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法人はすべて、会計期間の末にその1年間の営業活動の成果、会社の財政状態を書類にまとめます。このて手続を「決算」といいます。
個人事業主から法人成りした場合、確定申告時の違いに戸惑うこともあるでしょう。
当ページでは、自分で法人決算を行う人向けに、法人決算の流れ、必要な書類、ポイントを解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
やぎ座のO型。
榊原行政書士事務所 代表を務めるかたわら、日常の疑問・不安に効く情報を発信しています。趣味は、写真を撮ること、神社をめぐること。
法人決算とは?
法人決算の前に、「法人」についておさらいしておきます。
法人は、社会的な活動を行う主体として、法律によって「人」と同じ扱いが認められている存在です。株式会社、合同会社、一般財団法人、一般社団法人、NPO法人など、色々な種類があります。
法人決算とは、法人として、その年度末時点での財政状態・経営成績を算出して、決められた書類にまとめる手続です。
要は、法人の人間ドック(対象はお金)のようなもので、結果により、納めるべき税額を決めるイベントです。
法人決算の目的
法人決算の目的は、次の通りです。
- 納税額を算定し、納税する
- 株主に対し、成績を報告する
- 経営成績をもとに、次年度以降の事業計画を策定
納税額を算定し、納税
日本では、申告納税制度を採用しており、法人・個人に関係なく、自分たちで税金を計算して「申告」と「納税」を行います。
申告された内容は国が確認し、誤りがあれば、後から修正を求められたり、重いペナルティを科されることもあり得ます。
株主に対し、成績を報告
株式会社では、株主からの出資金をもとに、事業を運用しています。
出資する目的はそれぞれ違うでしょうが、お金を出してもらったからには、どのようなことに資金を割き、営業成績はプラスなのか、マイナスなのかを報告する義務があります。
経営成績をもとに、次年度以降の事業計画を策定
会社として運用するからには、「志」があるはずです。
決算年度の成績から、当初の目的・計画から遠のいていないかを確認し、今後の方針を決定します。
法人決算の流れ
法人決算の流れは、次の通りです。
2.帳簿整理
3.試算表 作成
4.決算整理仕訳
5.決算書類 作成
6.株主総会・取締役会での承認
7.法人税申告書 作成
8.確定申告
9.納税
1.取引の都度、記帳
法人決算は、日々の取引のまとめです。
365日分を1度にやろうとすれば、その作業量は計り知れず、古い取引は記憶が曖昧になることもあります。取引はこまめに記帳しておきましょう。
会計ソフトを使用すれば、自分ひとりでの会計処理も、ぐっと楽になりますよ。
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2.帳簿整理
決算にあたり、1年分の記帳記録、請求書・領収書等の書類を参照し、間違いがないかを確認します。
たとえ1件でも、漏れ・重複したデータがあると、最終的な数字が合わず、迷宮入りすることも。
記帳と同時に、書類の保管方法も「確認しやすい」を前提に整理しておきましょう。
3.試算表 作成
試算表は、会計処理にミスがないかを確認する作業です。
「合計」「残高」「合計残高」と、3種類の試算表を作成します。
(1)合計試算表 | 年間を通した取引額の合計を把握するため、「現金」「売掛金」など勘定科目ごとに仕分けしたものを、1つにまとめたものです。 貸方、借方の合計は必ず一致しますが、1件でもミスがあれば、箇所を特定し、修正する必要があります。 |
(2)残高試算表 | 年度末時点における勘定科目ごとの残高を、1つにまとめたものが残高試算表です。 |
(3)合計残高試算表 | 合計試算表・残高試算表を1つにしたものが、合計残高試算表です。 1年間の取引合計だけでなく、損益状態も把握できます。 |
4.決算整理仕訳
決算整理仕訳は、会計期間中に発生した取引の修正を目的に行います。
固定資産の減価償却、棚卸資産の評価、貸倒引当金の計上、会社が保有する有価証券の評価替え等など、決算年度内に存在しているものの、本年度には含めなくていいもの、含めなければならないけど、修正が必要なものを直す作業です。
5.決算書類 作成
決算書類は決算報告書とも呼ばれ、下記の書類のことをいいます。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
- 計算書類に関する附属明細書
- 事業報告書
- 事業報告に関する附属明細書
6.株主総会・取締役会での承認
株式会社では、仕上がった決算書類につき、株主総会・取締役会で承認を受ける必要があります。
具体的には、取締役会▶株主総会の順に承認をもらいます。
招集手続に手間・時間がかかるため、これから会社を設立しようと考えている人は、招集方法もしっかり決めておきましょう。
7.確定申告書 作成
承認された決算書類と別に、申告書を作成します。
会計には「会計法」、法人税など税関連には「税法」が適用されるため、決算書類作成時とは一部ルールが異なることに注意しましょう。
8.確定申告
申告書・決算書類を提出します。
提出方法は、窓口、郵送、e-Taxによる電子申請の3つから選べますが、はじめての申告で不安がある場合は、事前に予約をとり、税務署に相談しましょう。
9.納税
確定申告が終わったら、いよいよ納税です。
税金の種類により、期限・納税先が異なりますので、注意してください。
法人決算に必要な書類
- 総勘定元帳
- 領収書 等
- 決算報告書
- 勘定科目内訳明細書
- 法人税・消費禅申告書
- 地方税申告書
- 法人事業概況説明書
法人決算 期限
1.申告・納付期限
法人決算の期限は、事業年度終了日の翌日から2か月以内です。
3月決算の会社なら、4月1日を起算日とし、5月31日までに、申告と納税を行わなければなりません。
2か月という短期間に、これら全ての手続を行うのは厳しいかも知れませんが、災害などによる場合のほかは待ってくれません。
人を雇う、または、税理士等に任せられるといいのですが、そこまで資金に余裕がない場合、会計ソフトをうまく活用しましょう。
法人決算のポイント
法人決算のポイントは、こまめな記帳と会計ソフトの上手な活用です。
決算自体の手続はもちろんですが、ここに「仕訳」という基本の労力を重ねてしまえば、シンプルに大変です。ミスを誘発しますし、決算手続以外の業務がまわらなくなる可能性も。
できれば毎日、毎日が難しいなら、曜日や日にちを決めて記帳を行うクセをつけておきましょう。
この際、会計ソフトをうまく活用すれば、取引の入力だけで決算に必要な書類は全て作成してくれます。
最低限の知識は必要ですが、ソフトが自動で仕訳・書類の作成を行ってくれるだけでなく、書類の保管も同時にできて安心。当事務所でも、本当にお世話になっています…。
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法人決算の流れ、必要書類 まとめ
当ページでは、法人決算の流れ、必要書類とポイントをご紹介しました。
税に関わる法律は、頻繁に改正が行われています。
また、一般の人にはわかりづらい控除枠等もあり、後になって「うちも使えたのに…」と悔しい思いをすることも。
こうした知識を持っているのが税理士で、日常の仕訳から決算までを一貫して任せる事もできます。
困った時には、税務署、税理士、会計ソフト等を上手く使っていきましょう。