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養子縁組の解消「離縁」
養子縁組を解消することを「離縁」といいます。
離縁の手続自体は難しくありませんが(市区町村役所に「養子離縁届」を提出)、離縁によりさまざまな物事に変化が起きるので、慎重に検討することをオススメします。
養子縁組を解消すると起きること
養子縁組を解消すると、何が、どう変化するのでしょうか。
1.養子の名字が変わる
養子縁組を解消すると、養子の名字は原則、養子縁組前のものに戻ります。
ただし、養子縁組から7年間を経過している場合、離縁から3ヶ月以内に続用届を提出することで、引き続き離縁前の姓を名乗ることができます。
2.養子の戸籍が変わる
養子縁組が成立すると、養子は養親の戸籍に入ることになります。
反対に、養子縁組を解消すれば、養親の戸籍から養子が出て行くことになります。
このとき、養子は養子縁組前の戸籍に戻るか、新たな戸籍を編成するかを選択します。
3.養親の戸籍は?
養親側の戸籍に大きな変化はありませんが、養子が出て行った事が記録されます。
養子縁組解消の手続と流れ
養子縁組を解消するには、次の方法が考えられます。
- 協議離縁
- 調停離縁
- 審判離縁
- 裁判離縁
- 死後離縁
1.協議離縁
協議離縁では、養親と養子が話し合い、養子縁組解消を目指します。
互いに同意すれば、協議離縁届を作成。市区町村役所に提出して、手続は完了です。
2.調停離縁
調停離縁は、話し合いで養子縁組の解消に同意が得られなかった場合に行われる手続です。
家庭裁判所に離縁調停を申立て、調停委員を務める専門家が話し合いを仲介してくれます。
複数の調停を経て、お互いの同意が得られると調停調書が作成され、この謄本を市区町村役所に提出することで離縁が成立します。
調停成立の日から10日以内に離縁届を提出しなくてはならないので、忘れず、早めに行いましょう。
3.審判離縁
調停中、ほとんど合意で調っているのに、何らかの事情で調停が継続できない場合、裁判所の審判により離縁が認められることを審判離縁といいます。
審判が成立すると審判書が交付され、2週間以内に相手が異を唱えなければ審判確定。
家庭裁判所にて確定証明書を受け取り、これらの書類を市区町村役所に提出することで離縁成立となります。
4.裁判離縁
調停で決裂した場合、離縁裁判を起こすことになります。
この場合、法律で定められる離縁理由に該当していなければなりません。
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- その他、離縁を継続しがたい重大な事由
裁判所が離縁が妥当と判断すると、離縁を認める判決が下されます。
判決から2週間は控訴期間として、異論を唱えることができますが、期間内に何もなければ確定です。
裁判所にて確定証明書を受け取り、これらの書類を市区町村役所に提出して離縁成立です。
5.死後離縁
死後離縁は、養親または養子のどちらかが亡くなっている場合の離縁手続です。
死後離縁を行った場合、養親だけでなく、養親の親族との関係も終了するだけでなく、親族に対する扶養義務もなくなります。
ただし、手続先は市区町村役所ではなく、家庭裁判所から許可を受ける事になります。
特別養子縁組解消の流れ
特別養子縁組の場合には必ず、家庭裁判所で審判手続を経る必要があります。
養子縁組解消の注意点
養子縁組を解消する場合、必ず正規のルートで行いましょう。
相手の同意を得ていないのに、相手側の署名欄に署名・押印をすると文書偽造罪。この書類を提出すれば公正証書原本不実記載罪がそれぞれ成立するおそれがあります。
自分だけでなく、周囲の一生を左右する手続であることを十分理解し、慎重に進めてください。
養子縁組を解消した場合の相続
養子縁組を解消した場合、養親と養子間の親子関係は終了するため、どちらかが亡くなった場合の相続手続に、他方が関与することはありません。
養子縁組の解消 まとめ
当ページでは、養子縁組を解消する「離縁」手続について解説しました。