
先日、産廃業許可についてざくっと解説しました。
今回はその中から「欠格要件」について、1歩踏み込んで解説します。
Contents
欠格要件とは
欠格要件は、何かを達成するために必要な条件・要件の一部が欠けていることをいいます。
対象者は誰?
欠格要件の対象となるのは、次の人です。
✓役員等※
✓5%以上の株主※
✓政令使用人
※役員等と5%以上の株主は法人の場合のみ対象となります。
個人の場合、本人と支店長・営業所長等の使用人が対象です。
産廃業許可の欠格要件は?
欠格要件は、廃棄物処理法という法律に定められていますが、条文をそのまま掲載してもわかりづらいかと思います。
法律って何だかゴツゴツした言い回しが多いんですよねぇ😅
まずはざく切りの要件からご覧いただき、その後に1つずつ噛み砕いていきます。
2.破産手続の開始決定を受け、復権を得ない人
3.禁錮以上の刑に処され、その執行を終わり、または、執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない人
4.特定の法律※に違反し、罰金刑以上の処罰を受け、その執行を終わり、または執行を受けなくなった日から5年を経過しない人
5.廃棄物関連の許可取消、浄化槽法の許可取消しの日から5年を経過しない人
6.許可の取消処分に係る通知があった日から処分の日、または、処分をしないことを決定する日までの間に、事業の廃業等届出をした人で5年を経過しない人
7.6の取消しに係る聴聞通知日60日前以内に事業を廃止した人で、その届出日から5年を経過しない人業務に関し、不正または不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある人
8.不正、不誠実な行為のおそれがある人
※原文をそのままご覧になりたい方は、廃棄物処理法第7条第5項第4号をご参照ください。
1~8のうち、どれか1つでも当てはまると産廃業許可の申請自体ができません。
そのため、申請前には自社の役員等も含め、欠格要件に該当することがないよう確認しましょう。
廃棄物処理法は令和元年12月に改正されています。
改正前は1が「成年被後見人」「被保佐人」だったため、登記されていないことの証明書を提出していましたが、現在は登記事項証明書+業務を適切に行うことが可能であることを証明する書類を求められる場合があります。
2.破産者で復権を得ない人(者)
勘違いされる方も多いのですが、破産者で復権を得ない人とは「自己破産をした経験がある人」を指すものではありません。
復権は、多くの場合は破産手続と同時に手続がとられ、破産と同時にゲットしている方がほとんどです。
破産をすると色んな制約に縛られますが、復権を得ることでこれらの制限が取り払われます✨
具体的には、破産手続から3-6か月程度で、裁判所から出される「免責許可」によって復権を得る事となります。
3.禁錮以上の刑で5年を経過しない人
禁錮以上とは、次のものをいいます。
✓刑事施設に拘留されるうえに、労役が課せられる「懲役」
いずれも刑務所にて服役するものですが、労働の義務があるかないかで異なります。
4.特定の法令違反で罰金刑以上の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから5年を経過しない人
対象となる法令は次のものです。
✓暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
✓刑法のうち、傷害、現場助勢・暴行・凶器準備集合・脅迫・背任等
✓暴力行為等処罰に関する法律
上記の法令違反に関し、「1万円以上の罰金」以上の刑を受けた場合は欠格要件に該当することになります。
禁錮・懲役刑を受けていても、5年を経過していれば欠格要件には該当しません💡
ただ、5年という期間のスタートは「受刑を終えてから」なので、平たくいうと「釈放されてから5年」となります。
暴力団関係者とは?
暴力団関係者には次の人が該当します。
✓暴力団員を辞め、5年を経過しない人
✓暴力団員がその事業に影響力を持つ法人
5.廃棄物処理法の重大な違反等により許可取消し、浄化槽法の許可取消しから5年を経過しない人
前に廃棄物関連の許可を取得していたものの、何らかの違反等に該当したために許可を取消され、再度の取得を試みる場合に確認すべき要件です。
廃棄物関連の許可とは、次のものをいいます。
✓産業廃棄物収集運搬・処分業許可
✓特別管理産業廃棄物収集運搬・処分業許可
✓浄化槽法の許可
これらの許可を取消された個人・法人が欠格となるのは勿論ですが、許可を取消された法人で役員を務めていた方もアウトです。
厳しい言い方になりますが、採用時に経歴をしっかりと確認し、問題のある人は役員に選任しないのが正解です。
6+7.一般処理業、産廃処理業および浄化槽法清掃業の許可取消しに係る聴聞通知後、処分決定までに廃止した人でその届出日から5年を経過しない人
5と大筋は同じことです。
一定の許可を取得したものの、取消しに係る「聴聞通知」があった後、処分前に廃業をした人が、再取得を試みる場合が当てはまります。
聴聞は、重い処分を行う前に”申し開き”をさせる目的で設けられている制度です。
言い方は悪いですが、違反に関する「言い訳」をする場でもあります。
聴聞の実施後、実際に取消処分が行われるまでには、それなりの時間を要します。
この期間中に自ら許可証を返納し、取消処分が下される前に自爆する人がいらっしゃいます。
どうしてこのようなことをするのかといえば、許可の「自主返納」は5年という待機期間を経ず、最新性をさせてもらえるからです。
自主退職と解雇とで取扱いが異なるイメージです📝
しかし、聴聞が行われるのは「処分が前提」の場面。
そのため、聴聞の通知後に自主返納をしても逃げられない仕様となっています。
欠格要件に該当したら…
欠格要件に該当した場合、その日から2週間以内に「欠格要件該当届出書」を提出しなくてはなりません。
許可を取得できれば、何だってOK☆とはいきません。
許可取得後も欠格要件に該当しないよう、代表だけでなく役員、使用人等への教育や情報共有は怠らないことが重要となります。
まとめ
今回は、産廃業許可申請のうち「欠格要件」を解説しました。
猫の手も借りたいほど忙しい事業所において、1人1人の経歴を調査するのは手間かもしれませんが、事業を行ううえで許可の取得を検討するなら、必ず確認しましょう。
注意一瞬、ケガ一生です⚠
この記事を書いたのは
ヲタク行政書士®榊原沙奈です。