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当ページでは、お墓の相続方法と必要な手続、お墓を相続するメリットと注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
お墓の相続問題
人が死亡すると相続が発生し、相続財産を分割しなければなりません。
しかし、お墓は相続財産に含まれません。
お墓は系譜、祭具とともに「祭祀財産」と呼ばれ、法律上、誰が承継するかの定めがありません。
民法897条では、
「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主催すべき者があるときは、その者が承継する」
と定めるのみです。
つまり、相続人や親族の中から「祭祀承継者」を定め、この人にお墓の管理を任せることになります。
※法律の観点から言うと、親族でなくとも祭祀承継者にはなれますが、霊園や墓地の使用規約に「原則3親等まで」「使用者の親族であること」と定められているのが一般的です。
お墓の相続 流れ
お墓の相続は、次の流れで進めましょう。
- 祭祀承継者を決定
- 墓地の管理者等に連絡
- 必要書類を準備
- 承継手続き、手数料の支払い
- お墓を承継
祭祀承継者の決定方法
祭祀承継者は、必ずしも親族関係者でなくとも良いため、次の方法を参考に決定しましょう。
- 被相続人が指定
- 慣習による決定
- 家庭裁判所に決めてもらう
被相続人が指定
被相続人が遺言書を用意し、祭祀承継者を指定する内容を記載していた場合、これに従います。
ただし、必ずしも遺言書による必要はなく、口頭または黙示の意思表示でも足りると解釈されています。
お墓は遺産分割の対象ではないため、法定相続人の順位等に従う必要はありません。
墓地や霊園により、祭祀承継者になれる人を制限している場合もあるため、あらかじめ問い合わせておくと安心です。
慣習による決定
被相続人による祭祀承継者の指定がない場合、被相続人の住所地やその家の慣習等に従って、祭祀承継者を決定することになります。
家庭裁判所に決めてもらう
慣習等によっても祭祀承継者が決められない場合、家庭裁判所に調停または審判を申し立て、祭祀承継者を決定してもらう方法もあります。
ここで指定されるのは、被相続人が生きて入れば指定したであろう人物で、場合により複数人が指定されることもあります。
お墓の相続に必要な手続き
お墓を相続する際、窓口は墓地を管理している霊園または菩提寺です。
具体的には、下記の書類を用意し、現在の名義人から祭祀承継者への名義変更手続きを執ることになります。
- 名義変更の申請書、永大使用権承諾証などを用意
- 承継原因(被相続人の死亡)がわかる戸籍謄本等
- 承継者の戸籍謄本または住民票
- 承継者の印鑑登録証明書
- 遺言書、親族の同意書など祭祀承継者であることを証明する書類
このとき、手数料の支払も併せて行うことになります。
公営墓地の場合、名義変更手数料は数100円から数1,000円ですが、民営霊園の場合、10,000円を超えることもあります。
また、寺院墓地(菩提寺)の場合、檀家の地位も承継するため、手数料と別にお布施を包むこともあります。
お墓に相続税はかかる?
お墓の相続には、原則、相続税はかかりません。
お墓のほか、仏壇仏具などの祭祀財産にも相続税は課税されません。
お墓を相続する祭祀承継者の役割
祭祀承継者の役割は、次の通りです。
- お墓、仏壇等の管理
- 忌日法要等の実施(主宰)
- お骨、墓地の所有権を持つ
お墓、仏壇等の管理
祭祀承継者の大きな役割は、お墓や仏壇等の維持・管理を行うことです。
命日(月命日)、お彼岸、お盆等にお墓に参り、手入れを行います。
このほか、霊園・墓地に支払う管理料も負担します。
忌日法要等の実施(主宰)
祭祀承継者は、法要の主宰を務めることになります。
四十九日、一周忌、三回忌などの忌日法要をはじめ、お盆の法要なども祭祀承継者が率先して実施する場合が多いです。
ただし、法要は義務ではありませんので、まとめて行うこともあります。
お墓、墓地の所有権を持つ
祭祀承継者は、遺骨やお墓の所有権を取得するため、場所や管理方法の決定権を握ります。
祭祀承継者以外の親族が、お墓や遺骨を移転する場合、祭祀承継者の同意がなければ実行できません。
お墓を相続するメリット
祭祀承継者としてお墓を相続する場合、お墓や仏壇の維持・管理に関わる決定をすべて自分で下すことができます。
複数名で管理すると、供養に対する意思のずれからもめる場合もありますが、単独で承継すれば、自分の思い通りに供養することができます。
お墓を相続する際の注意点
お墓の相続を検討する際、次の点に注意しましょう。
- お墓は相続放棄ができない
- 維持管理費用が負担になる
お墓は相続放棄ができない
お墓の維持管理が大変で、相続放棄を考えることもあるでしょう。
しかし、お墓は遺産分割の対象外なので、相続放棄はできません。
1度名義変更した後、やっぱり放棄するという選択肢はないため、後述する方法を検討しましょう。
お墓を相続する人がいない場合
お墓を相続したくない場合、次の対応を検討しましょう。
現在のお墓が不便な土地にある場合
現在、お墓がある土地が遠方だったり、通いづらい場所にあるなど、立地が理由で祭祀承継者が決まらない場合、改葬という選択肢があります。
改葬は、埋葬した仏様を他のお墓に遷したり、埋葬または収蔵した遺骨を他のお墓・納骨堂に遷すことをいいます。
祭祀承継者を希望する人の管理しやすいところに遷すことで、スムーズな決定を促すことができるかもしれません。
誰も相続したがらない場合
誰も相続したがらない、または、何らかの事情で誰も相続できない場合、墓じまいという選択肢があります。
墓じまいは、墓石を撤去し、今ある墓所を更地にしたうえで、墓地の管理者に使用権を返還する手続きです。
墓じまい後の遺骨は、永代供養や散骨等で供養しましょう。
お墓の相続方法と必要な手続、注意点まとめ
当ページでは、お墓の相続方法とメリット、注意点を解説しました。