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当ページでは、自殺で亡くなった場合の損害賠償責任を誰が負うのか、支払責任を負う人別の対処法と相続手続の注意点を解説します。
Contents
筆者プロフィール
榊原 沙奈(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。
自殺で発生する損害
被相続人(死亡人)が死亡した場所によって、損害賠償を求められる場合があります。
公共交通機関での自殺
日頃から公共交通機関を利用していれば、1度は目にしたことがあろう「人身事故」。
被相続人の死亡により運行を妨げた場合、列車の遅延時間、本数に対し、振替輸送を手配するのにかかった費用、事故後の処理にかかる人件費等を勘案して算出されます。
賃貸物件での自殺
被相続人が借りている賃貸物件内で死亡した場合、事故物件として取り扱われることとなります。
事故物件には、事故の告知義務が発生し、一般的に1年~2年近くは借り手がつかなくなることが予測されるうえ、賃料を従前よりも安く設定することになります。
これに伴って発生する逸失利益が損害賠償額として算出されます。
自殺で発生した損害は誰が賠償するのか
自殺で生じた損害について発生する損害賠償責任は、相続財産に含まれます。
そのため、下記の人が責任を負うことが考えられます。
相続人
相続人は、原則、被相続人の死亡時から一切の権利義務を承継することになります。
承継する対象は権利(プラスの財産)だけでなく、義務(マイナスの財産)まで含むため、借金や損害賠償責任まで相続し、債務者に返済する義務を負います。
親権者
被相続人が未成年者の場合、未成年者自身が損害賠償責任を負うことのない事例があります。
具体的には、自分の行為責任を弁識できる能力がない場合で、裁判例では12歳から13歳程度が境界とされます。
この場合、未成年者が与えた損害は、親権者が賠償する義務を負うことになります。
介護者
被相続人自身の責任を問われない事例として、病気や障害によって、事故の行為責任を弁識する能力を欠く人が挙げられます。
この場合、本人を監督するよう法律で定められている人が、賠償する義務を負うことになります。
損害賠償責任を負いたくない場合
被相続人の自殺により、損害賠償義務を負わなくてはならない場合、責任者が必ず負わなければならないわけではありません。
相続放棄
法定相続人が損害賠償義務を負う場合、相続放棄の手続が考えられます。
相続放棄は、被相続人の死亡を知ったときから3か月以内に、家庭裁判所での手続を行うことで、はじめから相続人ではなかった扱いになります。
限定承認
法定相続人が損害賠償義務を負う場合、限定承認という選択肢もあります。
限定承認は、全く相続しないわけではなく、相続財産のプラスとマイナスを相殺した残額のみを相続する方法をいいます。
この場合も、被相続人の死亡を知ったときから3か月以内の手続が必要です。
多少の債務は負ってでも、相続したい財産がある場合に検討される方法です。
自殺者の相続手続 注意点
自殺した被相続人の相続手続では、次の点に注意しましょう。
1.死亡診断書ではなく死体検案書
老衰や病死の場合、医師が死亡を確認のうえ、死亡診断書を作成してもらいます。
いっぽう、自殺の場合は既に死亡した状態で見つかる場合が多く、事件性の有無を確認するため、犬歯が行われます。
このときに作成されるのは、死亡診断書ではなく死体検案書です。
そのため、相続手続で「死亡診断書」を求められる場合、「死体検案書」と読み替えて準備することとなります。
2.とにかく情報収集から
自殺の場合、一般的な死亡原因と比べ、情報量が乏しい場合がほとんどです。
死亡時の状況、本人の財産状況、債務の有無等、一つ一つ地道に調べるほかありません。
自殺の事実を受け止められない中で、このような手続をこなしていくのは辛いはずです。
ご自身での手続処理が難しいと感じたら、専門家に任せる選択肢もあります。どうかくれぐれもご自愛くださいね。
自殺者の相続手続まとめ
当ページでは、自殺者の相続手続を解説しました。