
年金を受給していたご家族が亡くなった場合、相続手続きとは別に、年金に関する手続きをしなくてはなりません。
人が1人いなくなることがどれほど大事なのかを思い知るほど、相続開始後は事務手続きの連続なんですよね。
今回は、年金の受給者が亡くなった場合に必要な手続きを、ヲタク行政書士®が解説します。
死後に必要な手続きは3つ
年金を受給していたご家族が亡くなった場合、次の手続きが必要です。
(2)未支給年金があれば請求する
(3)遺族給付の請求
日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、死亡届の提出は不要です。
この場合でも(2)(3)の手続きは省略できませんので、注意してください。
(1)受給者の死亡を知らせる
年金をもらっていた方が亡くなった場合、年金事務所 または 街角の年金相談センターに「受給権者死亡届(報告書)」を提出します。
「受給権者死亡届(報告書)」と、市区町村役所に提出する「死亡届」は違う書類です💦
「受給権者死亡届(報告書)」は、年金事務所または街角の年金センターでもらう方法と、年金ダイヤル(0570-05-1165)に連絡して郵送してもらう、または、HPよりデータをダウンロードしてプリントする方法が考えられます。
「受給権者死亡届(報告書)」には、下記の書類を添付します。
✓死亡を確認できる書類(死亡診断書の写し、住民票の除票、戸籍抄本等)
提出期限は、厚生年金・共済年金は10日以内、国民年金は14日以内です。
(2)未支給年金はある?
年金は、支給月の前月分までを支給する「後払い」を採用していて、ほとんどの場合、未支給額が発生します。
例えば、令和5年2月に死亡した年金受給者の場合。
受給できるのは「令和5年2月分」までですが、支給されるのは4月とタイムラグが発生します。
ここで発生するまだ受け取っていない年金を「未支給年金」と呼び、請求するわけです。
未支給年金は、死亡人が亡くなった当時、生計を共にしていた3親等内親族のうち、死亡人に近い親族が請求することができます。
「受給権者死亡届(報告書)」を提出する際、併せて未支給年金の請求手続きを行いましょう。
未支給年金は相続財産には含まれません。
ということは、遺産分割の対象にならず、相続税もかかりません🌸
ただ、受取人の(一時)所得として取り扱われますので、申告漏れがないように気を付けてくださいね。
(3)遺族給付の請求
すべての遺族が対象になるわけではありませんが、遺族基礎・遺族厚生年金を受け取ることができる場合があります。
遺族年金の申請先は、年金事務所で「年金請求書」を提出して行います。
未支給年金と同様、遺族年金も相続財産には含まれないので、遺産分割協議の対象になりませんし、相続税・所得税の課税対象から外されています。
企業年金・個人年金がある場合
死亡人の勤務先により、企業年金に加入していることもあります。
この場合、何らかの通知が届くのが一般的ですから、記載内容に従うか、管理機関に連絡をとって処理していきましょう。
企業・個人年金からの給付は、相続財産に含まれるため、相続税の課税対象となります。
まとめ
今回は、年金を受給していた方が亡くなった場合に必要な手続きを解説しました。
市区町村役所・金融機関等での手続きに加え、年金手続きも…となると、息つく暇もありませんよね。
猫の手も借りたい!という時には行政書士、税に関する悩みは税理士、年金のプロフェッショナルは社会保険労務士です。
うまく力を借りながら、手続きを進めていきましょう。
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。