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当ページでは、飲食店を営業するのに必要な許可取得までの流れ、必要書類、注意点を解説します。
Contents
飲食店営業許可とは
飲食店営業許可とは、一般的な飲食店、菓子製造業等をはじめるにあたって取得が必要な許可を指します。
食品は12種類、届出業種は29種に区分されます。
営業許可に係る業種区分
食品に関する営業は、下記に分類されます。
調理業 | 飲食店営業 調理機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業 |
製造業 | 菓子製造業 アイスクリーム類製造業 乳製品製造業 清涼飲料水製造業 食肉製品製造業 水産製品製造業 氷雪製造業 液卵製造業 食用油脂製造業 みそ又はしょうゆ製造業 酒類製造業 豆腐製造業 納豆製造業 麺類製造業 そうざい製造業 複合型そうざい製造業 冷凍食品製造業 複合型冷凍食品製造業 漬物製造業 密封包装食品製造用 食品の小分け業 添加物製造業 |
処理業 | 集乳業 乳処理用 特別牛乳搾取処理業 食肉処理業 食品の放射線照射業 |
販売業 | 食肉販売業 魚介類販売業 魚介類競り売り営業 |
飲食店営業許可の取得要件
飲食店営業許可を取得するには、下記の要件を満たす必要があります。
- 食品衛生責任者の設置
- 設備要件を満たすこと
- 防火管理者の設置
1. 食品衛生責任者の設置
飲食店の営業について、適切な衛生管理が不可欠です。
このため、店舗には下記の要件を満たす食品衛生責任者の設置が義務づけられます。
- 栄養士、調理師、製菓衛生師、食品衛生管理者等の資格保有者
- 食品衛生管理者又は食品衛生監視員となることができる資格を有する者
- 食品衛生責任者の資格取得のための養成講習会修了者
- その他 知事等が適正と認める講習会修了者
栄養士等の資格をもたない人でも、各都道府県が実施する食品衛生講習会を受講することで、食品衛生責任者に就任することができます。
2. 施設・設備要件を満たすこと
営業施設について、下記の基準を満たす必要があります(調理機能がある自動販売機・集乳業以外の業種の場合)
2-1. 営業施設の構造
施設 | 屋外からの汚染を防止し、衛生的な施行を継続的に実施するために必要な構造又は設備、機械器具の設置及び食品又は添加物を取り扱う料に応じた十分な広さを有すること |
区画 | 食品等への汚染を考慮し、公衆衛生上の危害発生防止のため、作業区分に応じ、間仕切り等により必要な区画がされ、工程を踏まえて施設設備が適切に配置され、又は空気の流れを管理する設備が設置されていること なお、住居その他食品等を取り扱うことを目的としない室又は場所が同一の建物にある場合、これらと区画されていること |
汚染等防止 | じんあい、廃水、廃棄物による汚染を防止できる構造又は設備並びにねずみ、昆虫等の侵入防止ができる設備を有すること |
床・内壁・天井 | 床面、内壁及び天井は、清掃等が容易にできる材料で作り、清掃等を容易に行うことができる構造であること |
床面及び内壁の清掃等に水が必要な場合、床面は不浸透性の材質で作り、排水が良好であること 内壁は、床面から容易に汚染される高さまで、不浸透性材料で腰張りされていること | |
照明設備 | 作業、検査及び清掃等を十分にできるよう必要な照度を確保できる機能を備えること |
換気設備 | 食品等を取り扱う作業をする場所の真上は、結露しにくく、結露によるカビの発生を防止、及び結露による水滴により食品等を汚染しないよう適切な換気ができる構造・設備にすること |
駆除設備 | 必要に応じ、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ設備及び侵入時に駆除するための設備を有すること |
手洗設備 | 従事者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要な個数有すること 水洗は、洗浄後の手指の再汚染を防止できる構造であること |
洗浄設備 | 食品等を洗浄するため、必要に応じ熱湯、蒸気等を供給できる使用目的に応じた大きさ及び数の洗浄設備を有すること |
冷蔵冷凍設備 | 食品又は添加物を衛生的に取り扱うために必要な機能を有する冷蔵又は冷凍設備を必要に応じて有すること |
保管設備 | 原材料を種類及び特性に応じた温度で、汚染の防止可能な状態で保管することができる十分な機能の設備を有すること また、施設で使用する洗浄剤、殺菌剤等の薬剤は、食品等と区分して保管する設備を有すること |
製品包装場所 | 製品を包装する場合、製品を衛生的に容器包装に入れられる場所を有すること |
添加物取扱設備 | 添加物を使用する場合、それを専用保管できる設備又は場所及び計量器を備えること |
更衣場所 | 更衣場所は、従事者の数に応じた十分な広さがあり、かつ、作業場への出入りが容易な位置に有すること |
2-2. 食品取扱設備
機械器具 | 機械器具等は、適正に洗浄、保守及び点検することができる構造であること |
作業に応じた機械器具等を備えること | |
食品又は添加物に直接触れる機械器具等は、耐水性材料で作られ、洗浄が容易であり、熱湯、蒸気又は殺菌剤で消毒可能なものであること | |
固定し、移動しがたい機械器具等は、作業に便利であり、かつ、清掃及び洗浄しやすい位置に有すること 組立式の機械器具等の場合、分解及び清掃しやすい構造であり、必要に応じ洗浄及び消毒が可能な構造であること | |
運搬容器 | 食品又は添加物を運搬する場合、汚染防止専用容器を使用すること |
計量器 | 冷蔵、冷凍、殺菌、加熱等の設備には、温度計を備え、必要に応じ圧力計、流量計、その他の計量器を備えること |
2-3. 給水、排水及び汚物処理
給水設備 | ① 水道事業等により供給される水又はこれ以外の飲用水を施設の必要な場所に適切な温度で十分な料を供給できる設備を有すること 水道事業等により供給される水以外を飼養する場合、必要に応じ、消毒装置及び浄水装置を備え、水源は外部から汚染されない構造であること 貯水槽を使用する場合、食品衛生上支障のない構造であること |
② 法第13条第1項の基準又は規格に食品製造用水の使用について定めがある食品を取り扱う業種について、①の基準の「飲用水」を「食品製造用水」とし、食品製造用水又は殺菌した海水を使用できる旨の定めがある食品を取り扱う業種は、「飲用水」を「食品製造用水若しくは殺菌した海水」として適用する | |
排水設備 | 十分な排水機能を有し、かつ、水で洗浄する区画及び廃水、液性の廃棄物等が流れる区画の床面に設置されていること |
汚水の逆流により食品又は添加物を汚染しないよう配管され、かつ、施設外に適切に排出できる機能を有すること | |
配管は、十分な容量を有し、かつ、適切な位置に配置されていること | |
トイレ | 以下の要件を満たすトイレを従事者の数に応じて有すること (1) 作業場に汚染の影響を及ぼさない構造 (2) 専用の流水式手洗い設備を有すること |
廃棄物容器 | 廃棄物を入れる容器又は廃棄物を保管する設備について、不浸透性及び十分な容量を備え、清掃しやすく、汚液及び汚臭が漏れない構造であること |
清掃用具 | 作業場の清掃等をするための専用の用具を必要数備え、その保管場所及び従事者が作業を理解しやすくするため作業内容を掲示するための設備を有すること |
設備要件について、各自治体により要件が異なるため、建築指導課・消防本部それぞれに確認しましょう。
神奈川県の場合、下記が相談窓口となります。
地区 | 建築基準法(建築確認申請等)関係について | 消防法関係について |
厚木市 | 厚木市まちづくり計画部 建築指導課 046-225-2430 | 厚木市消防本部 046-221-2331(代表) |
海老名市 | 神奈川県厚木土木事務所東部センター まちづくり・建築指導課 建築指導班 0467-79-2800(代表) | 海老名市消防本部 予防課 046-231-0948 |
座間市 | 座間市消防本部 046-256-2211(代表) | |
愛川町 | 神奈川県厚木土木事務所 まちづくり・建築指導課 046-223-1711(代表) | 愛川町消防署本署 046-285-3131(代表) |
清川村 | 厚木市消防本部 046-221-2331(代表) |
3. 防火管理者の設置
店舗の収容人数が30人以上の場合、または特定の条件に当てはまる場合には、防火管理者の選任が義務づけられます。
資格区分 | 受講時間 | 受講料 | |
---|---|---|---|
延面積300㎡以上の場合 | 甲種防火管理者 | 2日間で約10時間 | 8,000円 |
延面積300㎡未満の場合 | 乙種防火管理者 | 1日で約5時間 | 7,000円 |
防火管理者とは、火災のリスクを最小限に抑えるために必要な知識・技術を持った人を指します。
当該店舗において、火災発生時の適切な対応や、定期点検・消火訓練等を行うことも求められます。
防火管理者になるには、都道府県知事、市区町村の消防署、日本防火防災境界等が実施する防火管理講習を受講し、合格する必要があります。
飲食店営業許可申請の流れ
1. 保健所に事前相談
飲食店を開業する場所の平面図等が仕上がったら、着工前に、営業予定地を管轄する保健所に図面を持参し、事前相談を行いましょう。
食品衛生責任者がいない場合、同時期に受講しておきましょう。
2. 営業許可申請
2-1. 必要な書類
営業許可申請には、下記の書類が必要です(神奈川県の場合)
- 営業許可申請書
- 施設の図面
- 業務計画書
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(調理師免許証、養成講習会の修了証書等)
- 法人番号または登記事項証明書(法人の場合)
- 水質検査成績書の写し(井戸水等を使用する場合)
- 製造方法の概要(製造業の場合)
- 申請手数料
2-2. 申請手数料
営業許可の申請について、業種ごとに下記の手数料が必要です(神奈川県の場合)
業種 | 新規(円) | 継続(円) |
---|---|---|
飲食店営業 | 16,000 | 12,000 |
調理の機能を有する自動販売機営業 | 9,600 | 7,200 |
食肉販売業(包装済みの食肉のみの販売を除く) | 9,600 | 7,200 |
魚介類販売業(包装済みの魚介類のみの販売を除く) | 9,600 | 7,200 |
魚介類競り売り営業 | 21,000 | 15,750 |
集乳業 | 9,600 | 7,200 |
乳処理業 | 21,000 | 15,750 |
特別牛乳搾取処理業 | 21,000 | 15,750 |
食肉処理業 | 21,000 | 15,750 |
食品の放射線照射業 | 21,000 | 15,750 |
菓子製造業 | 14,000 | 10,500 |
アイスクリーム類製造業 | 14,000 | 10,500 |
乳製品製造業 | 21,000 | 15,750 |
清涼飲料水製造業 | 21,000 | 15,750 |
食肉製品製造業 | 21,000 | 15,750 |
水産製品製造業 | 16,000 | 12,000 |
氷雪製造業 | 21,000 | 15,750 |
液卵製造業 | 14,000 | 10,500 |
食用油脂製造業 | 21,000 | 15,750 |
みそ又はしょうゆ製造業 | 16,000 | 12,000 |
酒類製造業 | 16,000 | 12,000 |
豆腐製造業 | 14,000 | 10,500 |
納豆製造業 | 14,000 | 10,500 |
麺類製造業 | 14,000 | 10,500 |
そうざい製造業 | 21,000 | 15,750 |
複合型そうざい製造業 | 21,000 | 15,750 |
冷凍食品製造業 | 21,000 | 15,750 |
複合型冷凍食品製造業 | 21,000 | 15,750 |
漬物製造業 | 14,000 | 10,500 |
密封包装食品製造業 | 21,000 | 15,750 |
食品の小分け業 | 14,000 | 10,500 |
添加物製造業 | 21,000 | 15,750 |
3. 施設検査
営業許可申請後、施設が要件に適合するかを確認するため、保健所による立入検査が行われ、検査の際は営業者が立ち会う必要があります。
当該検査での確認項目は、下記の通りです。
- 屋外、建物内の住居等と明確に区分する
- 調理室は、壁・カウンター等により客席と区分し、出入り口に扉を設置する
- 床面、内壁、天井は清掃しやすい材質・構造にする
- 調理室の使用しやすい箇所に石鹸・ペーパータオル・消毒剤等を配置する
- 衛生的な手洗いが実施できるサイズの設備を設ける
- 水洗は肘で止水できるレバーや足踏みペダル等、洗浄後の手指の再汚染を防ぐ構造にする
- 食品等を洗浄するため、使用目的に応じたサイズ・数のシンクを設置する
- 冷蔵または冷凍設備があり、見やすい位置に温度計を備える
- 従業員のトイレは調理室と直接出入りできない箇所に設置し、専用の流水式手洗い設備を備える など
上記は一例で、各自治体による規定が設けられているのが一般的です。
このため、事前相談の際に検査項目も確認しましょう。
例えば、客室の採光基準として「100ルクス以上」としている都道府県や、前回更新時から今回の更新に至るまでの期間に何らかの処分を受けていないかを要件とするところもあります。
4. 営業許可証の交付
申請書類の内容、立入検査の内容に問題がなければ、営業許可証が交付されます。
受取りは、申請先の保健所の窓口で、店舗の見える位置に掲示しましょう。
4-1. 取得までの期間
申請から許可が下りるまでの期間は、概ね2週間~3週間です。
立入検査から許可までの期間は約1週間ですが、検査時に指摘された箇所がある場合は再検査となり、更に時間がかかる点に注意しましょう。
5. 営業開始
営業許可取得後の手続
1. 更新手続
営業許可には、5年以上の有効期間が設けられています(食品衛生法 第55条)
有効期間は各都道府県により異なるため、許可取得時に確認し、満了日の約1か月前には更新手続を行いましょう。
更新手続時には下記の書類が必要です。
- 営業許可申請所
- 現に受けている営業許可証
- 許可申請手数料
- 水質検査成績書(井戸水を使用する場合)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)
2. 変更届・廃業届
営業開始後、下記のような変更が生じた場合、変更届に営業許可証を添付し、変更のあった日から10日以内に提出する必要があります。
個人 | 結婚、離婚等による氏名の変更 |
営業者住所の変更 | |
法人 | 商号の変更 本社所在地の変更 |
代表者氏名の変更 | |
食品衛生責任者の変更 | |
営業設備の変更 | |
営業所の名称、屋号、その他記載事項の変更 |
また、下記に該当する場合には廃業届に営業許可証を添付し、10日以内に提出しなければなりません。
- 営業を廃止した
- 営業所を移転した
- 営業者が変わった
2、3の場合、新たに営業許可を取得する必要がありますが、営業者の変更が事業譲渡、相続、法人の合併・分割等による場合は承継が認められる場合があります。
飲食店営業許可の取得要件、必要書類、注意点まとめ
当ページでは、飲食店営業許可の取得要件、必要書類、注意点を解説しました。