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事故の相手が無保険ドライバーだった場合の対処法をわかりやすく解説

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当ページでは、交通事故の相手が「無保険」だった場合のリスク、対処法をわかりやすく解説します。

筆者プロフィール

榊原 沙奈さかきばら さな(90′)
榊原行政書士事務所 代表行政書士
やぎ座のO型。趣味は写真を撮ること、神社をめぐること。

走行車両の5台に1台は無保険

現在、日本国内で走っている自動車の5台に1台は「任意保険」に加入していない※といわれています。

2021年度自動車保険の概況/損害保険料率算出機構より

任意保険とは

自動車に関する保険は「任意保険」「強制保険」の2つに分類されます。

このうち任意保険は、一般的に「自動車保険」と呼ばれる保険会社の商品で、加入しなくても罰則はありません。

強制保険とは

いっぽう、必ず加入しなくてはならないのが「自賠責保険」です。

こちらは自動車損害賠償保障法という法律によって、運転者には加入が義務づけられているため「強制保険」と呼ばれます。

自賠責保険に未加入のまま、公道で運転すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるだけでなく、違反の前歴がなくとも6点減点。即免許停止処分となります。

自賠責保険の上限額

自賠責保険の内容は至ってシンプルで、事故による相手の死傷に対する「対人賠償」規定しかありません。

具体的な内容は下記の通りです。

損害の範囲支払限度額
傷害治療関係、文書、
休業、慰謝料
最高120万円
後遺障害逸失利益、慰謝料神経・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残し、要介護
常時介護:最高4000万円
随時介護:最高3000万円

後遺障害の程度により
第1級~第14級:最高3,000万円~75万円
死亡葬儀、逸失利益、慰謝料最高3,000万円まで
傷害致死傷害と同様最高120万円
自賠責保険の補償範囲

相手が死亡した場合の支払限度額は3,000万円なので、これ以上の損害を与えた場合、自賠責保険だけでは到底支払うことができません。

このように、自賠責保険で足りない部分を補填するのが任意保険です。

相手が無保険だった場合

自動車保険における「無保険」は、任意保険に加入していない場合、または、自賠責保険・任意保険のいずれにも加入していない場合を指します。

この場合、被害者側は交通事故で生じた損害に対し、充分な賠償を受けられないリスクを負います

被害者が請求できる内容

交通事故の被害者が請求できるのは、受けた損害による出費・逸失利益等が対象となります。

  1. 治療関係費
  2. 通院にかかる交通費
  3. 休業損害
  4. 逸失利益
  5. 物損関係費
  6. 葬儀費
  7. 慰謝料

1.治療関係費

治療関係費とは、事故による傷害に関する治療、入院、出術にかかる費用をいいます。

2.通院交通費

通院交通費は、事故で負った傷害の治療・通院のためにかかる公共交通機関の費用をいいます。

原則、自宅から病院までの最も経済的なルートにかかる費用を算定し、自家用車等での通院の場合、ガソリン代は含まれないこともあります。

3.休業損害

交通事故で負った傷害の治療・療養のため、仕事を休まなくてはならない場合があります。

このとき、通常ならば発生するはずだった給与がもらえないと、被害者は生活に困ることになります。

一般的には、平均的な給与額と比較し、減収したと認められる部分を請求することになります。

4.逸失利益

逸失利益とは、本来なら得られたであろう将来収入のうち、交通事故によって得られなくなった利益部分を指します。

交通事故により後遺障害が残ると、それまで通りの労働が難しくなるだけでなく、日常生活に支障を来すこともあります。

逸失利益の算定は、訴訟等でも争点となることが多いため、詳しい額面は弁護士等の専門家に相談しましょう。

1つの目安として、ライプニッツ係数という計算方法があります。
この計算方法では「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間」により逸失利益を算出しますが、この他、新ホフマン係数という方法が用いられることもあります。

5.物損関係費

物損関係費は、交通事故により被害者側の所有物が損傷した場合、その修理費、修理期間中に借りる代車の賃料等をいいます。

加害者が自宅敷地内の工作物に損害を与えれば、これにかかる修理費用等が対象になることもあります。

6.葬儀費

葬儀費は、交通事故により被害者が死亡した場合にかかる葬儀の費用をいいます。

7.慰謝料

慰謝料は、「入院・通院」「後遺障害」「死亡」等に際して請求できる費用です。

交通事故に遭ったからといって必ず請求できる性質のものではないため、請求を見当する際は、専門家の意見を求めることをオススメします。

無保険ドライバー最大のリスク

通常、交通事故による損害賠償金は、加害者が加入する保険会社から被害者に「保険金」として支払われます。

しかし、加害者が無保険の場合、仲介する保険会社はおらず、自賠責保険から支払われる部分のみとなります。

自賠責保険で補塡することができなかった保険について、被害者ができるのは「加害者本人への請求」しかないのが一般的です。

無保険の加害者への請求方法

加害者が無保険の場合、自賠責保険で補塡できない部分を請求する方法として、「示談」が一般的です。

示談とは、当事者間に生じたトラブルにつき、裁判をせず、話し合いで解決することをいいます。

ほとんどの場合、事故の当事者はどちらも一般人で、慰謝料の対象、算定方法、相場等がわからない状況下で話し合うことになります。

被害者が損をしないための対処法

交通事故の加害者が無保険だった場合、被害者が損をしないためにできる対処法は次の通りです。

  1. 被害者自身で加害者に請求する
  2. 交通事故紛争処理センター(ADR)を活用する
  3. 被害者が加入している保険を利用する
  4. 被害者から加害者の自賠責保険会社へ請求する
  5. 労災保険を活用する
  6. 政府の補償事業を利用する

1.被害者自身で加害者に請求する

被害者自身で加害者に損害賠償請求をする場合、一般的には次の方法で行います。

内容証明郵便の送付

内容証明郵便は、こちらが送付した年月日だけでなく、その内容を郵便局が証明してくれるサービスです。

債権回収等で重宝される手段で、相手が連絡に応じない場合や時効の進行を止めたい時に利用します。

郵便書留等の追跡サービスが附帯するものでも良さそうですが、この場合、その内容までは証明してくれず、訴訟となった場合の証拠としては不十分です。

交通事故に遭ったときは、必ず相手の住所を控えておきましょう。

公正証書による示談書作成

加害者と連絡がとれ、話し合いで解決に至れば「示談成立」となります。

しかし、示談が成立したからといって、ここで取り決めた損害賠償金が必ず支払われるとは限りません。

相手が支払わない場合に備え、示談書の作成は必須ですが、公証役場において作成する公正証書にされることをオススメします。

示談書内に「強制執行認諾条項」を含めると、加害者の損害賠償金の支払いが滞った際に必要な訴訟手続を経ることなく、相手の財産を差押えることができます。

ただし、相手の財産を差押えるには、加害者の資産状況を把握していなければなりません。

公正証書は、公証人という法律のプロが作成してくれるため、専門的な知見をフルに活用しましょう。

訴訟の提起

加害者が示談交渉に応じず、または、連絡がとれない場合、裁判所に訴訟を提起する方法があります。

訴訟の目的となる損害賠償請求額が「140万円まで」の場合、一部の司法書士でも取り扱うことができます。多くの弁護士は多忙で、迅速な対応が難しいことも少なくありません。

このような場合には、お近くの司法書士への相談も検討しましょう。

目的額が140万円を超え、事案が複雑な場合には弁護士への相談が適切です。

後遺障害認定等の手続では、一部の行政書士もご相談を承ることができます。
「いきなり弁護士に相談するのは気が引ける」という方は、行政書士もしくは司法書士、または、法テラスや交通事故紛争処理センター等の公的機関を利用する選択肢もあります。

2.交通事故紛争処理センター(ADR)の利用

交通事故紛争処理センターでは、賠償問題に関する法律の知識が心許ない場合、示談交渉に不慣れな場合の相談窓口です。

交通事故に関する示談をめぐる紛争解決のため、必要な法律相談、和解、あっせん、少額での審査手続等、裁判以外の支援を行ってくれる場所でもあります。

通常の裁判では、判決が出るまでに1年超の期間と高額な訴訟費用を支払うのが一般的ですが、交通事故紛争処理センターでは、訴訟よりも簡易で迅速な解決を目指す「ADR制度」を採用しています。

ADRとは

ADRは、Alternative Dispute Resolutionエーディーアールの略で、あっせん、仲裁、調停等、裁判外の紛争解決方法をいいます。

交通事故紛争処理センター(ADR)利用のメリット

交通事故紛争処理センター(ADR)を利用するメリットは、次の通りです。

ADRのメリット
  • 申立て費用が少額
  • 係る期間が裁判よりも短い
  • 非公開で行われるためプライバシーが守られる
  • 裁判と比べ、専門的な知見が期待できる

ADR制度最大のメリットは、かかる費用が少額で短期間での解決が期待できる事です。

通常の裁判は、申立から判決まで1年以上を要する事も珍しくありませんが、当センターを利用すると3か月~半年程度で解決に至ることもあります。

また、多くの裁判官・弁護士は取扱う事件が広範囲で、交通事故に特化しているとは言い難い現状に対し、ADRでは「交通事故紛争処理」に絞った運用がなされており、交通事故に関わる紛争解決に精通した専門家の知見が期待できます。

交通事故紛争処理センター(ADR)利用時の注意点

交通事故紛争処理センター(ADR)を利用する際は、次の注意点をおさえましょう。

ADR利用時の注意点
  • 依頼できるケースが限定的
  • 遅延損害金は対象外
  • 担当者を選ぶことができない
  • センター所在地が限られている

依頼できるケースが限定的

交通事故紛争処理センター(ADR)は、何でも受付けてくれるわけではありません。

利用対象外のケース
  1. 加害者が自動車(原動機付自転車を含む)でない場合の事故
  2. 搭乗者傷害保険や人身傷害保険など、自分が契約する保険会社または共済組合との保険金、共済金の支払に関する紛争
  3. 自賠責保険(共済)後遺障害の等級認定・有無責等に関する紛争
  4. 保険会社等間、医療機関、社会保険等との間の求償に係る紛争
  5. 相手が方の保険会社等が不明の場合

交通事故紛争処理センター(ADR)が力になってくれるのは、対象が加害者の場合、かつ、加害者が自動車(原動機付自転車を含む)の場合のみです。

加害者以外の保険会社、医療機関等とのもめ事は対象外であることに注意しましょう。

被害者が治療中、後遺障害等級認定の申請中、示談交渉段階前の場合にも、対応してもらえないため、自分が対象となるか事前に確認しましょう。

遅延損害金は対象外

交通事故紛争処理センター(ADR)が出す和解案、裁定案に記載される賠償金には、原則、遅延損害金が含まれません。

遅延損害金は、加害者が支払を遅延した場合に発生する利息を指します。

通常の裁判では、賠償金の支払いに遅延が生じれば、民法上の法定利率によって算出される遅延損害金が上乗せされます。

どちらが良し悪しではなく、訴訟との差異を理解した上で利用しましょう。

担当者を選ぶことができない

交通事故紛争処理センター(ADR)で紹介される担当弁護士は、自ら変更する事ができません。

担当者との相性が悪い、または、力量等に不安を感じても、手続終了まで付き合い続けることになります。

これに加え、訴訟では自分の味方になってくれる弁護士も、ADRではあくまで中立の立場として介入します。

このことから、絶対に勝ちたい!自分に寄り添ってほしい!とお考えなら、物足りなさを感じる可能性があります。

センター所在地が限られている

交通事故紛争処理センター(ADR)は、令和5年1月時点において、全国に11箇所です。

近隣に済んでいる場合は別として、一定の時間と費用をかけ、手続終了まで複数回通わなければならない場合があります。

交通事故紛争処理センター所在地はこちらからご確認いただけます。

3.被害者自身の保険を利用

加害者が無保険の場合、自賠責保険で補塡できない部分について、加害者に財産・支払能力がなければ、賠償金を受け取ることができません。

しかし、被害者自身が加入する保険契約の内容によっては、保険金が支払われる場合があります。

  • 無保険車傷害保険
  • 車両保険
  • 人身傷害補償保険
  • 搭乗者傷害保険

無保険車傷害保険

保険会社により名称は異なりますが、加害者が任意保険に未加入の場合、または、加入しているものの充分な支払が受けられない場合に備える保険です。

車両保険

車両保険は、相手のいない単独事故により、ガードレールやポール等の公共物への接触、当て逃げされた場合の損害を対象に保険金が支払われるものですが、車同士の衝突事故においても支払われる場合があります。

自分の契約で補償される範囲は、日頃からきちんと確認しておきましょう。

人身傷害補償保険

人身傷害補償保険は、人が絡む事故による傷害を補償する保険です。

一般的に加味される過失割合が考慮されないため、ケガをすれば支払われる場合もあります。

搭乗者傷害保険

運転者に限らず、事故当時、同情していた全ての人を補償対象とする保険です。

シートベルトを着用していなかった、必要な年齢であるにも関わらずベビーシート等を使用していないなど、不当な乗車方法をしていない限り、然るべき金額を受け取ることができます。

4.被害者から加害者側の自賠責保険会社へ請求

被害者から加害者の加入している自賠責保険に「被害者請求(16条請求)」を行うことができます。

支払限度額は下記のように、事例により異なります。

損害の範囲支払限度額
傷害治療関係、文書
休業、慰謝料
最高120万円
後遺障害逸失利益、慰謝料神経・精神・胸腹部臓器に著しい障害を残し、要介護
常時介護:最高4000万円
随時介護:最高3000万円

後遺障害の程度により
第1級~第14級:最高3,000万円~75万円
死亡葬儀、逸失利益、慰謝料最高3,000万円まで
傷害致死傷害と同様最高120万円

被害者請求には、「診断書」「保険金(共済金)」「交通事故証明書」等が必要になります。

5.労災保険を適用

交通事故が労災事故に該当する場合、労災保険における保険金(補償)を請求できます。

ただし、自賠責保険と労災保険の併用はできないため、どちらか一方を選択する事になります。

受け取れる金額が高いのがどちらか、それぞれの支払基準を熟知していなくては算定が難しいため、交通事故専門の弁護士や、顧問社労士がいる場合には相談してみましょう。

6.政府の補償事業を利用

政府の補償事業は、加害者が自賠責保険に未加入だった場合に利用できます。

ただし、補償の対象外となる場合や、補償内容は自賠責保険の支払基準に準ずるとされているため、十分な支払が受けられない場合がほとんどです。

政府の補償事業について/国土交通省HPより

加害者が無保険ドライバーの場合の対処法 まとめ

当ページでは、加害者が無保険ドライバーの場合の対処法と注意点を解説しました。

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カテゴリー: ADR(調停)


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業務内容

榊原沙奈
(さかきばら さな)
ヲタク行政書士®
やぎ座のO型、平成弐年式
法人設立、事業承継が得意
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