当サイトの一部に広告を含みます。
![](http://www.otk-gyosho.com/magi/wp-content/uploads/2023/10/image-27.png)
当ページでは、農地法5条許可の概要と申請時のポイントを解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
農地法5条許可とは?
農地法5条許可とは、農地法第5条に規定される許可のことを指します。
端的に言うと、農地を農地以外の用途に変え(転用)、耕作以外の目的で使用する場合に必要な許可をいいます。
農地法5条許可の対象となる土地
農地法5条許可の対象となるのは、農地または採草放牧地です。
ただし、登記簿上は「農地」となっていても、現況が農地でなければ対象外となります。
逆にいえば、地目が異なる土地でも、現況が農地に該当する場合には許可が必要です。
農地は「耕作の目的に供される土地」、採草放牧地は「農地以外の土地で、主に耕作または養畜事業のための採草・家畜の放牧の目的に供される土地」です。
5条許可の対象となる取引
農地法5条許可の対象となる取引は、次の通りです。
- 売買
- 贈与
- 賃借
- 競売や公売
- 共有物の分割
- 譲渡担保、買戻し
- 特定遺贈
相続または時効による取得の場合、5条許可ではなく、4条許可の対象になります。
農地法5条許可が必要な場合
農地法5条許可が必要なのは、売買などの取引に伴い、農地から宅地、工業用地に転用する場合です。
この場合、都道府県知事、または、指定市町村長の許可が必要です。
農地法5条許可が不要な場合
国、都道府県または指定市町村が主体となって転用する場合、農地法5条許可は不要です。
また、採草放牧地を農地に変更するための権利移転の場合、農地法第5条の適用外となるため、許可申請は不要となります。
農地法5条許可ではなく「届出」が必要な場合
対象となる農地が「市街化区域外」にある場合、農地法5条許可が必要です。
しかし、農地が市街化区域内にある場合には、農地法5条許可を得る必要はありません。
ただし、この場合には「届出」が必要となります。
農地法5条許可に必要な要件
農地法の大前提は、「優良な農地を確保することで、農作の安定をはかること」です。
そのため、農業を行うことに支障が生じる恐れがあれば、不許可となります。
自治体により要件は異なりますので、ここでは神奈川県横浜市の例をご紹介します。
立地要件
農地法許可申請についての審査では、対象の農地を「営農条件」「周辺の土地状況」で区分します。
区分 | 状況 | 許可の方針 |
---|---|---|
農用地区域内農地 (青地) | 市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地 | 原則不許可 農業用施設等市町村が定める農用地利用計画において指定された用途のために転用する場合は例外的に許可 |
甲種農地 | 市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等、特に良好な営農条件を備えている農地 | 原則不許可 土地収用法の認定を受け、告示を行った事業等のために転用する場合は例外的に許可 |
第1種農地 | 10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地 | 原則不許可 土地収用法対象事業等のために転用する場合は例外的に許可 |
第2種農地 | 鉄道の駅が500m以内にある等、市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地 | 農地以外の土地や第3種農地に立地困難な場合等に許可 |
第3種農地 | 鉄道の駅が300m以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地 | 原則許可 |
農用地区域農地から第1種農地については、原則不許可となりますが、例外として許可が下りる場合もあります。
一般基準要件
農地法5条許可では、転用後の計画を審査対象とし、農地転用の確実性、周囲の農地への被害防除措置の妥当性などを審査します。
転用事業の確実性 | ・資力及び信用があると認められること ・転用行為の妨げとなる権利を有する者の同意があること ・遅滞なく転用目的に供すると認められること ・行政庁の免許、許可、認可等の処分の見込みがあること ・農地と併せて使用する土地がある場合、利用する見込みがあること ・農地転用面積が転用目的からみて、適正と認められること ・申請者(農地所有者や転用者)に農地法上の違反がないこと 等 |
被害防除 | ・土砂の流出、崩壊等、災害を発生させる恐れがないこと ・農業用排水施設の有する機能に、支障を生ずる恐れがないこと ・周辺農地の営農に、支障を生ずる恐れがないこと 等 一時転用 ・事業終了後、その土地が耕作の目的に供されることが確実と認めらえること 等 |
一時転用 | ・事業終了後、その土地が耕作の目的に供されることが確実と認め られること 等 |
農地は、建築基準法、土地計画法など他の法律による規制を受ける場合も多いわりに、「知らなかった」では済まされません。しっかり確認・調査を実施しましょう。
農地法5条許可申請の流れ
一般的な流れは下記の通りです。
- 事前相談
- 現地調査
- 申請書作成・内容確認
- 申請書類提出
- 審査
- 許可証発行
- 着工~完了
- 現地確認
- 工事完了報告書の提出
農地法に関わる審査は、目的となる農地がある住所を管轄する市区町村役所に設置される「農業委員会」が行います。
農業委員会には、農業に精通する委員が所属し、この人達が現地を調査・審議した上で、許可または不許可を判断します。
許可証を受け取るまで着工することはできませんので、必ず先に手続をしましょう。
農地法5条許可申請に必要な書類は?
農地法5条許可申請に必要な書類は、自治体により異なります。
ここでは、神奈川県横浜市の例をご紹介します。
- 農地法第5条許可申請書(正本・副本)
- 委任状(申請者以外が提出する場合、申請者全員からの委任が必要)
- 土地の登記事項証明書(全部事項証明書)
- 住民票
- 法人の登記事項証明書(全部事項証明書又は現在事項証明書)
- 定款又は寄付行為
- 個人事業主として経営を行っていることを証明する書類【申請者又は借受予定者が個人の場合】
- 公図(申請地及び事業予定地を赤等で明示)
- 【筆の一部の場合】測量図(全体の中で転用する部分が特定できるよう赤等で明示)
- 申請地を示した位置図(1/10,000 程度)
- 申請地を示した案内図(1/2,500 程度)
- 転用理由書 ※譲受人のみ
- 誓約書(理由書と一枚にまとめても可) ※譲受人のみ
- 事業計画書 ※譲受人及び借受予定者
- 土地利用計画図・被害防除図(排水、土留め、造成、光など)
- 現況写真
- 工事見積書(申請日前1カ月以内に発行されたもの又は申請時点で見積書有効期限が有効なもの)
- 残高証明書・融資証明書申請日前1カ月以内のもの)
- 【資金提供が譲受人以外の場合】同意書+融資者の残高証明書・融資証明書(申請日前1カ月以内のもの)
※登記事項証明書、身分に関わる証明書等は、発行から1~3か月以内に発行されたものを求められる場合がほとんどなので注意しましょう。
農地法5条許可 まとめ
当ページでは、農地法5条許可の申請方法について解説しました。