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相続開始後、被相続人(死亡人)の財産を調査しなければなりません。
当ページでは、財産調査の進め方、問い合わせ先、ポイントを解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
相続財産とは
一般的な相続財産は次の通りです。
- 現金、預貯金
- 貴金属
- 株式、国債など有価証券
- 仮想通貨
- 不動産
- 美術品
- 自動車
- 貸付金
- 家財道具など
- 住宅ローンなどの借入金
- 債務全般
- 連帯保証人など保証債務など
相続財産には、マイナスの財産まで含まれるため、漏れのないよう調査しましょう。
最近では、ネット銀行・証券口座を持っている人も増えていますので、預貯金通帳がある金融機関だけで満足するのは要注意です。
相続財産調査の目的
相続財産の調査には、次の目的があります。
- 相続放棄または限定承認の判断材料とするため
- 遺産分割協議に必要なため
- 相続税申告を正確に行うため
相続放棄または限定承認の判断材料に
相続財産の全容が明らかでないと、放棄または限定承認に踏み切れないこともあります。
遺産分割協議書に必要
被相続人(死亡人)が遺言書を残していない、または、遺言書にない相続財産がある場合、相続人全員で分割割合を決めなければなりません。
このとき、どんな財産があるかわからなければ、話し合いは永遠に調いません。
相続税申告を正確に行う
相続税には基礎控除枠が設けられていますが、相続財産全体の金額がわからなければ、相続税の課税対象かどうかの確認も儘なりません。
相続財産の調査期限
相続財産調査には、調査期限が設けられています。
厳密には、相続放棄または限定承認の手続の期限で、相続開始を知ったときから3ヶ月以内に行います。
相続財産調査の流れ
相続財産調査は、次の流れで進めましょう。
- 相続財産の手がかりを探す
- 死亡時の財産額を確認
- 財産目録の作成
相続財産の手がかりを探す
相続財産のほとんどは、自宅にはありません。
そのため、どこにあるのか知る必要があります。
預貯金
預貯金を調べるには、預金通帳またはキャッシュカード、金融機関から送信される被相続人宛の郵便物などが考えられます。
ただし、通帳を発行していない場合や、通帳そのものを紛失している場合もあります。
取引がありそうな金融機関は全てチェックします。
デジタル遺品等
被相続人がパソコンまたはスマホを持っている場合、ネット銀行や証券口座、仮想通貨、その他、電子マネー取引情報が含まれていることがあります。
PINコードがわからない場合、無理に解除しようとして誤ったコードを入れ続けると、端末内のデータ全てが消えることもあります。
docomo、auなど店舗に持ち込んでも、PINコードは解除できない場合がほとんどなので、生前にデータ共有を行う必要があります。
株式等の有価証券
株式の場合、ほとんどの会社は株券を発行していないため、会社名がわかれば株主名簿を確認します。
まったくわからない場合、証券保管振替機構(ほふり)に開示請求を行うと、被相続人が預託していた証券会社を知る事ができます。
ゴルフの会員権や被相続人本人が受取りの保険金も相続財産に該当しますので、それらしい書類を見つけた場合は、発行元に問い合わせましょう。
不動産
被相続人が不動産を所有している場合、固定資産税の納付書が送られてきます。
しかし、納付すべき税額が発生しない場合には書類が届いていないこともあります。
共有状態の場合、代表者が一貫して納付を行うため届きません。
この場合、被相続人名義の固定資産税評価証明書を取得するか、固定資産課税台帳(名寄帳)を取得する方法があります。
ただし、名寄帳に記載されるのは請求先の役所が管轄する区域内の不動産のみです。
貴金属や自動車
貴金属は、現物として自宅内または生活導線内に保管されているほか、貸金庫等に入っていることもあります。
預貯金の調査にあわせ、貸金庫がある場合には、早めに内容を確認しましょう。
相続税申告において、貴金属は売買実例価額、精通者意見価格等で評価されます。
自動車や美術品等も含め、換価価値のありそうなものは全てリストアップしましょう。
負債
借金の有無を調べるには、次の機関に開示請求を行うのがスムーズです。
- 株式会社日本信用情報機構(JICC)
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
ただし、個人間での貸し借り、金融業以外の法人から借りている場合、信用情報機関には登録されません。
この場合、被相続人の残した書類等を手掛かりに、地道に調査を重ねるしかありません。
本人が借りている場合のほか、保証債務もマークしてください。
知らずに相続すると、後々保証債務を負担しなくてはならない場合もあります。
手がかりが見つからない場合
これらの手掛かりが全くない場合、専門家に調査依頼ができます。
相続の専門家は、弁護士、司法書士、税理士、行政書士ですが、かかる費用は千差万別。
必ず、サービス内容と費用、時間などを確認してから依頼しましょう。
死亡時の財産額を確認
手掛かりをもとに財産を特定したら、死亡時の財産額を確認します。
1.預貯金
通帳の有無にかかわらず、取引のあった金融機関に残高証明書を請求します。
この際、被相続人の死亡日を指定しましょう。
残高証明書の発行依頼方法は、金融機関ごとに全く異なります。
- 残高証明書発行依頼書
- 被相続人の死亡事実がわかる戸籍または除籍謄本
- 申請者が相続人であることを示す戸籍謄本
- 申請者の本人確認書類
- 申請者の印鑑登録証明書
所要日数は概ね1-2週間ですが、長いところでは1か月近く待つこともあります。
2.不動産
被相続人が不動産を所有している場合、法務局にて登記事項証明書を取得し、権利関係を確認します。
評価額は、固定資産税の納税通知書で確認することができますが、手元にない場合には固定資産評価証明書を取得します。
不動産の評価方法は、他にもあります。
各方法により価額が変動するため、よく話し合う必要があります。
3.自動車、貴金属品
自動車、貴金属は、査定業者への依頼が必要です。
インターネット上で業者を探すか、ディーラーに問い合わせるといいでしょう。
4.債務等
債務がある場合、借入先に問い合わせ「借入金残高証明書」を取得します。
万が一、残高証明書の取得時に返済を迫られても、返済を約束するような回答はしないでください。
財産目録の作成
全ての相続財産がそろったら、財産目録を作成します。
財産目録作成のポイントは、次の2点です。
- 誰が見ても特定できる情報量を掲載する
- 評価額の根拠を添付する
専門家に依頼する場合
相続に関する相談・依頼は、弁護士、税理士、司法書士、行政書士が適任です。
ただし、士業ごとに得意分野は異なります。
相続財産の調査のみなら、行政書士。
相続財産に不動産が含まれるなら、司法書士。
相続税の申告・納税が必要な場合は税理士。
相続人同士でもめる可能性があれば弁護士に相談するといいでしょう。
手続き、財産の内容について全くわからない!という場合は、行政書士にお任せください。
各士業への橋渡しはもちろん、面倒な手続きをできる限り一貫して引き受けます。
相続財産の調査方法まとめ
当ページでは、相続財産の調査方法をご紹介しました。