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当ページでは、不在者の財産を管理してくれる「不在者財産管理人」の選任方法と手続を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
不在者財産管理人とは
不在者財産管理人とは、従来の住所または居所からいなくなり、戻る見込みのない不在者の財産を管理する人がいない場合、家庭裁判所から選任される管理人のことをいいます。
要するに、お留守番です。
不在者財産管理人になれる人
不在者財産管理人になるために、特別な資格は必要ありません。
しかし、「不在者の財産を管理する」という特性から、財産管理を適切に行うことができる能力が求められます。
一般的には、不在者との関係(利害関係含む)を考慮し、適格性を判断しているようです。
弁護士、司法書士等の専門職から選ばれることもあります。
不在者財産管理人が必要な場合
不在者財産管理人の選任が必要になるのは、次の場合です。
1.遺産分割協議の場合
相続人の中に行方不明者がいる場合、相続人全員参加が必須の遺産分割協議を進めることができません。
遺産分割協議自体に義務や期限はありませんが、相続財産に不動産が含まれる場合や相続税の申告・納税が必要な場合には期限があり、困ります。
このような場合、行方不明の相続人を代理してもらうため、不在者財産管理人を選任し、遺産分割協議を進めることがあります。
2.土地の隣地所有者が境界を定める場合
土地の分筆には、隣接地の所有者全員が立会って境界を確認します。
このとき、全員が合意に至って初めて確認書に署名押印し、境界標を埋設し、手続は完了となります。
しかし、隣接地の所有者が行方不明の場合、いつまで経っても境界が定まりません。
このような不具合を解消するため、行方不明の隣接地所有者の代理人に不在者財産管理人を選任します。
3.購入を希望する土地の所有者不在の場合
購入を希望する土地の所有者は登記されているものの、本人が行方不明な場合、売買契約を結ぶ事ができません。
この場合、行方不明の土地所有者の代理として、不在者財産管理人を選任することで、売買契約が可能です。
不在者名義の不動産を増改築または解体する際も、不在者財産管理人を選任することがあります。
不在者財産管理人の役割
不在者財産管理人の主な仕事は、不在者の財産目録を作成し、財産を管理。内容を家庭裁判所に報告することです。
財産状況は定期的に裁判所に報告しますが、財産管理人が不正な浪費をすれば、不在者財産管理人の改任、刑法上の業務上横領等の罪に問われる可能性があるだけでなく、民事上の損害賠償請求を受けることもあります。
不在者財産管理人の選任申立て手続の流れ
不在者財産管理人の選任申立ては、次の流れに沿って進めます。
申立人
不在者財産管理人の選任を申立てられるのは、不在者の配偶者、相続人、債権者などの利害関係人、または、検察官です。
- 利害関係人
- 検察官
申立先
不在者財産管理人の選任申立ては、不在者が住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所です。
申立てに必要な費用
申立ての際、800円分の収入印紙と連絡用の郵便切手を求められます。
郵便切手は、申立てをする家庭裁判所により、金額と組み合わせが異なる場合があるため、家庭裁判所に確認しましょう。
各地の裁判所一覧(こちら)から管轄の裁判所を検索すると、ページ内に記載されている場合もあります。
- 収入印紙800円
- 連絡用の郵便切手
申立てに必要な書類
申立てに必要な書類は次の通りです。
- 申立書
- 不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 不在者の戸籍附票
- 財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
- 不在の事実を証する資料
- 不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書,預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)
- 利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),賃貸借契約書写し,金銭消費貸借契約書写し等)
利害関係人が申立てる場合、利害関係を証する資料、賃貸借契約書の写し、金銭消費貸借契約書の写し等を求められる場合があります。
また、審理中に必要と判断されると、追加書類の提出を求められることもあります。
申立前に入手困難な戸籍書類があれば、申立後の提出でも認められる場合があります。
不在者財産管理人まとめ
当ページでは、不在者財産管理人の選任手続を解説しました。