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相続が荒れそうな場合や遺産分割協議に参加したくない場合の選択肢に「相続分の譲渡」があります。
当ページでは、相続分の譲渡に必要な手続きと活用事例、注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
相続分の譲渡とは
相続分の譲渡は、自分の法定相続分を他人に譲り渡すことをいいます。
他の法定相続人に限らず、第三者に譲ることも可能です。
譲渡する際、有償でも無償でも関係ありませんが、遺産分割前でなければ譲渡できませんので注意しましょう。
相続放棄との違い
相続放棄の場合、必要な手続きが完了した時点で「はじめから相続人ではなかった」扱いとなり、プラスだけでなく、マイナスの資産も相続することはありません。
このとき、放棄した人が相続するはずだった相続分は、他の相続人が分割して承継することになります。
相続分の譲渡の場合、自分の相続分をそのまま譲り渡すため、譲受人に債務返済義務が残る場合があります。
相続分の譲渡 活用場面
相続分の譲渡は、次の場合に活用が考えられます。
- 遺産を相続する気がない
- 相続トラブルに巻き込まれたくない
- 自分以外に相続権を譲りたい相手がいる
- 相続権を現金化したい
相続分を譲渡すると、相続に必要な手続きは行わずに済みますが、手っ取り早く現金が欲しいという場合、有償で相続分を譲渡することもできます。
相続分の譲渡に必要な手続き
相続分の譲渡に特別な手続きはいりませんが、事後のトラブルを防止するためにも相続分譲渡証明書等の書類を作成しましょう。
相続財産の中に不動産が含まれる場合、相続登記のタイミングで譲渡証明書を求められます。
1.相続分譲渡証明書の作成
相続分譲渡証明書には、下記の事項を記載します。
- タイトル(相続分譲渡証明書)
- 当事者の住所、氏名、生年月日
- 被相続人(死亡人)氏名、生年月日、死亡日
- 有償または無償、有償の場合は金額
- 契約年月日
- 当事者の署名、実印による押印
押印に使用したのが実印であること、当事者の住所地を証明するため、印鑑登録証明書も添付しましょう。
2.相続分譲渡通知書
相続分の譲渡を行ったら、他の相続人に「相続分譲渡通知書」を送付しましょう。
相続分を譲り受けた人は、譲渡人に代わって遺産分割協議に参加することになりますが、なんの通知もしなければ他の相続人が困惑します。
このほか、相続人以外の第三者に相続分が譲渡された場合、他の相続人は譲受人に対し、かかった費用や価額を弁償し、相続分を取り戻すことも可能です。
取り戻す場合、相続分譲渡後1カ月以内に行わなければなりませんので、期限を明確にするためにも通知書の送付をお勧めします。
相続分を譲渡する場合の注意点
相続分を譲渡する場合、次の点に注意しましょう。
1.相続分を譲渡しても債務返済義務はある
相続分を譲渡した相続人は、自らの相続権を失います。
しかし、被相続人が債務を追っていた場合の支払義務までは譲渡することができません。
相続債権者から督促等が行われた場合、返済を免れることはできないため、譲渡を検討する際は、事前にしっかり確認しましょう。
2.相続分の譲受人は遺産分割協議に参加
相続分の譲渡は、法定相続人以外の第三者に行うこともできます。
しかし、いきなり相続と関係のない人が参入すれば、遺産分割協議が滞る可能性があります。
自分の相続権を譲渡する場合、最低限、他の相続人に紹介する等の橋渡しは行うことをお勧めします。
3.税金がかかる可能性がある
相続分を譲渡した場合、共同相続人以外の第三者に無償で譲渡すれば「贈与税」がかかる可能性があります。
有償で譲渡した場合、相続人に「譲渡所得税」がかかる可能性もありますので、譲渡時にかかる税金等も確認しておきましょう。
相続分の譲渡 まとめ
当ページでは、相続分の譲渡に必要な手続きと注意点を解説しました。