弁護士、税理士、司法書士など、法律に関わる○○士と呼ばれる資格には「独占業務」があります。
独占業務は、法律で定められる「その資格者しかできない業務」のことをいいます。
万が一、独占業務と定められる業務を無資格者が行った場合、行った人には罰則規定が用意されていることもあります。
今回は、社労士の独占業務と、無資格者がすれば違法になるケースを解説します。
社労士の独占業務とは
社労士の業務は、大きく3つに分類されます。
結論から言うと、次のうち1号・2号業務が独占業務に該当します。
1号業務
✓ 申請書等に関する手続き代行
✓ 藤堂および社会保険委関する申請、届出、報告、震災請求等の代理など
1号業務は、法律で定められている「労働」「社会保険」関連の申請書の作成、手続きの代行です。
例えば、健康保険・厚生年金保険の算定基礎届や、労働保険の年度更新手続き、労働者派遣事業等の許可申請手続きの代行などが挙げられます。
会社の人事担当者が定期的または必要に応じて行うべき手続きを代わりにやってくれるんですね☺️
2号業務
✓ 就業規則の作成
法律で定められている帳簿は、俗にいう「法定三帳簿」を指します。
法定三帳簿には、
(1)労働者名簿
(2)賃金台帳
(3)出勤簿
が含まれます。
常時10人以上の従業員を使用する場合は、就業規則の作成が義務付けられていて、これを作成するのも社労士の独占業務です。
3号業務
✓その他相談対応
コンサル業務というと、かなり抽象的でつかみづらい印象をお持ちかもしれませんが、ここでは「会社が人事労務に関わる問題をどのように解決するか」の相談対応を指します。
社労士は、人事労務の専門家なので、採用時から退職後に至るまでの「人事」に係る手続きやトラブル対応のプロフェッショナルでもあります。
これって違法?
独占業務は、「有償独占」と「無償独占」に区別することができます。
社労士の場合は「有償独占」なので、無資格者が社労士の独占業務をお金をもらって行った場合に違法となります。
逆に言えば、報酬をもらわずに行った場合には合法です。
ちなみに、行政書士の独占業務も有償独占にあたります。
他士業ができる業務
社労士以外の士業のうち、弁護士は1号・2号業務を行うことができます。
社労士と近い業務を行う税理士の場合、どちらも給与計算を行うことができますが、税理士は人事労務・社会保険関連の手続きを行うことはできません。
反対に、社労士が給与計算を行う労働者の年末調整手続きを行うことは、税理士側の独占業務規定に違反することになります。
税理士の業務は「無償独占」なので、有償無償に関わらず、手を出すことができない領域です。
無資格者が独占業務を行った場合の罰則
万が一、社労士以外の人が違法に独占業務を行った場合には、1年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に処される可能性があります。
まとめ
今回は、社労士の独占業務と違反した場合の罰則規定を解説しました。
従業員を雇用している事業所にとって、社労士は心強い味方です。
目先の報酬をケチって、違法に業務を行う人には決して依頼しないようにしてくださいね。
この記事を書いた人は
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。