは
相続放棄とは、法定相続人が家庭裁判所に「相続財産はいりません」と申立てる手続きをいいます。
相続財産管理人が選任されるまでの責任は
相続放棄をすると、故人の負債などを相続することはないため、返済義務から完全に解放されます。
しかし、これは法律上・権利上の話です。
現実には、故人の現金や不動産は存在し続けているため、放棄後も担当者が選任されるまで管理し続ける必要があります。
ここで発生するのが「管理義務」です。
管理義務を負うのは誰?
法律では、次の人が管理義務を負うとされています。
- 相続財産を現に占有している財産放棄者
「現に占有している」なんて聞き慣れない言い回しをしているところが何とも法律らしいですが、1つ具体例を挙げてみます。
現に占有している人は誰?
死亡人Aさんの相続人は、子Bと子Cの2人でした。
Aさんの土地をBさんが使用・管理していましたが、「相続はしない」と相続放棄をしました。
これを受け、遠方に住むCさんも「帰る予定はないし、相続はしない」と相続放棄の手続きをしました。
この場合、現に占有している相続放棄者はBさんになります。
放棄したのはBさんが先ですが、管理義務において、手続きの先後は問題とならないからです。
相続放棄した人の責任はどこまで?
では、管理義務を負うとされた相続放棄者は、どこまで責任を負うのでしょうか。
一般的には、次のような内容を求められているとの解釈が示されています。
- 財産を壊さず、現状維持すること
- 壊さないように気を付けること
この責任って誰に対して負うものなの?
責任者は誰に対して責任を負っているのでしょうか。
その答えは、他の相続人です。
そのため、全く関係のない第三者に対してまで責任を負うことはありません。
責任を負うのはいつまで?
管理義務者がその責任を負うのは、相続人または相続財産清算人に財産を引き渡すまでの間です。
引渡しが完了した時点で、それ以後は相続人または相続財産清算人が保存義務を負うことになり、管理義務者の仕事は終了となります。
全員が相続放棄をしたら
もし、相続人全員が相続放棄をした場合、どうなるのでしょうか。
国庫に納める
全員が放棄したことで、誰にも引き継がれなかった財産は、最終的に国庫に納められます。
財産の中にマイナスのもの(債務)があれば、まずはこれを清算したうえで、残りを国に納めることになります。
では、マイナスが圧倒的に多い場合はどうなるのでしょうか。
管理が不安なら○○○○○○○を選任
相続人全員が放棄し、相続財産を管理する人がいない場合。
債権者や利害関係者からの申し立てにより、家庭裁判所は「相続財産清算人」を選任します。
利害関係者とは、亡くなった方の債権者(お金を貸していた人など)、特定遺贈を受けた人、特別縁故者をいいますが、地方公共団体からの通知を受けた検察官が申立てる場合もあります。
相続財産管理人には、弁護士や司法書士など、専門知識をもった人が選ばれます。
まとめ
本記事では、相続放棄をした場合の財産の行方について解説しました。
財産は最終的に国に納められますが、相続財産清算人が選任されるまでは放棄者に管理義務があるため、相続放棄をしただけですべての関係がすぐに断たれるわけではないことに注意が必要です。
相続放棄や土地に関するお悩みは、司法書士・弁護士などの専門家までご相談ください。
この記事を書いた人は
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。